★朝影のみどりの深き夏ポプラ 正子
鬱蒼と葉を茂らせたポプラの木。清々しい朝日を浴びて緑に一段と深みが感じられます。堂々とした大樹の佇まいが見えてきます。(河野啓一)
○今日の俳句
天と地を結ぶ棚田の早苗かな/河野啓一
早苗を植えた棚田が地から天まで続く。天と地が薄緑の早苗で結ばれた。この発想が大きい。(高橋正子)
○捩花(ねじばな)・文字摺草
[捩花/日吉本町]
★ねじ花をゆかしと思へ峡燕/角川源義
★見えて来る距離見えぬ距離文字摺草/稲畑汀子
★文字摺草ありし辺りへ杖運ぶ/村越化石
★捩花に今年よき年数咲きて/宮津昭彦
★捩花のそよぎ送電塔真下/笹家栄子
★不器用な青春なりし捩り花/岩岡中正
★白く咲くコップの中の捩り花/新妻奎子
★捩花の影は一筋素直なる 藤岡紫水
★捩り花きちんと捩れ自決の地/山田正子
捩花(ネジバナ)は、ラン科ネジバナ属の小型の多年草。別名がモジズリソウ(綟摺草)。湿っていて日当たりの良い、背の低い草地に良く生育する。花色は通常桃色で、小さな花を多数細長い花茎に密着させるようにつけるが、その花が花茎の周りに螺旋状に並んで咲く「ねじれた花序」が和名の由来である。「ネジレバナ」、「ネジリバナ」、「ねじり草(そう)」とも呼ばれる事もある。学名のSpiranthes(スピランセス)は、ギリシャ語の 「speira(螺旋(らせん))+ anthos(花)」に由来する。花茎から伸びる子房は緑色で、茎に沿って上に伸び、その先端につく花は真横に向かって咲く。花茎の高さは10-40 cm。 花は小さく、5弁がピンク、唇弁が白。花のつく位置が茎の周りに螺旋状であるため、花茎の周りにピンクの花が螺旋階段のように並ぶことになる。この螺旋は右巻きと左巻きの両方が見られる。白花や緑色の個体もしばしば見られる。コハナバチのような小形のハナバチなどが花粉塊を運んで他花受粉が起こると考えられるが、長期にわたって花粉塊が運び去られないと、これが崩壊して柱頭に降りかかり、自家受粉を成立させることが知られている。開花時期は4-9月。葉は柔らかく厚みがあり、根出状に数枚つける。冬期は楕円形だが生育期間中は細長く伸びる。根は極めて太短く、細めのサツマイモのような形で数本しかない。ごく稀に真っ白い花をつける個体(シロネジバナ)が見られ、園芸愛好家に特に好まれる。日本全土[7]、ヨーロッパ東部からシベリアにかけて、温帯・熱帯アジア全域、オセアニアなどに広く分布する。ラン科ではめずらしく、芝生や土手、都市公園等の人間の生活圏に近い所で普通に見ることができる。この為、ともすれば花の綺麗な雑草として扱われ、芝刈り機で刈り取られてしまう。他方、その花の可愛らしさから、昔から愛でられ、愛好家主催の展示即売会等で、山野草として販売される事もある。昭和の終わり頃、当時の野生ランブームの中で管状の葉や斑入りなどの変異個体を収集するのが流行したが、後述のように単独栽培や株分けによるクローン増殖が困難なこともあって、ごく一部を除いて保存されていない。
もじずり草は、「湿っていて日当たりの良い、背の低い草地によく生育する」ということであるから、こういう土地は、生活圏の思わぬところにある。田圃が埋め立てられて住宅地とされる場合が多いが、そういった団地などのクローバーや芝生のなかにもじずり草がよく咲いている。愛媛の砥部に住んでいたときは、家の裏手の遊歩道に、ぽつぽつと咲いていた。日吉本町では、近くのUR機構の公団の広場に一面に咲いている。この一面に咲く花を踏まないよう写真を撮りながら歩いていると、団地の老婦人が、何があるのかと声をかけてくることがある。「もじずり草ですよ。ねじばなですよ。」というが、「何のことだか。」と言う表情を返してくる。多くの住人は気付いて居ないのかもしれないが、それこそ一面に咲いているのである。もちろん、かわいらしい。盆栽風に鉢植えにして身近に置けば、可愛いだろう。
★もじずりの抜き出し草もみな低し/高橋正子
★もじずりの螺旋しっかり空へ巻く/高橋正子
◇生活する花たち「紫陽花・立葵・百日草」(横浜・四季の森公園)
