俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

11月26日(金)

2021-11-26 09:29:45 | 日記
快晴
冬の日にしらしら光樅の幹    正子
樅の枝の緑かがやき冬の晴るる  正子
寒禽と吾のほかにはいぬ林    正子

●5丁目の丘へ。屋敷林には相変わらず鵯がうるさいほど。民家の迎春花の中に四十雀が数羽。初めて見る小鳥2羽。鵯のねぐらになっていると林に、樅の木が2本あるのに気づいた。枝を思い切って落としてある。快晴なのに、富士山は雲がかかって見えない。

●ぶり大根をヘルシオで炊く。ぶり大根の名前がごちそう風なので、作ってみるが、ちょっとぶりの匂いが気になる。ぶりに熱湯かけたり、生姜をいれたりするが、やっぱり匂いが気になる。養殖のせいかもしれない。

●2021年正子の書付俳句を集める(1月1日~11月25日まで。)時間をみて、推敲することにする。何句採れるかが問題。誰のために生きてんだって、思う。

1月
正月の日がしずかなり誕生日     正子
北窓にありてかがやく冬すみれ    正子
コーヒー豆挽いて芳し三が日     正子
墨をするひとつの仕事寒の入  正子
櫟の葉枯れたるままに日を返す 正子
公団に道々の枯葉踏み訪ぬ   正子
七草のセットに蕪の白さあり   正子
風の日の店に伊予柑売り始め   正子
金柑の大粒にして売られけり   正子
松過ぎの風の凍てしも心地よき   正子
寒晴れにガラス戸の部屋丸見えに  正子
ほうれん草茎の明るさ求め買う   正子
松過ぎのまだかたくなに梅蕾 正子
ホースの水流れしままに氷つく 正子
 句美子より誕生日に
冬薔薇の赤の深みを見て飽かず 正子
アルプスの雪嶺見ゆまで坂のぼる 正子
寒禽の重さに枝の揺れづめに   正子
寒晴の空にさみどり辛夷の芽   正子
栴檀の実が金色を失えり     正子
冬深し鳥飛ぶ波形空に見て    正子
寒禽は留守らし藪のしずかさは  正子
蝋梅に朝日もっとも射している 正子
蝋梅の日に透け花の色かろし  正子
冬晴れに声を響かす四十雀   正子
紅梅に寒き風あり道尽きて
紅梅に寒き風あり野がひらけ
万作の枯葉密なり落葉せず     正子
東風吹くと顔あげて見る風の色   正子
枯木より明るさ生まれ風生まれ   正子
水深く浸けて生かしぬ冬の薔薇 正子
球根の芽にふりかかる寒の雨  正子
寒竹林ちらちら空の青がもれ  正子
石段の濡れてころがる落椿   正子
やぶ椿空から光り受けており  正子


2月
葉に残る塩味あわし桜餅    正子
塗椀に息立つごとく三つ葉芹   正子
満月のずっしり重く冬終わる   正子
立春の湯をたぎらせて紅茶淹れ 正子
立春の真昼お客の誰もなし   正子
立春や『犬の気持ちが分かる本』正子
沈丁花固き蕾の待たれける     正子
椋鳥の頭の汚れしも暖かし     正子
枯芝の水漬いて青き若き草     正子
手袋に銀の刺繍や老婦人       正子
外に出れば春の霙のますぐ降る    正子
春浅き夜の電車に皆スマホ      正子
枝垂れ梅枝の通りに花蕾     正子
寺山の麓椿のこちら向き     正子
藤棚の格子の影のあたたかし   正子
 金蔵寺3句
風光る桜木みずをめぐらして  正子
白梅の蕾無数の納経所     正子
黄水仙束ねて売りぬ納経所   正子
電線に連雀番う二月かな      正子
五分咲きの梅の真白さ生きいきと  正子
野梅の香マスク通してツンと来ぬ  正子
白梅の蜜吸う目白白にまみれ    正子
白梅の古木となりし納経所     正子
枝垂れ梅地に触れそうに咲きなだれ 正子
蛇口に置く桜一枝満開に   正子
産直の菜ものに混じり桜の枝 正子
桜の枝はやくも持ちて電車内 正子
一日のあたたかさ得て桜散る    正子
砥部焼に挿して桜の濃き色よ    正子
梅散りぬ花びら真白に地をうずめ  正子
電線にはるか見て鳴く春鶺鴒 正子
鶺鴒の白色春の空に溶け   正子


3月
白壁のあかるさ白れん咲き始め 正子
木蓮のわさと咲きたり曇空 正子
店頭に一輪むらさき都忘れ 正子
海棠の蕾をつつみ雨しずく 正子
一輪の桜咲くなりみずみずし 正子
一輪の桜蕾の濃き紅色    正子
黄みどりの桜蕾の尖る空   正子
農協の玻璃をふさぎて花辛夷  正子
柿芽吹く烏ほおじろ共に枝に  正子
海棠の蕾つぶらに雨のあと   正子
朝桜蕾に紅の色が見ゆ    正子
桜蕾枝いっせいに紅を帯び  正子
古きよき甍を春の日がすべる 正子
包帯で親指守る日桜咲く       正子
四十雀初めの小節柿の木に      正子
雨あとの春日水のごとく透け     正子


