2,009年度「葵祭」の見学記

2009-05-18 16:14:50 | 歴史と散策

 最近は京都三大祭といわれる葵祭、祇園祭、時代祭をよく見学するようになったが、見学を繰り返しても記憶に残らないのが葵祭であった。
  葵祭の行列には旗とか印板のようなものがなく、一切の和楽器を使用しない静かな行列で、比較的よく似た姿の人馬がゆっくり通り過ぎるだけで、見物客にとって記憶に残りにくい。今回は行列の構成について事前に調べていったので少しくわしく見学することができた。 
  葵祭の行事は5月3日の流鏑馬神事(下鴨神社)から始まり、4日の斎王代御禊の儀(下鴨神社)、5日の加茂競馬(上賀茂神社)、12日の御蔭祭(両神社)を経て、今回見学した15日の行列「「路頭の儀」となり、行列は御所を出発して下鴨神社を経て上賀茂神社に向って進む。関連行事として17日には三船祭(車折神社~嵐山大堰川)、28日の業平忌があるから、5月一杯かけて行われる大イベントである。今回は祭の中心となる「路頭の儀」の行列に焦点を当てて述べる。
  見学した場所は北大路橋の南側通路である。警察官の先導車・先導馬のあと、本列の第一列として馬上姿の検非違使(京の治安を担当する役人)と山城使(地方行政を担当する役人)が続く。第二列として馬寮使(御馬担当の役人)と牛車(藤の花で飾られた勅使が乗る車)、第三列として馬上姿の舞人(歌舞を担当する役人)と勅使(天皇の使い)が続く。第四列には、馬上姿の陪従(楽人装束の武官)と内蔵使(皇室の経済を担当する文武兼官)である。最後に飾り車として牛車(斎王用)が続く。
   
   行列の先頭を進む騎乗したお役人列       牛に曳かれた御所車(勅使用)        

 行列には、馬36頭、牛4頭、総勢5百余人が参加しているが、牛車2台(前方と末尾)が参加している。今年は岡山県新見市から引き手とともに4頭(牛車1台に2頭)の牛が参加しているが、2ヶ月前から調教したと聞いた。
                    
 行列のもっとも華やかな部分は、斎王代列である。宮中では斎王と呼ばれる未婚の皇女を、神のそばにつかわせるならわしがあった。現在は京都在住の未婚の女性が選ばれるので斎王代とよばれている。斎王代が使用する腰輿(およよ)とその前後をかためる女人列のあたりが、もっとも華やかである。行列の最後は斎王の牛車が締めた。
  
  斎王代が乗る四方が開いた腰輿(およよ)    平安時代の衣装を着た女人列と風流傘

 最近は多くの解説書がでており、新聞紙上でも連載記事が毎年でるようになった。伊勢神宮に次ぐ格式といわれる上賀茂神社と下鴨神社は、世界遺産に認定されている。限られた原稿の中で内容に乏しい恥ずかしい説明となったが、平安京の歴史を示すイベントとして、来年も見学したいと思っている。

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