昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

1969年。僕たちの宵山 ―昭和少年漂流記第二章―⑤

2017年01月20日 | 日記
4月になった。 勉強しなければ、と思う心に反して、気力は生まれてこなかった。このまま気力なんて完全に喪失してしまうのではないかとさえ思った。 寝転び天井を見つめると、想い浮かぶのは初恋の人と会ったごくわずかの時間と、啓子と過ごした2時間のことばかり。突然背中を突き抜ける不安に襲われても、身体は敷きっ放しの布団にだらしなく沈みこんだまま。どこか確かな処へ向かって動く気配も見せない。そんな状態だっ . . . 本文を読む