俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

2月12日(木)

2015-02-12 07:36:49 | 日記
★梅の花いつもきれいな青空に   正子
梅の開花を迎える今の時季は気候も定まらず、風がよく吹き、まさに吸い込まれそうな青空の事が多いようです。寒梅の折に見上げる空は、先ずきれいな青空があって、その青空を背景に梅見です。きれいな青空と梅の花の情景がよく想われ、寒梅を楽しまれた事でしょう。(桑本栄太郎)

○今日の俳句
ぱつちりと土手にちらばり犬ふぐり/桑本栄太郎
犬ふぐりの花は、ぱっちりと開いた小さな青い瞳のようだ。土手に散らばって咲く姿がまた可憐である。(高橋正子)

○紅梅

[紅梅/横浜・四季の森公園]

★紅梅や見ぬ恋つくる玉すだれ 芭蕉
★紅梅や入日の襲ふ松かしは 蕪村
★紅梅や照日降日の中一日 暁台
★紅梅や大きな弥陀に光さす 太祇
★紅梅にほしておくなり洗ひ猫  一茶
★紅梅や雨のふりたるぬり盥 成美
★梅の中に紅梅咲くや上根岸 子規
★紅梅や文箱差出す高蒔絵 漱石
★紅梅や日和の影を雲の上/長谷川櫂
★坂下はすぐに汀や薄紅梅/小澤克己
★紅梅や湯上りの香の厨ごと/岡本眸
★紅梅に空あをくなれ青くなれ/林翔
★紅梅や庭に富士見の丘築き/宮津昭彦
★紅梅のつめたき枝をさしかはし/高田正子

四季の森公園へ行った帰り道、辛夷が無数に蕾を付ける街路樹のある歩道を脇に入ったところ。紅梅の匂いがした。紅梅のあることを知らなかった場所にこれも無数の蕾を付けた紅梅の木が立っている。二本。ふくよかな匂いがする。かすかに薔薇のような匂いがする。まじまじと見れば童女のようにあどけない。

★おしばなの紅梅円形にて匂う/高橋正子

 日記帳にひそかに挟み、忘れたころに見つかる。押し花になってもいい匂いがする。自分の、誰に見せるわけでもない小さな宝物である。

★紅梅咲く隣家に黒衣の人出入り/高橋正子
うららかな紅梅日和、法事があるのだろう。黒衣が日にきらめいていた。

 梅 (うめ、学名:Prunus mume)は、薔薇(ばら)科。開花時期は、1月中旬頃から咲き出すもの、3月中旬頃から咲き出すものなど、さまざま。漢名でもある「梅」の字音の「め」が変化して「うめ」になった。中国原産。奈良時代の遣隋使(けんずいし)または遣唐使(けんとうし)が中国から持ち帰ったらしい。「万葉集」の頃は白梅が、平安時代になると紅梅がもてはやされた。万葉集では梅について百首以上が詠まれており、植物の中では「萩」に次いで多い。別名は「好文木」(こうぶんぼく)、「木の花」(このはな)、「春告草」(はるつげぐさ)、「風待草」(かぜまちぐさ)。1月1日、2月3日の誕生花。花言葉は「厳しい美しさ、あでやかさ」
 ウメにまつわる言葉
 「桜伐(き)る馬鹿、梅伐らぬ馬鹿」 春先に咲く代表的な花である桜と梅のふたつを対比しつつ、栽培上の注意を示したもの。桜はむやみに伐ると切り口から腐敗しがちであり、剪定には注意が必要。一方、梅の樹は剪定に強く、むしろかなり切り詰めないと徒枝が伸びて樹形が雑然となって台無しになるばかりでなく、実の付き方も悪くなる。花芽は年々枝先へと移動する結果、実が付く枝は通常数年で枯れ込んでしまう。実の収穫を目的とするのであれば、定期的に枝の更新を図る必要があるからである。
 「東風(こち)吹かば にほひおこせよ梅の花 主なしとて 春な忘れそ」
 菅原道真が大宰府に左遷されるとき、道真の愛した庭の梅の花に別れを惜しんで詠んだ歌。後に庭の梅木が道真を追って大宰府に飛んできた、という「飛梅伝説」がある。
 「桃栗三年、柿八年、柚(ゆず)の馬鹿野郎十八年、梅はすいすい十六年」
 種を植えてから実を収穫できるまでの期間を指す俚謡。本来は「桃栗三年柿八年」で一つの諺。「物事は簡単にうまくいくものではなく、一人前になるには地道な努力と忍耐が必要だ」という教訓である。


◇生活する花たち「シナマンサク・マンサク・ハヤザキマンサク」(東大・小石川植物園)
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