明日元気になれ。―part2

毎日いろいろあるけれど、とりあえずご飯と酒がおいしけりゃ、
明日もなんとかなるんじゃないか?

味覚の表現方法

2010-07-07 03:03:09 | 
今日は朝10時から夜9時まで取材だった。
某食品メーカーが新商品を発売するということで、それの一般試食会というイベント。
夕方、少し休憩があってご飯を食べてコーヒーを飲めたけど、
それ以外はほとんどぶっ続け。

このメーカーは、もう3年近く、ライティングでかかわりをもっている会社。
開発担当の人に私の書く文章を気に入ってもらっていて、
細々とだけれど関係は続いている。

発売前の商品なので守秘義務があり、詳しくは書けないが、
今日の試食会はとても面白かった。

3回に分けて行い(1回5~7人程度)、1人で5種類を試食する。
その感想や意見を話し合うのだが、改めて思ったのは、
「人の味覚ってそれぞれなんだなぁ」
ということ。

同じモノを食べているのに、「甘すぎる」という人もいれば「ちょうどいい甘さ」という人もいる。
「すっきりしすぎている」という人もいれば「このさっぱり感がちょうどいい」という人もいて。
それが本当に180度正反対の感覚だったりするので、面白いなぁと思った。

この商品を愛し、真剣に答えるユーザーばかりを集めていたので、
こういう率直な意見はメーカー側にとったら非常に貴重な財産になるけれど、
商品化に反映していくにあたっては、かなり苦労するだろうな。
売れる商品を開発するというのは、大手でもやっぱり難しいようだ。

本当に、人の味覚は様々。
世の中に、「これは絶対においしい」なんてものはないのかもしれない。

一番大きなくくり「おいしい」「おいしくない」に分ければ、
かなり100%に近い確率でどちらかに分かれるのだろうけど、それでも100%ではない。
それが「好き」「嫌い」になれば、もっと比率が変わる。

私は食材ではキュウリと納豆が苦手だけれど、これらを美味しいと思う人は嫌いな人よりも間違いなく多いわけで……。
かといって、私の味覚が悪いわけではない。
かなり細かな味わいまで見分けられると思っている。
だから、やはり「好み」なのだ。
環境も影響していると思う。

そういうことを考えていたら、日本酒はそれが顕著だなぁと思った。

日曜日、去年から参加している「日本酒フェスティバル」へ行った。
会場は神戸ベイシェラトンホテル。
今年は、全国28の蔵元から、合計200種類くらいのお酒が出された。
それをたったの1800円ですべて試飲できるという、そういう楽しいイベントだ。

夫とトシくんと3人で行った。
一口ずつみたいな感じで味わって、とにかくたくさんの種類のお酒を飲んだ。
普段は高くて飲めない、めっちゃ高い大吟醸とかもここでは味見できる。
基本的に大吟醸はあまり好きではないのだけれど、いろんな味を知っておくことが大切だと思っている。
結局100種類くらい飲んだんじゃないだろうか。

私がいろんなお酒を飲むのには、意味がある。
自分がお店をやっていたり、料理人だったりしたら、逆にこんなに飲む必要はないように思う。
だけど、私はお酒のプロではなく、ものを書くプロだから。
いつも考えるのは、「表現」。

日本酒は、残念な歴史や心無い大手酒メーカーのために、日本人から離れてしまった。
でも、本当は世界に誇れる素晴らしいお酒だ。
食中酒としてはワインよりも幅が広いし、それ単体で飲むにしたって飽きがこない。
ウイスキーみたいに濃い目の味付けのアテと一緒に飲むことも可能。
とにかく万能なアルコールだと思っている。

しかし、別に世界中の人に飲まれなくてもいいのだ。
とりあえず、日本人で日本に住んでいたら、日本酒を飲もうよと。

私が言われると一番悲しいセリフがある。
これを言われるくらいなら、ババアとか、デブとか、欠落した人間とか言われたほうがナンボかマシなくらい落ち込む。
それは、「お酒は好きなんだけど、日本酒だけはダメなんです」。

この言葉を発した人に責任は全くない。
ただ、悲しくなる。

それでも、たくさん飲んでみて、その上でダメだというのであれば、それは先に書いたように「好み」だと思うので仕方がないと思う。
「お願いだから、そんなこと言わないで~」とすがりつきたくなるのは、
大バコの居酒屋で出てくるような日本酒しか飲んだことがないとか、
「おいしい地酒」=「八海山」「越の寒梅」「久保田」とか思っているような人だ。
(※これらの酒をバカにしているわけではないので誤解のないように。
それが地酒の最上級ではないということ。
世の中にはもっといろんな酒があるということ。)

