昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

1969年。僕たちの宵山 ―昭和少年漂流記第二章―②

2017年01月13日 | 日記
「なんや、とっちゃん!大きな声はあかん言うてるやろ、いつも。もう~!」 小太りのおっちゃんが奥から出てきた。歩くと汗ばむほどの陽気とはいえ、クレープのシャツにステテコは早過ぎる。シャツのボタンが上から二つ外され、胸元から貧相な胸毛も覗いている。 とっちゃんから僕へと転じられたおっちゃんの大きな目が、ギラリと光る。 「何や、配達か?したいんか?」 おっちゃんはカウンターに両手を掛ける。とっち . . . 本文を読む