明日元気になれ。―part2

毎日いろいろあるけれど、とりあえずご飯と酒がおいしけりゃ、
明日もなんとかなるんじゃないか?

本当においしいマグロをやっと食べた

2007-11-11 17:12:36 | 美味しいもの
ちょっと前から彼が「びりけんに行きたい」と言っていて、
もちろん私はいつでも行きたいのだけど、
とにかく彼が忙しいものだから、なかなか一緒に行く日を作れなかった。

だけど、金曜日、久しぶりに彼が8時半くらいに会社を出られたので、一緒にびりけんへ。
金曜日なのでどうかなぁと思っていたのだが、意外にすいていてラッキー。
久しぶりにおいしいものを堪能した。

ムカゴを軽く茹でて塩を振ったものから始まって、
隼人瓜とエンドウを梅肉で和えたもの、
それからびりけん特製のポテトサラダ。
お手製の生でもおいしいベーコンが少し風味付けのように入っている。
これがまた絶妙。

しかし、今日のベストはやっぱりお造り。
天然のハマチと大間のマグロ。
ハマチは大好きなのだけど、普段食べ慣れているものだけに、その違いがはっきりとわかって、もうホッペタが落ちるとはこのこと。
そして、マグロがあまり好きでない私に「マグロっておいしい」ということをわからせてくれたマグロ!

外でマグロを食べておいしいなんて思ったことがほとんどないのだ。
あの変な食感。
味気のなさ。水っぽさ。
ぐにょぐにょして気持ちが悪いったらない。

だけど、わかっていはいたのだ。
本当はマグロはおいしい魚だってことは。
ただ、それが普通には出回っていないし、食べる機会もなかっただけってことは。

びりけんでマグロを食べたのも初めてだったのだが、目が覚めるような強烈な旨味だった。
これか・・・と思った。
やっぱりマグロはおいしい魚なんだなぁ。
トロの部分も切ってもらったのだけど、その脂ののり方といったら……!
口の中でとろけそうだった。


それから、きのこのお吸い物。
本物の天然なめこ。
大きなものだと傘が直径4センチくらいある。
こんなに大きいと大味なんじゃないかと思ってしまうのだが、とんでもない!
豊潤な香り。
口の中でぱーっと広がっていく。
ほっこりして、幸せの味だ。


それから、今日のメインともいうべき、白甘鯛のホイル焼き。
なんと贅沢に一人1匹!
前に、魚の専門店で食べた時、白甘鯛のお刺身は7切れくらいで3500円だった。
まあ、その店は半分ぼったくりみたいなものだが、そうでなくてもこれだけ良い素材を使って手をかけて料理したら、この1皿で3500円はもらってもいいところ。
ましてや、場所は新地である。


こういうのを惜しみなくさっと出してしまうところに、びりけんのすごさがある。
天然のきのこをたっぷり添えて、ホイル焼きに。
白身の部分はもちろんほっこりとしてうまいが、皮の味がもうたまらない。
こうやって素材の旨味を完全に閉じ込めてしまうところに、ホイル焼きの良さがあるなぁ。

あとは、いろんな豆類が入ったトマト煮込みに、美しい卵を乗せて焼いたもの。

卵の黄身をつぶして混ぜながら食べると、また格別!
お豆もいい味を出している。

そして、恒例の帆立のムース、ローストビーフ、生のベーコン。
帆立のムースは彼が大好物なので、作り方を教えてもらった。
簡単だというが、難しそう。
「かおりちゃんやったらすぐにできるんちゃうか」とマスターは言ってくれるけど、この味と同じものをつくるには、かなりの年月を必要としそうだなぁ。


ローストビーフはもうイヤっていうほど食べているけど、
今日の出来は最高だった。
今までで食べた中で一番おいしかったんじゃないだろうか。
マスターも、今日は肉がよかったと言っていた。

これだけ食べたらもう充分というところだが、ここから寿司7貫!
さっきのマグロ、トロはもちろん、ヅケにもして。
あとは、イワシ、ヒラアジ、サバときたもんだ。
たまらんねぇ。
ただ、欲を言えば、今日はシャリの温度が多少高かったのが残念だったかな。
もう少し冷やしたほうがネタとなじんでおいしかったかもしれない。
だけど、まあ、そんなことはたいしたことではなく、とにかくおいしかったの一言!

基本的にマグロとかサーモンとか、そういう脂ののった魚が好きな彼は、私よりもっとたまらなかったようだ。
よくびりけんで会うMさんとも、またたまたま同席したので、より楽しい時間を過ごせた。

そして、今日のもう一つの収穫は、新しい器に出会えたこと。
いつもお酒を飲むぐいのみを選ばせてくれるのだが、今日は「新入り」がいるとのこと。
見ると、まあ、なんて美しいんだろう。
まず、形がいい。
手になじむ大きさ、ウエストのくびれ。
そして、生まれながらにもった品のよさ。
ちょっと青みがかって、なんともいえない風合いがある。
女性にたとえれば、まだ18歳くらいの若さで、透き通るような肌と濁りのない瞳。
聡明でまっすぐ。
でも、芯が一本通って。
これからの育て方で、どうにでも美しく味のある女性に育つ、そんな感じだ。(オヤジか!私は……)

彼がその新入りさんに挑戦。
私はいつもの「びりけん、ご指名ナンバーワン」のぐいのみ。
同じお酒を入れてもらったが、飲み比べてみるとその違いは明らか。
新入りさんがそのお酒の特徴をはっきり主張してしまうのに対して、指名ナンバーワンは、際立つ特徴をまるく包んで、その良さだけを前面に押し出してくる。
滑らかで、清らかで、水のように済んでいるのに、米の旨味の一番純粋な部分だけが舌の上で香り立ち、飲む人の心をやさしく抱擁する。

指名ナンバーワンは、もうびりけんに来て7年くらい、とのこと。
その容姿の美しさから、いろんなお客さんに愛され、ひたすら皆に毎日育てられてきたため、今ではどんなにお金を積んでも買えないほどの名器になっている。

新入りさんは、それと比べるとまだまだ。
同じお酒なのに、器でこれほども味が変わるのかと、また器の神秘に触れた。
だけど、これから来るたびに1杯は必ず飲んであげて、少しずつ育てていってあげよう。
これから7年後、どんなお酒を飲ませてくれるようになるのか、楽しみだ。
この器なら7年も待たなくても、2年くらいで充分おいしいお酒に変えてくれるだろうけれど。
そういう見込みのある器だ。
一目で人を虜にしてしまう、そういう要素をもっているし。

久しぶりにおいしいものを食べ、おいしいお酒の飲み、彼と楽しい時間を過ごした。
なんか元気になったなぁ。
あの料理にはどんなパワーが込められているのだろう。
いつも幸せになる。