4月
駅まではからすのえんどう花盛り 正子
くれないも白も吹かれて花水木  正子
山藤に花房はやも留守の家     正子
新緑にはるかな友を祈りけり    正子
若葉して鳥の模様の浮き立ちぬ   正子  
新緑の欅の高さに教会も 正子
おがたまの花に雨粒ころがりぬ   正子
ラベンダー乙女ならずも嗅ぎにけり 正子
王配の喪中に買いぬラベンダー   正子
鳴きおえてまっしぐらなり初燕   正子
つばくらめキー打つ合間野に出で来 正子 
朝烏からすの豌豆実をつけし    正子
初燕水道工事の水が噴き     正子
燕来て夜の冷えたる二三日    正子
新緑となりてそびえぬ桂の木   正子
つばくらめ連れ立ち飛べることもあり 正子
つばくらの声のまとまる屋根瓦    正子
春昼の家内に文庫の背が光り     正子
夕暮れて灯の下さばく桜鯛 正子
桜鯛鱗の青の潮しずく   正子
麦秋の大家族なりみな若き 正子
鯛めしに小さきながら桜鯛     正子
百合育つ葉脈まるで笹の葉よ    正子
薔薇垣に沿いて薔薇の香おもいきり 正子
白さゆえ夜も匂えり花蜜柑    正子
鳥籠のごとく網かけさくらんぼ  正子 
風無尽アカツメクサの野がありて 正子


5月
つばくらめ胸の白さを朝の日に  正子
ライ麦のみどり青かりわが背越え 正子
ミニ薔薇に朝露置くも小さかり  正子
新緑の銀杏並木に海近し 正子
ライ麦の青き穂先に空が透け   正子
しなやかに空を打ちたり栃若葉  正子
吹き荒るる風に白薔薇はげしき花 正子
昼顔に風強まりぬ眺む間に 正子
薔薇散れり微光の空を後ろ盾    正子
朝よりの風は休まず昼顔に     正子
遠目にも薔薇の散るさま見えており 正子


6月
鉄砲百合群舞のごとくすくと立ち  正子
若鮎のそばに小鮎の売られけり   正子
梅洗う清水のごとき水道水     正子
雨かかりながらはじめて百合ひらく 正子
かたむきて開く朝の百合であり   正子
青梅の中に紅濃く色づくも     正子
腰かけて傾く黄百合をガラス越し 正子
梅雨の灯に解かれいたる書生縞  正子
曇たる未明を咲きぬミニ薔薇   正子
青梅の黄ばみつつ沈みつつ漬かる  正子
緋めだかの細きも浮いてきたりけり  正子
紫陽花のうすき水色晴れ予報     正子
肩までに百合の丈伸びまだ蕾     正子
咲き初めし梔子けさを純白に    正子
実南天出合い頭にすずしさを    正子
あじさいの毬やや錆びてピアノ鳴る 正子
シーダーに夏鶯の長鳴ける 正子
山畑のすずしさ雉鳩啄みて 正子
若竹のみどり濃くなる雲放ち 正子
夏霞鉄塔ばかり光るなり   正子
夏燕影を落とさず飛ぶ高さ  正子
六月の空を航く灯の明滅は  正子
菜種殻雀すがればたわむなり   正子
蚯蚓の句師の句なりせば彷彿され 正子
五月闇りりと鳴くもの土におり  正子
尾をふりつつ鳴く老鶯のうまし声 正子
夏至の日や海風吹かばと思いけり  正子
夏至の午後はやばや酢飯作り置く  正子
西瓜切れば三角形の立ち並ぶ    正子
しろがねの朝の雲へと立葵  正子
老鶯を切っ先に止め避雷針  正子
若竹のほどけし緑朝日受け  正子
朝顔の未明の空とおなじ白      正子
梅洗う梅ひとつぶずつに銀の水    正子
梅雨夕餉小さき皿の菜(さい)並べ  正子
乱雑というべく咲きぬ白き百合    正子
百合のしべ臙脂色もて汚すなよ    正子
焼き鮎に塩の白さの残りたる     正子


7月
ひと窓をカサブランカの白が占め 正子
月桃の花を見しより海思う   正子
水あたらし目高に泳ぐ速さあり 正子
炎暑来て薔薇けなげに花咲かす 正子
青紫蘇を数枚もいで胡瓜もみ  正子
遠蝉の声みんみんの声ばかり 正子
熊蝉を鳴かせて楠の一大樹  正子
白芙蓉・槿に出会う道一筋  正子
オリンピック始まる空に夏満月 正子
土用入りハムと卵とよく冷やて 正子
桃食べむ種快くはずれ     正子
肌白き桃の名にある「清水」の字 正子
三角に西瓜を切れば水あふれ   正子
入道雲空水色をを広げたり    正子
炎天に鳥口笛を吹いて鳴く    正子
朝涼の卓にピザのあつあつを   正子
切花の夏菊いきいき売られけり  正子


