明日元気になれ。―part2

毎日いろいろあるけれど、とりあえずご飯と酒がおいしけりゃ、
明日もなんとかなるんじゃないか?

理想の女性って?

2010-05-24 23:54:50 | 
近頃、夫の帰りが早い。
今日も7時15分頃メール。
「今帰ってますお腹ペコペコ」

私は今日の原稿をちょうど終えたところで、焦って料理開始
料理の鉄人のごとく、ものすごい勢いで動き、夫が帰宅して一息つく8時半にギリギリセーフ。



ピーマンの肉詰め煮
根菜のかき揚げ
あんかけ豆腐
小松菜の中華風おひたし

このピーマンの肉詰め煮は夫の大好物で、自分で言うのもなんだが、かなり旨い

あんかけ豆腐は、豆腐を湯通しして水を切り、
醤油、みりん、生姜で味付けしたあんをかけたもの。

小松菜もこのおひたしにすると、夫がいっぱい食べてくれるので嬉しい。
なるべく野菜をとってもらいたいと、いろいろ考える。

夫は帰って来ると、たくさん料理が並んだテーブルを見て感動してくれる。
「かおり、すごいなぁ」と。

そんなとき思う。
これは、訓練の賜物だなぁと。

大学を卒業して1年後に家を出て、ずっと一人暮らしが長かった私。
「自分ひとりのためによく作るよね~」と、
周りから奇特な人のように言われながらも、ひたすら料理を続けた。

もちろん、食いしん坊だということが一番大きいのだが、
ある意味、料理は生活のリセットのためだったと思う。

今より数倍も忙しい生活の中で、それでも「自分のために料理をする」ということは、
自分への挑戦でもあり、自分を破滅させない唯一の手段でもあった。

まだ自分は料理ができているから大丈夫。
とりあえず腹が膨れればいいと、エサみたいにモノを食べてないから大丈夫。
寝る時間がほとんどなくても、豊かさだけは忘れていないから大丈夫。

そう思って生活していた。
夜中12時に帰って来ても、まだ3品料理をしてご飯を食べる。
どんなに疲れていても。

もう半分は意地のようにもなっていたと思う。
だけど、逆にそれがあったから、あのハードデイズを何とかやり過ごせたのだと思う。
あの身も心も砕け散ってしまいそうな20代後半を。

そして、今、あの時の訓練(?)が役に立っている。
料理することを苦だと思うことはまずないし、たいしたものじゃなければ、ささっと4、5品をすぐに作れる。
ただ、昔と違うのは、「食べてくれる人」がいること。

ありがたくもあり、プレッシャーでもある。
自分ひとりなら、自分の好みだけ考えればよかったのだけど、
今は夫の好きなものを……という気持ちが働くので、多少苦労がある。
主婦は大変だ、とも思う。

主婦になってようやくわかった。
大変なのは「労働」ではなく、「気遣い」なんだなぁと。
好みを考え、健康を考え、家計を考え、タイミングを考え……
そんなふうに料理したことがなかったので、最初は多少戸惑った。
自分のための料理が一番楽しいし、一番楽だということもよく理解した。

とは言え、やっぱり一緒に食べるご飯は楽しい
こうやって平日に一緒にご飯を食べられる日が、月に数日でもあればいいのだけど。
なかなか難しいね

今日は日本酒「喜久酔」を開けた。
旨い
かなり自分好み。
酸味と旨味のバランスがよいピュアな酒。
華やかさはなく控えめだけど、芯は通っていて。
やや辛口だけど、すっきりというよりは旨口。
飲み飽きしない。
主張するものが少なく、すっと飲めるので、食中酒にいい。
アルコール度数も15度程度と低い。

こんな旨い酒が一升で2730円。
外でくだらない酒が1合あるのかないかで、800円も900円もとられることがあるけど、
あれって一体何なんだろうな

「開運」もそうだけど、静岡の酒は落ち着いていてきれいな酒が多いのかもしれない。
こういう酒を、常備しておきたい。

女性としても、こうありたいものだ。
特別な華やかさや美しさはないのだけど、
控えめにそばにいて、芯はしっかり通っていて、
地味ながら誠実さが伝わり、毎日一緒にいても疲れない。

しかし、理想の女性を酒にたとえるようになったら、もう終わりやな(笑)


日本酒とみだれ髪

2010-05-24 01:04:07 | 
この雨の中、夫が
「タキモトに酒を買いに行く」
というので、慌てて用意して一緒に行った。

タキモトというのは、京都五条にある酒屋。
日本酒・ワイン・焼酎と、かなりの数が揃う。
ネット以外で日本酒を買うのは、ほとんどがここだ。

一升瓶ならいくらでもほしいのがあったのだが、基本的に四合瓶で買うので限られてくる。
悩んだ末、購入したのは、

五凛 純米酒
喜久酔 特別純米
賀茂金秀 雄町 130周年記念酒
陸奥八仙 いさり火

今日のご飯に合わせて、五凛と陸奥八仙を開けた。



魚は、シマアジ。
昨日、堀先生が釣ってきたというものをいただいたので、塩焼きに。
あとは、肉じゃが、キャベツと豚肉のオイスターソース炒め、サラダ、長いもの味噌だれ

このシマアジと陸奥八仙がバッチリ合った。
もともとこの陸奥八仙は、魚料理に合うようにと作られたお酒。
シマアジやサバなど、ちょっと脂の乗った魚に合うと思う。
脂っぽさや魚臭さをすっと消し、旨味だけを広げてくれる。

それから、五凛はキャベツと豚肉のオイスターソース炒めによく合った。
こういう中華風のものにいいんじゃないだろうか。
酒そのものとしては、あまり好きなタイプではないのだけど、
食中酒としては非常にいい。
合わせる料理によっては真価を発揮できる。

ご飯を食べ終わった後、今日開けた2本も含め、今開いている酒6本をきき酒。



きき酒するときは、こんなふうに、テイスティンググラスで。

先の2本以外には、
大那、川鶴、千年一、賀茂金秀

大那は、開けてからちょっと時間が経っていて、味が落ちていたのだが、
備前の器に注いで少し置いていたら復活。

感動する。
やっぱりお酒は器あってこそ。
同じ酒がこうまで味を変えるのかと、改めて思った。
土は生きているんだなぁと、そして、器は育っているんだなぁと感じた瞬間だった。

川鶴は常温で少し置いていたら、かなり熟成した。
劣化せず、熟すというのはこういうことかと思う。
15度のすっきりとしたきれいなお酒だったのに、米の甘味がぐっと増して、
その香りときたら、たまらないほどフルーティー。
最初はいろんな料理に合わせられると思っていたのだが、
ここまで熟成すると難しくなってしまった。



ワンコ夫婦と一緒に、窓から見える夜景を眺めながら、
2階のバースペースで酒を愉しむ。

アテは、俵万智の「みだれ髪 チョコレート語訳」

久しぶりに読んだけど、やっぱり与謝野晶子はすごいな。

 やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君

これを俵万智はこう訳す。

 燃える肌を抱くこともなく人生を語り続けて寂しくないの

すごい。
たまらんな、これは。

あと、私が好きなのは、これ。

 さびしさに百二十里をそぞろ来ぬと云ふ人あらばあらば如何ならむ

このチョコレート語訳↓

 「逢いたくて500キロひたすら来たんだ」とそんなあなたがいたなら、いたなら

言葉の神秘、言葉の威力を感じる。
俵万智も、やっぱりすごい。

そして、日本酒とみだれ髪。
なんとも風流な。