ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

若葉の句会

2017年05月09日 | 俳句

 連休の間はとてもよい天気で、暑いくらいでしたが、今日は朝から雨で少し肌寒いほど。

 5月の第1火曜日を今日の第2と合同ですることにしていましたので、朝から大忙しです。

 開始も30分早めてあるのですが、それでも時間は足りません。

 なんせ日頃の倍の人数ですから…でも欠席者が2名と、計17名。

 今日の兼題は「若葉」です。

 この季題は一見作りやすそうですが、意外と難しいんですよ。

 今一番若葉が美しい時ですし、誰もが目にとめているものですから、それを美しいとか、ありきたりに詠んでしまっては面白くありませんしね。

 大体〝若葉〟と子供を取り合わせる景が多いのです。そりゃ年寄りより子供の方がカワイイに決まっていますもの。そうすると、まあまあの句は出来ますよ。

 そこからがスタートなんですが、その定番を崩していくのは本当に至難の業。

 そこで、若葉の持つイメージを考えてみましょうか。

 「若い」「みずみずしい」「新鮮」「色鮮やか」など、など…。

 これで作ってしまったら、もう普通の句しか詠めません。それも「風」と組み合わせると。

 ホラ…今日の句会でも、3分の1が「若葉風」で詠んでいましたよ。

    声揃へ児らの本読み若葉風 

 今日の最高点句です。やっぱりでしょう。子供と若葉風…もちろん気持ちの良い句に仕上がっていて、なんら文句はないのですが…、でもちょっとひと言。「これは校外の景ですか?それとも教室?」

 また、「作者はどこにいるんですか?」と。

 私だったら〈本読みの児らの声洩れ若葉風〉ぐらいにしますね。そうすれば作者は教室の外にいて児らの声を聞いているという様子がよく分りますが…

 「その通りです。教室の窓から声が洩れて聞こえてきたんです」と作者。

 ここは「児の本読み」ではなく「児らの本読み」とあるところがポイント!

 一人で読んでいるのでなく、みんなでと言うことになれば、当然バラバラの声ではなさそうでしょう。だとすれば、「揃へ」と言わなくても…。そこを削って作者の位置をはっきりさせた方がいいでしょう。

 作者が教師なら別の言い方があるし、保護者としての参観ならまた考えなくちゃ…ね。そこで、

    若葉風児らの音読洩れ来たり

としました、作者が何かの用事で学校へ来て、通りすがりに聞いた児らの勉強の様子、その元気のよい大きな声は…まだ入学したばかりの1年生かな?と、いろいろ想像しながら歩いている…気持ちのよい若葉風の中を…、ということになるのです。

 もう一句…

    泥んこで遊ぶ子らにも若葉風

 これも子供たちと若葉風。とても可愛らしい風景です。

 これは泥んこ遊びだから幼稚園ぐらいの子かな?

 でもこの句にはちょっと問題があるのです。それは助詞の「にも」というところ。

 とにかくこの助詞というのがくせ者なんですよ。そこで、ちょっとイジワルして、「泥んこで遊ぶ子らは若葉風に吹かれたらいけないの?」と聞くと、「エエッ?」と作者。

 そうなんです。これが「も」の働きなんです。ちょっと難しいですかね~。

 例えば「教えてあげてもいいよ」と言うのと「教えてあげていいよ」というのの違い。

 分ります?この「も」が入ると、なんか恩着せがましい感じがするでしょう。

 もう一句ありましたよ。

    連休も塾に向かふ子若葉風

 この句も子と若葉風、それに「も」もあります。

 だからこの句にも「この子可哀想やね。みんなが出掛けたりして遊ぶ時に…」と。

 すると、作者曰く「イヤイヤ、ちっとも可哀想じゃないんですよ。喜んで行ってます」と。

 やっぱり「連休も」というと、遊びたいだろうのに…という逆接の気持ちが入ってくるんです。だから、次の句と読み比べてみて下さい。

    泥んこで遊ぶ子どもら若葉風

    連休の塾に向かふ子若葉風

 どうですか?どちらも嫌みがなくなり、若葉風の中で元気に遊ぶ子供たちや塾に通う子が素直に見えてくるでしょう。やっぱり素直が一番ですよ。

 このように助詞というのは一音で内容を変える力を持っています。

 上手く使えばいいのですが…〝諸刃の剣〟なので、くれぐれも気を付けましょうね。

 今日は若葉の写真を載せるつもりでしたが、雨なので連休に撮った〝なんじゃもんじゃ〟の花をアップしましょう。

 これも初夏の季語で、「ひとつばたご」という植物です。

           

            

 モクセイ科の雌雄異株の落葉高木。関東地方で、その地方には見られない種類の大木を指していう称と。でも、この意味ではひとつばたごに限ったことではないようですが…

 しかし、俳句では「ひとつばたご」だけを「なんじゃもんじゃ」と言います。

    玄海の仮幻にひとつばたごの花     石原 八束

    風やんでなんじやもんじやの落花急   小枝秀穂女

 

            

コメント (2)
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