明日元気になれ。―part2

毎日いろいろあるけれど、とりあえずご飯と酒がおいしけりゃ、
明日もなんとかなるんじゃないか?

Hoochie Coochie Man と 関白宣言

2010-05-07 02:42:53 | ライブ
あかん。
めっちゃ疲れて眠たかったのに、書きたくなってきた。

この感じをやり過ごして寝てしまうという選択肢はある。
明日後悔することも目に見えている。
社会人である私には仕事が、
そして主婦でもある私にはゴミ捨てが、
明日も朝早くから待っているのだから。

でも、「この感じ」には抗えない。

少し、GWの話を。

高槻ジャズストリートへ行った。
3日・4日の2日間にわたる、街をあげての音楽祭。
「ジャズストリート」というように、基本はジャズ。
高槻中の協力的な人々が自店を開放し、即席のライブハウスとなる。
その数、なんと40余り。

もともとステージがある店ももちろんあるが、
普通のカフェやバーもあり、野外もあり。

そして、音楽好きな人々が、この街を訪れる。

ブルース好きの私は、よく「ジャズも好きなんでしょう?」と言われるが、
実はジャズはあまり知らない。
流れている分には気持ちいいが、知識は皆無。

ブルースという音楽はとても不思議で、ジャンルとしての壁がゆるい。
ファンク、ジャズ、ロック、ソウル、フォークと、いろんな要素を秘めている。

夫は、ハードロックからブルースへ向かったタイプだ。
私はR&Bから。
だから本当に好きな音楽を問われると、意外にサム&デイブやオーティス・レディング、
アレサ・フランクリン、ウィルソン・ピケットなんかだったりする。
そして、ゴスペルも好きだ。
かと思えば、夫はあまり好きでないというファンク・ブルースが結構気持ちよかったりする。

でも、この世の中で一番好きな曲は何かと訊かれたら、
「Like a Rolling Stone」
と答えることにしている。

理由は特にない。
ボブ・ディランもそんなに好きではないし。

あえて述べるとすれば、この曲を聴いていると、ただひたすら生きたくなるからだろう。
何があっても、
幸せになろうと、
まっすぐに生きようと、
そんな気持ちを思い出させてくれるのだ。

音楽ってのは、不思議なもんだな。

高槻ジャズストリートでも、ジャズ以外にいろんな音楽が演奏される。
私と夫のお目当ては、もちろんブルース。
タイムテーブルを確認しながら、ひたすら「blues」と書かれている店をまわる。

たまに、贅沢な選択肢があって。
同じ時刻に2会場でbluesの文字が。
そんなときは、演奏者を見る。
基本的に、ハーピストがいれば、そちらへ行く。
ハープ担当者がいて、それで自分の好きなブルースじゃないなんてことは、まずないからだ。

そう。
ブルースバンドなら何でもいいかというと、そういうわけでもないのだ。

今回も2日間にわたって、10以上のバンド演奏を見た。
改めて思ったのは、
ブルースっていう音楽は、「演奏する人」がどうしても出てしまうな、ということ。
それは、上手い・下手じゃないのだ。
性格、というか。

でも、だから、面白い。

みんな同じ曲をやるから、比較もしやすい。

Sweet Home Chicago
My Babe
Ain't Nobody Business

これらを何度聴いたか……

でも、同じ曲なのに、全く別の曲みたい。
演奏する人によって、こうも違うものか!と思う。

100人いれば、100人のSweet Home Chicagoがあるし、
あって当然、あっていいんだと思う。
それが「音楽」っていうものなんじゃないのかな。

だから、ブルースと言うのは、「自分の音」を探しやすい音楽なのかもしれない。
いくらコピーしても、似させようとしても、
どうしたって、「自分」が出てしまうから。

また聴くほうは、それが楽しくてブルースライブに行くのだ。

もう一つ。
ブルースは酒なしではダメだ。
地球上で最も官能的な音楽、それがブルース。
ブルース&酒の組み合わせは、ドラッグより気持ちいいと思う。
(やったことないけど)

ドラッグ撲滅運動には、代わりにぜひブルース&酒を!!(笑)

今回の高槻ジャズストでも、いろんな人のブルースに出会えた。
悪そうなツラ構えのおっちゃんバンドもあったし、
リトル・ウィルターめっちゃ好きなおっちゃんもいたし、
下ネタ満載バンドもあったし。

でも、一番感動したのは、ツインズ&カサ・スリムさんのライブだ。
もともとツインズの小竹おにいちゃんのことは、
「サム・クックの再来や!」
と思っているほど、声が好きでたまらない。
カサさんは、歌い方が好きで。
いつも誰かを見ているから。
客席でもなくて、「誰か」を。
その目を見ながら聴くのが、たまらなく幸せな気持ちになるのだ。

いつも、ブルースとは関係なく、オリジナリティあふれた優しい曲をやってくれるカサさん。
だけど、たまにめっちゃベタベタのブルースをやる。
私はそのときがたまらなく興奮するのだ。

今回も「Hoochie Coochie Man」をやり始めて、うぉぉお!!と興奮していたら、
なんと、途中でさだまさしの「関白宣言」に!!
これが、ぴったり合うのだ。

 俺より先に 寝てはいけない
 俺より後に 起きてもいけない
 めしはうまく作れ
 いつもきれいでいろ
 できる範囲で かまわないから

なんかもう、その自由な発想力と、ハマりようと、
それから、ブルースという音楽の可能性を感じて、
ヤバイくらい興奮した。

この世の誰が一体、Hoochie Coochie Manと関白宣言を一緒に歌うだろうか?

そして、それに輪をかけて私を興奮させたのが、
そのとき、後ろにいた黒人だ。
Hoochie Coochie Manが始まったら、もう大笑い。
決してバカにしているというわけではなく。

黒人にとったら、あの古いブルースを、こんな日本人がめちゃくちゃやってることが、
すごく面白かったのかもしれない。

ライブが終わった後、興奮して、上記に書いたようなことを繰り返ししゃべる私を見て、
夫が大爆笑。
「その興奮してるかおりがオモロイ」と。

他にもいろいろ、いいライブを見させてもらった。
落合さんのギターも、大森さんのドラムも堪能。
お二人とも、本当に心のあるブルースマンだ。
途中、街で見かけて声をかけたら、あたたかく応えてくれた。

そして、もともと、リトルウォルター、サニーボーイ、ジュニア・ウェルズ、ジミー・リードなど、ハーピストが好きな私。
今回もいろんなブルース・ハープを聴いて、改めて思った。
木寺さんというハーピストがいるのだが、やっぱり群を抜いていいなぁと。
音がクリア。でも、重い。そして、官能的。
私などが言うのはおこがましいが、とても素敵な音を出す人だ。

また、聴きに行きたい。

今回のジャズストでも、
1日目は8時間
2日目は4時間
たっぷりブルース&酒を楽しんだ。

ライブハウスを梯子していると、いつもシカゴの夜のことを思い出す。
「奥さんが一番ノリノリやったから!」
とシューさんに言われたことを、今でも誇らしく思っている(笑)

あんな夜は、一生にそう何度もない。

素敵な思い出をかみしめてほくそ笑みながら、
もう何杯目かわからないバーボンを飲み干して。