俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

8月18日(月)

2014-08-18 05:00:05 | 日記
★白萩のこぼれし花を掃く朝な  正子
晩夏から初秋にかけて咲く萩の花は、思いのほか花期が長く、大変趣きのある万葉の古より親しまれている花ですね。早朝の門辺に、白萩のをこぼれ萩を掃く清涼なる光景が想われ、涼やかで素敵です。(桑本栄太郎)

○今日の俳句
鬼やんま少年の日の遠きかな/桑本栄太郎
ついっと目の前に現れた鬼やんま。鬼やんまはいつも魅力的だが、少年の日はさらに心躍らせるものだった。遠い少年の日が思われる。(高橋正子)

○芙蓉

[白芙蓉/横浜日吉本町]           [酔芙蓉/横浜日吉本町]

★枝ぶりの日ごとに替る芙蓉かな 芭蕉
★露なくて色のさめたる芙蓉哉 子規
★露けさの庵を繞りて芙蓉かな 漱石
★芙蓉見て立つうしろ灯るや 碧梧桐
★母とあればわれも娘や紅芙蓉 かな女
★日輪病めり芙蓉の瓣の翳ふかく 亞浪
★さわさわと松風わたる芙蓉かな 風生
★三味線も器用に弾きて芙蓉かな 万太郎
★朝な梳く母の切髪花芙蓉 久女
★街道に芙蓉の家の静かかな 秋櫻子
★日輪のさやかに見ゆる芙蓉かな 淡路女
★狼藉や芙蓉を折るは女の子 虚子
★豊満の美に佛性や紅芙蓉 風生
★菜園のほとり芙蓉を咲かしめぬ 鷹女
★白芙蓉暁けの明星らんらんと 茅舎
★美しき芙蓉の蟲をつまはじき 夜半
★水櫛に髪しなやかや花芙蓉 汀女
★ふるさとを去ぬ日来向ふ芙蓉かな 不器男
★紅芙蓉白芙蓉又紅芙蓉 立子
★亡母訪ねくるよな夕焼白芙蓉 林火
★師の齢いくつ越えしや芙蓉は実に 波郷

 松山の郊外に一時住んでいたときは、玄関に芙蓉があり、花に隠れて水道があった。そこでは、盥で洗濯をしたが、花の傍で水をいっぱい使って洗濯をすると、気分もさわやかだった。

★雲が来て風のそよげる花芙蓉/高橋正子
★深まれる秋の真中の酔芙蓉/〃

 フヨウ(芙蓉、Hibiscus mutabilis)はアオイ科フヨウ属の落葉低木。種小名 mutabilisは「変化しやすい」(英語のmutable)の意。「芙蓉」はハスの美称でもあることから、とくに区別する際には「木芙蓉」(もくふよう)とも呼ばれる。原産地は中国で、台湾、日本の沖縄、九州・四国に自生する。日本では関東地方以南で観賞用に栽培される。幹は高さ1.5~3m。寒地では冬に地上部は枯れ、春に新たな芽を生やす。葉は互生し、表面に白色の短毛を有し掌状に浅く3~7裂する。7~10月始めにかけてピンクや白で直径10~15cm程度の花をつける。朝咲いて夕方にはしぼむ1日花で、長期間にわたって毎日次々と開花する。花は他のフヨウ属と同様な形態で、花弁は5枚で回旋し椀状に広がる。先端で円筒状に散開するおしべは根元では筒状に癒合しており、その中心部からめしべが延び、おしべの先よりもさらに突き出して5裂する。果実はさく果で、毛に覆われて多数の種子をつける。同属のムクゲと同時期に良く似た花をつけるが、直線的な枝を上方に伸ばすムクゲの樹形に対し、本種は多く枝分かれして横にこんもりと広がること、葉がムクゲより大きいこと、めしべの先端が曲がっていること、で容易に区別できる。
 スイフヨウ(酔芙蓉、Hibiscus mutabilis cv. Versicolor) 朝咲き始めた花弁は白いが、時間がたつにつれてピンクに変色する八重咲きの変種であり、色が変わるさまを酔って赤くなることに例えたもの。なお、「水芙蓉」はハスのことである。混同しないように注意のこと。 アメリカフヨウ(草芙蓉(くさふよう)、Hibiscus moscheutos、英: rose mallow) 米国アラバマ州の原産で、7~9月頃に直径20cmにもなる大きな花をつける。草丈は1mくらいになる。葉は裂け目の少ない卵形で花弁は浅い皿状に広がって互いに重なるため円形に見える。この種は多数の種の交配種からなる園芸品種で、いろいろな形態が栽培される。なかには花弁の重なりが少なくフヨウやタチアオイと似た形状の花をつけるものもある。


◇生活する花たち「葛の花・女郎花・萩」(東京・向島百花園)
コメント (1)
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