昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

天使との二泊三日 ①

2017年08月07日 | 日記
梅雨寒の翌日、日曜日の朝だった。 隆志は瞼の裏を白く照らす朝の光にベッドを転々として何にも行きつかず、ベッドの広さに不意を突かれたように目を開けた。首を右へ回すと、東の窓のカーテンは開け放ったまま。足元では扇風機が虚しくスレ音を立てている。首を起こしダイニングの方に目をやると、開かれ壁に貼りついたドアに朝の光が届き、ドアノブをテカらせていた。 希子が抜け出た綿毛布の端には小さな丸い窪みがある。 . . . 本文を読む