鬱蒼と葉を茂らせたポプラの木。清々しい朝日を浴びて緑に一段と深みが感じられます。堂々とした大樹の佇まいが見えてきます。(河野啓一)
○今日の俳句
天と地を結ぶ棚田の早苗かな/河野啓一
早苗を植えた棚田が地から天まで続く。天と地が薄緑の早苗で結ばれた。この発想が大きい。(高橋正子)
○捩花(ねじばな)・文字摺草
[捩花/日吉本町]
★ねじ花をゆかしと思へ峡燕/角川源義
★見えて来る距離見えぬ距離文字摺草/稲畑汀子
★文字摺草ありし辺りへ杖運ぶ/村越化石
★捩花に今年よき年数咲きて/宮津昭彦
★捩花のそよぎ送電塔真下/笹家栄子
★不器用な青春なりし捩り花/岩岡中正
★白く咲くコップの中の捩り花/新妻奎子
★捩花の影は一筋素直なる 藤岡紫水
★捩り花きちんと捩れ自決の地/山田正子
捩花(ネジバナ)は、ラン科ネジバナ属の小型の多年草。別名がモジズリソウ(綟摺草)。湿っていて日当たりの良い、背の低い草地に良く生育する。花色は通常桃色で、小さな花を多数細長い花茎に密着させるようにつけるが、その花が花茎の周りに螺旋状に並んで咲く「ねじれた花序」が和名の由来である。「ネジレバナ」、「ネジリバナ」、「ねじり草(そう)」とも呼ばれる事もある。学名のSpiranthes(スピランセス)は、ギリシャ語の 「speira(螺旋(らせん))+ anthos(花)」に由来する。花茎から伸びる子房は緑色で、茎に沿って上に伸び、その先端につく花は真横に向かって咲く。花茎の高さは10-40 cm。 花は小さく、5弁がピンク、唇弁が白。花のつく位置が茎の周りに螺旋状であるため、花茎の周りにピンクの花が螺旋階段のように並ぶことになる。この螺旋は右巻きと左巻きの両方が見られる。白花や緑色の個体もしばしば見られる。コハナバチのような小形のハナバチなどが花粉塊を運んで他花受粉が起こると考えられるが、長期にわたって花粉塊が運び去られないと、これが崩壊して柱頭に降りかかり、自家受粉を成立させることが知られている。開花時期は4-9月。葉は柔らかく厚みがあり、根出状に数枚つける。冬期は楕円形だが生育期間中は細長く伸びる。根は極めて太短く、細めのサツマイモのような形で数本しかない。ごく稀に真っ白い花をつける個体(シロネジバナ)が見られ、園芸愛好家に特に好まれる。日本全土[7]、ヨーロッパ東部からシベリアにかけて、温帯・熱帯アジア全域、オセアニアなどに広く分布する。ラン科ではめずらしく、芝生や土手、都市公園等の人間の生活圏に近い所で普通に見ることができる。この為、ともすれば花の綺麗な雑草として扱われ、芝刈り機で刈り取られてしまう。他方、その花の可愛らしさから、昔から愛でられ、愛好家主催の展示即売会等で、山野草として販売される事もある。昭和の終わり頃、当時の野生ランブームの中で管状の葉や斑入りなどの変異個体を収集するのが流行したが、後述のように単独栽培や株分けによるクローン増殖が困難なこともあって、ごく一部を除いて保存されていない。
もじずり草は、「湿っていて日当たりの良い、背の低い草地によく生育する」ということであるから、こういう土地は、生活圏の思わぬところにある。田圃が埋め立てられて住宅地とされる場合が多いが、そういった団地などのクローバーや芝生のなかにもじずり草がよく咲いている。愛媛の砥部に住んでいたときは、家の裏手の遊歩道に、ぽつぽつと咲いていた。日吉本町では、近くのUR機構の公団の広場に一面に咲いている。この一面に咲く花を踏まないよう写真を撮りながら歩いていると、団地の老婦人が、何があるのかと声をかけてくることがある。「もじずり草ですよ。ねじばなですよ。」というが、「何のことだか。」と言う表情を返してくる。多くの住人は気付いて居ないのかもしれないが、それこそ一面に咲いているのである。もちろん、かわいらしい。盆栽風に鉢植えにして身近に置けば、可愛いだろう。
★もじずりの抜き出し草もみな低し/高橋正子
★もじずりの螺旋しっかり空へ巻く/高橋正子
◇生活する花たち「紫陽花・立葵・百日草」(横浜・四季の森公園)