第二章:1969年:京都新聞北山橋東詰販売所 とっちゃんの宵山 ⑯ 2010年12月27日 | 日記 下宿の6畳に戻ると、決心が揺らぎ始めた。とっちゃんにはまだ告げていないばかりか、販売所の誰にも「とっちゃんと宵山に行ってきます」と宣言していないことにホッとする気持ちが強くなっていた。日々待ち続けている手紙がその日も着いていないことが、僕の心を小さくしているようでもあった。 夕闇が迫る頃、未練がましく一階のポストを見に行き、そのまま食事にと思ったが、その気になれない。暗い6畳に戻り、窓を開けた。 . . . 本文を読む