また、醸造アルコールを添加しないと飲めないような悪い造りの酒もあり、
こういう酒を飲むと気分も悪くなるし、翌日まで残る。
とりあえず、何より味がマズいのだ。
先の「日本酒だけは・・・」という人は、こういうとんでもなくマズい酒を
最初に飲んでしまい、「日本酒マズい!」となっているケースが多い。

それに、年間100種類以上飲んでいたって、その味わいはさまざまで。
新しい味に出逢うこともまだある。
開封日数や温度、酒器、合わせる料理によっても味わいは変わってくる。
それくらい日本酒は深い。

だから、試してほしいのだ。
試してもらえたら、その時に自分ができることが1つだけある。
それは、その味わいを「言葉」にするということ。

きき酒師の資格をとりに行った時に思った。
なんだ、これはテイスティングの試験とちゃうやんか。
これは、文章表現の試験だ、と。

だから、難しいけど簡単だった。
逆に、お酒の知識をたくさん持ってる飲食業や流通業の人でも、
それを言葉で表現したことがない人にとっては、辛い試験だなぁと思った。

幸い、私の周りの人は美味しいものが好きで、和食が好きで・・・という人が結構いる。
そういう人は、たくさんは飲めなくても、日本酒と和食のマリアージュの素晴らしさを知っているので、ご飯を食べに行くと少しは日本酒を飲む。
そうすると、今日の試食会じゃないが、とにかく人の好みはマチマチだと思う。
人もそうだし、その日の気分もある。
普段は冷酒が好きでも、今日は燗にしたいとか、
いつもはしっかりめが好きだけど、体調的に爽快なお酒が飲みたいとか、いろいろある。

だいぶん、自分の周りの人の好みはわかってきたが、これからはそれをなんとか言葉にしていきたいと思っている。
銘柄を言うのではなくて。
どんなお店に行っても、「こういうお酒をください」と言えば、それが出てくるように
明確に言葉にして教えてあげたい。
そして、できれば家庭料理と合わせて家でちょっこしだけでも日本酒を飲んでほしい。
今自分がやっているのは、そのための修業。
(といいながら、勝手に飲んだくれてるだけ、という噂もあるが・・・)

例えば、ハイボールは去年爆発的に流行った。
そのおかげで、「角」をはじめ、ウイスキーの売上がぐっと伸びた。
「オッサンの飲み物」とバカにしていた若者もウイスキーを飲むようになった。
日本酒も同じようにならないかなぁと思っている。
そのためには、家で日本酒を飲む習慣を作らなければならない。
ウイスキーよりずっと日本人の食生活には合うはずなのになぁ。
そう思い、周りの人に対してやこのブログでコツコツと、日本酒の普及に励む私。
人それぞれの好みに合った日本酒を表現してあげられるようになりたい。
それが今のところ私の身近な目標なのだ。

日本酒フェスティバルでまたいろいろ飲めたのはよかったなぁ。
新しくいい酒蔵さんとの出会いもあったし、
夫の人柄で、残り物のお酒も「持って帰ってください」と言われてゲットできた。
私って、ほんまにお酒が好きなんやなぁと、ふわふわした頭で思う。
楽しくて仕方がない。

あー、今日は疲れていたのに、朝4時が来た・・・
また明日は7時半起きなので、そろそろ寝ようか。

慌しい日々の後で

2010-07-05 14:58:56 | 友達
こんなに長い間、日記を書かなかったことってない。
「書かない習慣」というのが身につきそうで恐ろしくなった。

意外に簡単にそうなるんだとわかって怖い。
言葉を書くことを仕事にしている私にとって、
とにかく毎日読んだり書いたりってのは必要なことだと思う。
仕事以外にも。

6月後半からとにかく忙しくて……。
ただ、単に「忙しい」というのはちょっと違うかもしれない。
コピーの仕事が進まず、予定外の仕事も入り、
自分の中で立てていたスケジュールが崩れていき、そして悪循環に陥っていたのだ。

仕事が押す⇒寝れない⇒効率が下がる⇒仕事が押す⇒寝れない・・・
この繰り返しで

久しぶりに床で転がって寝た。
夫が階下でサッカーを見ながら盛り上がっている真夜中、
2階の仕事部屋の固い床の上で転がっていた。
時々起きてパソコンに向かって、また転がって仮眠をとって。
昼間は取材、夕方は塾。
体もしんどいし、仕事はうまく進まないしで、かなりまいっていた

「コピーは時間をかければできるものじゃないから」

この間、ライター友達のアンデルさんと飲んでいたとき、
そんな話が出て、ほんまやなぁと思った。
取材記事はだいたいかかる時間の予測がつくし、予定通り進んでいく。
でも、コピーって、「作る」よりも「発見」の部分が多くて。
ひらめかなければいつまで経ってもひらめくことがない。
そして、そのひらめきに対してGOを出す判断と勇気。
文章を書くなんてことより、ずっと才能のいる仕事だと思った。

また、今回しんどかったのは、形が違うだけでデザインは全く同じという
「ボートバッグ」と「トートバッグ」のコピーを作成しなければならなかったからだ。
色も素材も全て同じ。
これって、分ける必要があるんだろうか?
それも、キャッチはイメージをメインにするように言われているので困った。
イメージ、同じやん?

