昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

1969年。僕たちの宵山 ―昭和少年漂流記第二章―⑬

2017年02月07日 | 日記
その夜、僕は100円定食に生卵を追加した。 「新聞配達始めたんやてねえ」 食堂のお姉さんが声を掛けてくれる。何度か梅干をサービスしてくれたお姉さんだ。 「これからは雨ばっかりやし、大変やねえ」 追加した生卵にサービスの梅干も加わり、小鉢二つが前に置かれる。 「いつもすみません」 頭を下げ、彼女の目の前で梅干を頬張る。いつもより酸っぱい。やっと種を口先に押し出していると、お姉さんがお茶を . . . 本文を読む