昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

天使との二泊三日  ②

2017年08月10日 | 日記
希子は3歳の頃、父親を亡くした。死出の旅へ旅立つ父親の白い横顔を覚えている。 小学校3年生になった春、母親が再婚。同時に、母親の実家から新居に引っ越す。 新しい学校と新しい父親に慣れることはできたが、新しい住まいの匂いには馴染めなかった。 「ほら、希子の部屋よ」 母親が嬉々として開けたドアの向こうから襲い掛かってきた匂いは、特に我慢ならなかった。 その部屋で中学、高校を過ごし、父親の強い . . . 本文を読む