昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

第三章:1970~73年 石ころと流れ星   22

2011年06月03日 | 日記
「こいつには今夜から働いてもらおう思うてるんやけど、かまへんか?」 僕に異存があるわけもなく、その夜にはコックの弟・耕三と交代することになった。 さっさと部屋に戻り、窓を開け放して窓辺に佇んだ。正面から浴びる夕日が、店のクーラーに一旦引いた汗を呼び戻してくる。台所に行き、シンクの洗面器一杯の水を運んでくる。一気に水を撒き散らして、腰掛ける。 立ち昇ってくる土の匂いを吸い込むと、ふと菜緒子を思 . . . 本文を読む