昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

第二章:1969年:京都新聞北山橋東詰販売所   とっちゃんの宵山 ⑰

2011年01月01日 | 日記
天井の木目を漫然と見つめている間に、眠りに落ちた。目覚めると、午後3時を回っている。空腹を抱えたまま、販売所へと急いだ。ジーンズとチェックの半袖シャツを自転車の籠に突っ込み、洗いたてのスニーカーを荷台のゴムに挟んでおいた。   真夏の日差しが照りつけていた。配達エリアのお屋敷の何軒かでは、お手伝いさんと思しき女性が庭や玄関先に水を打っていた。生温かく立ち昇る土埃の匂いを走り抜けると、 . . . 本文を読む