明日元気になれ。―part2

毎日いろいろあるけれど、とりあえずご飯と酒がおいしけりゃ、
明日もなんとかなるんじゃないか?

漱石フェア

2009-11-28 22:45:14 | 
読む本がなくなったが、新しい本を買うお金も本屋に行く時間もない。
そこで、昔読んだ本の再読でもしようかと、本棚を物色した。

ふと、漱石が目につき、「そうだ、久しぶりに漱石を全部読み返してみたらどうだろう」と思いついた。

大学時代に主な作品はほとんど読んだが、再読は数冊しかしていなかった。
それも、ここ10年くらいは漱石を手に取ったことがないのでは?

とりあえず、自分の中の漱石ベスト3から読むことにした。
「三四郎」「虞美人草」「草枕」


今、「三四郎」を読んでいるが、こんなに面白かったかと思うほど面白い。
昔読んだのとは、また違った感情が生まれることに気づく。

漱石の独特の文体。漢字使い。
久しぶりに触れて、やっぱりお札になるだけのことはある人だなと思った。
文学はやはり面白い。

先日、塾で個別の講師が高校生の教材で、森鴎外の「舞姫」を見ていた。
わぁ、いいなぁと羨ましく思った。

高校の現代文の授業で「舞姫」をやったとき、
「この青く清らにて物問ひたげに愁を含める目の、
 半ば露を宿せる長き睫毛に掩はれたるは、
 何故に一顧したるのみにて、用心深き我心の底までは徹したるか」
という一文を読んで、あまりの美しさに胸がどきどきし、何度も繰り返し読んだことを思い出す。
こんなに美しい文章が世の中にあるのか、と思った。

今、中学生に古今和歌集などを教えているけれど、
やっぱり古典を教えるのが一番楽しい。

私の行っていた大学の国語国文学科は変わっていて、
国文科の「華」である、中古文学の専門の先生がいなかった。
万葉、中古中世の仏教文学、近世、近代のみ。
平安時代の和歌を勉強したいと思っていた私にはかなりの衝撃だった。

結果的に、中古中世の仏教説話を卒論でやって、それはそれで楽しかったのだが、
今でも中学生に和歌を教えていると、やっぱりいいなぁと思う。
もしもう一度何か勉強できるんだったら、平安時代の文学をやりたいね。
この世で、全く役に立たない学問・・・。

漱石を読んでいたら、この時代の文豪って役に立たない学問をやってるけど、
やっぱり今の時代にまで感動や潤いを与えてくれるのだから、
こういう存在って人の世に必要なんだなと思った。

とりあえず、しばらくは漱石で楽しめそうだ……