俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

6月9日(火)

2015-06-09 09:40:06 | 日記
★蛍ぶくろ霧濃きときは詩を生むや  正子
蛍袋は白や紫の釣鐘状の花が下向きに咲き、その奥ゆかしい姿はとても美しく山野草としても愛される花です。また名前から来るイメージ、まして濃き霧の中にうっすらと咲いていれば尚更に詩を生む情景が整い、御句に豊かな詩情を感じます。 (佃 康水)

○今日の俳句
早苗田に母屋どっしり映さるる/佃 康水
母屋の傍から田が広がる。田植えが済んだ田には、早苗の影ばかりではなく、母屋のどっしりと建物が映っている。田植えの後の安堵と、秋の実りが約束されている明るさがある。(高橋正子)

○花菖蒲

[花菖蒲/横浜・四季の森公園]

★何某の院のあととや花菖蒲/高浜虚子
★日の出前にぬれしや菖蒲花ゆたか/渡辺水巴
★菖蒲園かがむうしろも花昏れて/橋本多佳子
★風吹きゆかす花びら薄き花菖蒲/高橋信之
★菖蒲田の中へ木道まっすぐに/高橋信之

 こどもの頃、菖蒲と言えば、生家の裏の池の黄菖蒲しか知らなかった。端午の節供には父がどこからか菖蒲を刈ってきて、いつも花がないなあと思った記憶がある。花菖蒲と菖蒲湯に使う菖蒲は違うものということだ。花菖蒲をよく知るようになったのは、嵯峨御流のお花を習ってからである。葉の特徴、花の向き、葉の組み方など手にとって良く見た。生花として活けるときは、水から出たばかりの葉もそれらしく、葉もきれいに組みなおして、花も尖った方を前にして活けるなどした。昭和40年代から50年代にかけて、松山近郊に菖蒲園があちこちできた。道後温泉から奥道後へゆく途中の山手に広い菖蒲園が開園となって見に出かけたことがある。もとは田圃であったのであろう。満目の菖蒲の花が風に翻るさまは、静かながらも華やかな世界である。足元を気にしながら、たいていは傘をさして、菖蒲園を巡る。近くでは、横浜の四季の森公園にも小規模ながら菖蒲園がある。菖蒲園というより菖蒲田という感じだ。山の水を引き込んである。ほとりの小川には蛍が飛び交うということだ。昨日6月11日、信之先生が、写真を撮りに出かけたら、ちょうど花菖蒲が咲き始め、それもかなり咲いていた。我が家のあたりは曇りであったし、天気予報も穏やかな曇りとあるので、傘を持たずに出かけたが、やはり山である四季の森公園は雨で、雨滴のついた花菖蒲の写真が出来上がった。色も紫、白、うすいピンク、それらの絞りなど、多彩。梅雨を迎えて花菖蒲、紫陽花と花が溢れている日本である。
 
★菖蒲田に山から水を引き入れし/高橋正子

花菖蒲(ハナショウブ、Iris ensata var. ensata)はアヤメ科アヤメ属の多年草である。 ハナショウブはノハナショウブ(学名I. ensata var. spontanea)の園芸種である。6月ごろに花を咲かせる。花の色は、白、ピンク、紫、青、黄など多数あり、絞りや覆輪などとの組み合わせを含めると5,000種類あるといわれている。大別すると、江戸系、伊勢系、肥後系の3系統に分類でき、古典園芸植物でもあるが、昨今の改良で系統色が薄まっている。他にも原種の特徴を強く残す山形県長井市で伝えられてきた長井古種や、海外、特にアメリカでも育種が進んでいる外国系がある。近年の考察では、おそらく東北地方でノハナショウブの色変わり種が選抜され、戦国時代か江戸時代はじめまでに栽培品種化したものとされている。これが江戸に持ち込まれ、後の三系統につながった。長井古種は、江戸に持ち込まれる以前の原形を留めたものと考えられている。一般的にショウブというと、ハナショウブを指すことが多い。しかし、菖蒲湯に使われるショウブは、ショウブ科またはサトイモ科に分類される別種の植物である。(フリー百科事典「ウィキペディア」より)


◇生活する花たち「紫陽花・立葵・百日草」(横浜・四季の森公園)
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