それも、キャッチ+3行リード
さらにボディコピーが700字前後。

1種類だけでも書く内容が足りないのに、ボートバッグを先に作成したら、
トートバッグではいよいよ書くことがなくなった。

コピーって、自信がないとダメだなぁ。
正解がない分、自分のセンスと自信で「コレ」と決めなければならない。
取材記事は、正しいことをわかりやすく伝えればいいのだけど、
コピーは伝える+購買意欲を駆り立てることも必要。
営業ツールであるということを考えなければならない。
同じ言葉をあやつるのでも、全然違うものなんだなと改めて知った。
この先続けていくか、迷い中。
自分の気持ちもそうだけど、先方から切られるという可能性もアリ。

しかし、先週末、全ての仕事が一段落したところで、
このコピーの仕事を一緒にやっているライター・あんこちゃんと一緒に飲みに行った。
一度顔合わせはしたことがあったのだけど、ゆっくり話すのは初めて。
でも、きっと気が合うだろうと思っていた。
メールでのやりとりで、それはわかった。

京都で、あんこちゃんのおすすめの串カツ屋さんへ。
串カツといってもちょっとお洒落で、雰囲気のよいお店。
日本酒がいろいろあって、それだけでワクワクした。

あんこちゃんは思っていた通りの人で、すぐに意気投合。
お酒を飲みながらいろんな話をした。

その時に、私のコピーを読んで、自分とはテイストが全く違うけど、
「素直にいいなと思った」と言ってくれて、それがとても嬉しかった。
もう少し頑張ってみようという気持ちになれた。

まだまだ話したりないのに、楽しくてあっと言う間に時間が経ってしまった。
私はあまりライター友達がいないので、彼女みたいな存在はとてもありがたい。
久しぶりの良い出逢いだ。
長くお付き合いできそうな気がする。
新たな出逢いに感謝

ライター友達といえば、アンデルさんが新居お祝いをもってうちに来てくれたのも先週。
山崎散策もしたいということで、まずはサントリー蒸留所へ。
試飲で出されたハイボールを飲んで、アンデルさんは「美味しい!」と感動していた。
暑かったからか、「角」ではなく「山崎10年」だったからか、
「ハイボールって、こんなに美味しかったっけ?」と疑いながら飲み干していた。
思っていた以上に喜んでくれてよかった。

その後は、私が器を買うお店に連れて行った。
ちょうど柴田雅章氏の展示会の後だったので、氏の作品もまだかなりあった。
欲しい物はいっぱいあるが、とりあえずガマンだ。

アンデルさんは河井久氏の角鉢を購入。
かなり悩んだ末の選択だったけれど、間違いないと思う。
私も同じものを持っているが、かなり使いやすい。

忙しい毎日で、器をじっくり見るなんてこともしばらくなかったけれど、
美しいものに囲まれていたら癒されていくのがわかった。
やっぱり器が好きだなぁ・・・

その後、ようやく我が家へご案内。
「ペンションみたい!」
「どうやって掃除してるの?ピカピカ!」
「居心地いい~!泊まらせて~」
と、すごく褒められていい気分。

そして、お祝いにと、唐津のぐいのみをいただいた。
その前にいた器屋さんで「唐津好き?」と聞いてきたのはこういうわけだったのか。
私は「大好き!」と答えていたのでよかったが、「あんまり」だったら気まずかったな・・・

唐津は本当に好きで、素朴で飾りっけがないところや、
土っぽいけど重さを感じさせないところが気に入っている。
「侘び」という言葉のイメージだ。

いただいたぐいのみは、千鳥の模様が入っているもので、
2つお揃いだけど大きさや形が違い、それがまたお洒落だった。
唐津のぐいのみは持っていなかったので、とても嬉しい。
またコレクションが増えたなぁ。

そんな感じで、忙しかった6月後半を終えた後、
早速二人のライター友達と会い、疲れ果てていた気持ちは随分癒された。
疲れた時は、気の合う人と美味しいものでも食べて過ごすのが一番!

他にもいろいろ書きたいことはあるけれど、今日はこのへんで。