昭和少年漂流記

破壊、建設、発展と、大きく揺れ動いた昭和という時代。大きな波の中を漂流した少年たちの、いくつかの物語。

第二章:1969年:京都新聞北山橋東詰販売所   とっちゃんの宵山 ⑳

2011年01月14日 | 日記
前に進もうとする僕を、ジーンズのループに回した指先の力で止めている。振り向くと、口元に力が籠っている。指先に渾身の力を込めているようだ。 訝しく思い様子を窺うと、視線が一点に集中して動かない。新たなきれいなネエチャンの出現か、と舌打ちしたい気分で目線の先を追う。 そこに見えたのは、意外な人物だった。“おっさん”だったのだ。銭湯に来ることがなくなり、次の現場に移動していっ . . . 本文を読む