8月
打ち重なる蓮の花びら空掬い 正子
カーテンのレースが翳り晩夏かな   正子
晩夏の日差し物干し竿の金属に   正子
晩夏かなレモングラース湯に香り   正子
鶏頭の赤き色あり盆の花    正子
黒葡萄ぎっしり露けき藍をおび 正子
ガラス窓巡るわが家に盆の雨  正子
盆休み無人のあかりの郵便局    正子
朝の卓パンに無花果添えにけり   正子
出窓打つ盆の雨音定まらず     正子
萩に置くおびただしいまで雨の露 正子
山鳩の移り鳴くなり秋の雨    正子
薔薇の実の色づきはじめ秋暑し 正子
布袋草うす紫を日に透かし   正子
夕立の雨粒白しわが家まで   正子
秋の雲かるく浮きたり日の出前 正子
赤とんぼシャツ干す前を水平に 正子
行きて戻る光まみれの赤とんぼ 正子
満月を見上げて帰途へ別れゆく 正子
詰められて酢橘青あおあおパックに透け 正子
秋暑しおこわの栗のほの甘し     正子
浜梨を大袋に詰め農協らし      正子
暑に耐える西瓜の水を恃みつつ  正子
みんみんを聞きつ死に蝉掃きて捨つ  正子
扇風機回るとき羽の無色なり    正子


9月
  句美子の誕生日。
目覚めるや秋冷まとう誕生日 正子
鶏頭も朝顔も子の誕生日   正子
朝顔のひと色咲きて誕生日  正子
夜々鳴ける青松虫に慣れてきぬ   正子
曇たる夜もりんりんと青松虫    正子
見送れる子が振り返る虫の夜    正子
草の実に雀らたのしげに群るる   正子
病棟の空に秋雲いろいろと     正子
まとめ売るししとう・蓮根・枝豆と 正子
25.青ぎんなん雨の落とせる一顆なり
26.木犀の香の濃くなりて花に遇う
27.見送れる子の振り返る虫の
青みどりの艶がうれしさ青蜜柑   正子
青ぶどう老いたる指がもぎて食ぶ  正子
中包みの和紙あたたかし秋の昼   正子
秋晴に見ゆるものみな晴れ晴れと 正子
秋晴の日を存分に干せし衣に  正子
秋晴に書を片づけることをまず 正子
病院へ踏みゆく芝に露深し   正子
芝露のきらきら遠くまで広場  正子
満月の夢見るごとく虹の暈   正子
咲きだして自ずを束に曼珠沙華  正子
純粋の赤の燃え立つ曼珠沙華   正子
 表参道の裏道
噴水に水なきときや秋日和    正子
秋冷に山鳩ふいに鳴きはじめ   正子
秋冷に目覚めて聞こゆ荷を引く音 正子
栗の艶失われつつ店頭に     正子
桃買いぬ養生食として二つ     正子
秋の街暮れゆくときの孤愁の香   正子
どこ産の秋刀魚かと聞く男の子なり 正子
朝顔の蔓に枯れ色みえはじめ   正子
朝顔の紫濃ゆし咲き残り     正子
さつま芋二個の重量分けくれぬ  正子
朝焼けのひとときありぬ芋畑  正子
酔芙蓉白と紅とが分かつ朝   正子
露草の青の散らばる貸農園   正子


10月
30.秋夕べ芋の葉半分ずつ陰り
28.流れ吹く風に流され花芒
29.駅前に白がゆかしき貴船菊
渡り蟹まっかに茹り朝の家事   正子
渡り蟹記憶よみがえりつつ茹でる 正子
ガスの炎も灯もあわし栗を煮る  正子
階上の人引っ越してしんと秋  正子
新米のむすびまん丸胡麻を振り 正子
新米に大根なますのお菜のみ  正子
菊の葉の色濃き上を水流れ  正子
提げて持つ袋にずっしり里芋も 正子
秋野菜こまごま買いぬ直売所 正子
鉦叩小菊の蔭に打ち続け     正子
秋薔薇の小さきものも皆澄みぬ  正子
渋皮煮あじわうときの灯がうすし 正子 


11月
秋の陽に当てし布団のすがしさよ  正子
秋の夜のふっと清しき布団の香   正子
新あずき重さほどよき袋詰め    正子
日当たりて菊の匂いの麓より    正子
菊の香の日に立ちあがる清しさよ  正子
青空に雲あり菊の香が立てり    正子
えご黄葉脩先生は花を詠み     正子
雨後の陽が差しきてえごの黄葉照る 正子
二切れの大根ま昼間ふろふきに   正子
電気店照明器具に冬灯       正子
クリスマス絵本の光このコーナー  正子
小鳥来て桜の枝の裏がわに     正子
雪降るを見せず雪嶺の確とあり  正子
鵯の鳴く声ばかりのさびしさよ  正子
山茶花の白が増え咲けく丘の家  正子
花束のままの冬薔薇ぐんと咲く 正子
冬満月金の軌道のあるごとく  正子
冬満月頭上に小さき輝きを   正子


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