昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

1969年。僕たちの宵山 ―昭和少年漂流記第二章―⑭

2017年02月09日 | 日記
その日の夕方、配達から帰ってきた販売所には、ただならない空気が漂っていた。 販売所の引き戸を開けると、いつもの場所に陣取ったとっちゃんはタバコも咥えず、カウンターの方を好奇心一杯の表情で見ている。階段下に腰掛けた大沢さんと桑原君の顔つきも、いつもになく険しい。 “ただいま”の言葉を飲み込み、そっと階段下の桑原君の横に座る。 「新入りなんやけど、ちょっとな‥‥」 桑原 . . . 本文を読む