明日元気になれ。―part2

毎日いろいろあるけれど、とりあえずご飯と酒がおいしけりゃ、
明日もなんとかなるんじゃないか?

癒しのブルース

2007-11-12 12:41:20 | ライブ
世界で一番大きなブルースフェスティバルが「シカゴ・ブルース・フェスティバル」だとしたら、その100分の1くらいの小さなミュージックフェスがある。
それが、「水道筋ミュージックストリート」だ。

兵庫県の「王子公園」駅そばにある、大きな商店街。
7つの商店街と3つの市場に500余の店。
ここのうどん屋やカフェバー、商店街の中の簡易ステージで、とにかく1日中音楽をやろうっていうんだから、なかなか面白い。
それも、商店街らしく、午後1時~7時まで。
なんて健全なんだろう!

去年も行きたかったのだが機会がなく、今年こそはと調べたら、10日(土)に開催。慌てて予定を組み込んで、彼と二人で行ってきた。

目当ては、ツインズ、カサ・スリムさん、天野SHOさん。
ツインズはここ2年くらいに好きになったのだけど、双子のデュオで、もう最初に見たときから心奪われてしまった。
別々にも活動していて、お兄ちゃんのほうは、元・憂歌団のドラマー、島田さんやブルースギタリスト・田中晴之さんなどと一緒に、FOUR ACESというブルースバンドもやっている。
お兄ちゃんもカッコイイけど、弟さんの日本人離れした声とリズム感はたいしたもので、あの声を聴くと「声っていうのは神様からのギフトなんだなぁ」ということを実感してしまう。

1時過ぎに到着して、早速スケジュールを調べ、商店街の中を急ぐ。
めちゃくちゃ広い。
そして、いい感じ。
探し当てたライブ会場となる店は、小さな小さな居酒屋のような店。
20人も入ればもういっぱいという空間に、入口まで人があふれている。
私と彼も無理やり入り、ツインズのライブを観た。
たった30分だけど、久しぶりだったので、なんだか胸がいっぱいだ。

ブルース好きな人って、ハードロック系から転向してきた人が多いのだけど、私はR&RやR&Bからブルース好きになった。
ツインズはまさに私の好きなタイプの曲をやる。
ビートルズのCAN't BUY ME LOVEから始まって、ジミー・リードの「Honest I do」をすごくメロディアスなアレンジで聞かせる。それから、サム・クック。こちらもアコースティックなアレンジで、心にしみる。

その後は、カサさんのライブ。
カサさんは、歌屋BOTEEという2人組のデュオだったんだけど、今は一人で活動している。
またこれが、癒しのブルースマンで。
ちょっと酔っ払って、手元がおぼつかない。
でも、歌い出せば、優しい空気が流れ出す。
その表情を見ているだけで、いつも幸せな気持ちになれるのだ。
一体誰を想っているんだろう。
楽しそうで、嬉しそうで、愛しそうで。

最後の目当ては天野SHOさんだったけど、それまでに他にも4ライブほど見て飲んで、私も彼もすっかりいい気分。
天野SHOさんはすごかったなぁ。
久しぶりに見たけれど。
昔、もう10年くらい前に、西野やすしさんと「天西ブルースライン」っていうバンドをやっているのを見たことがある。
ベースを弾きながら歌うんだけど、カッコイイし、歌もすごくいい。
私が思っていたより神戸では人気があるようで、会場は熱気に包まれ、うどん屋とは思えないブルージーな雰囲気(笑)。
白熱したライブだった。

すっかり満足の1日。
ライブもよかったけれど、商店街もおいしそうなものがいっぱいで、何もなくてもまた足を運んでみたいなぁと思ったくらい。

カサさんと少し話ができたので、リクエストしたら、2回目のステージではラストにそのリクエスト曲をやってくれた。

  ブルース片手にここまできた
  ブルース頼りにやってきた・・・

カサさんの歌を聴いていたら、私の中の、すっかり閉じてしまっていた「感性」という箱が、パッと開いてどんどんこぼれるように想いがあふれてきた。
私も何か表現したいと、切実に思ってドキドキした。

「ブルース」って何なんだろうかと思う。
黒人が演奏するような音、どんなに上手くたって絶対に出せない。
(彼はこういうと怒るけど)
だけど、真似をするんじゃなくて、なぞろうとするんじゃなくて、自分の魂の叫びを歌にすれば、それが「ブルース」。
カサさんの癒しのブルースは、それはもう、確かに「ブルース」だった。