昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

第二章:1969年:京都新聞北山橋東詰販売所   とっちゃんの宵山 23

2011年01月24日 | 日記
とっちゃんが振り向くこともなく早足で去っていくのを見送り、僕は河原町御池まで急いだ。地上数メートルは明るい空気に包まれているが、空はすっかり夜の闇に包まれている。街の灯りと宵山の照明に赤味を帯びた京都の夏の夜が人混みの熱気と混ざり合い、上半身にまとわりつく。 河原町御池まで引き返し、背伸びして見る。“おっさん”が準備していた屋台は、さすがにもうオープンしているようだ。ひと . . . 本文を読む