俳句日記/高橋正子

俳句雑誌「花冠」代表

8月17日(土)

2013-08-17 02:30:16 | Weblog
★藤袴山野の空の曇り来し  正子
秋の七草の一つの藤袴、淡い紫紅色の小花がそこはかとなく郷愁を誘い、古来より日本人に愛されてきました。山野の「曇り来し」空のもと、地味ながら、野趣に富む藤袴の花の味わいがよりいっそう感じられます。(藤田洋子)

○今日の俳句
真珠筏浸し秋の海澄めり/藤田洋子
「浸し」が秋海の澄んだ水をよく感じさせてくれる。秋海の澄んだ水に浸され殻を育てている真珠は、美しく輝く珠となることであろう。(高橋正子)

○青柿

[青柿/横浜日吉本町]

★青柿やこの道に師と呼ばしめず/石田波郷
★柿青し鏡いらずの髭を剃る/石川桂郎
★お前も力つきたかと並ぶ青柿/加藤昭夫

台風がくる9月、青柿が台風の風雨で落ちることがある。窓から柿の木が台風になぶられて青柿がぶつかりあっているのを見る。柿の木は田舎にはどの家にもあるほどで、「柿の木のある家」などという童話も記憶している。小学生のころ運動会は、10月の初めに行われた。ちょうど青蜜柑が出回るころで、柿もはやく熟れないかなあと待ち遠しかった。柿の花は、四角で座布団のようだといつも思うが、生り初めは、本当に花の通りに四角。育ってくると、富有柿などは丸みを帯びてくる。そのまま四角な柿もある。青柿を見れば、朱色に熟れる日が楽しみになる。
柿は日本だけのものと思っていたが、ドイツに旅行した時7月の終わりだったが、フランクフルトのマーケットで見た。林檎と同様に、オーストラリアから輸入されたものらしかった。カキとよばれるのか、パーシモンと呼ばれるのか、その時は確かめなかったが、世界の市場でも見られるようだ。ちなみに、柿の木は折れるから、登るなと木登りは厳禁であった。

★ガラス窓拭けば青柿丸見えに/高橋正子
★台風過ぎし庭に青き葉青き柿/〃

 カキノキ(柿の木)は、カキノキ科(Ebenaceae)カキノキ属(Diospyros)の落葉樹カキノキ(D. kaki)である。東アジアの固有種で、特に長江流域に自生している。熟した果実は食用とされ、幹は家具材として用いられる。葉は茶の代わりとして加工され飲まれることがある。果実はタンニンを多く含み、柿渋は防腐剤として用いられ。現在では世界中の温暖な地域(渋柿は寒冷地)で果樹として栽培されている。雌雄同株であり、雌花は点々と離れて1か所に1つ黄白色のものが咲き、柱頭が4つに分かれた雌しべがあり、周辺には痕跡的な雄しべがある。雄花はたくさん集まって付き、雌花よりも小さい。日本では5月の終わり頃から6月にかけてに白黄色の地味な花をつける。果実は柿(かき)と呼ばれ、秋に橙色に熟す。枝は人の手が加えられないまま放って置かれると、自重で折れてしまうこともあり、折れやすい木として認知されている。
 日本から1789年にヨーロッパへ、1870年に北アメリカへ伝わったことから学名にも kaki の名が使われている。英語で柿を表す「Persimmon」の語源はアメリカ合衆国東部の先住民であるアルゴンキン語族の言葉で「干し果物」を意味する名詞「ペッサミン」であり、先住民がアメリカガキ(Diospyros virginiana L.)の実を干して保存食としていた事実に基づく。近年、欧米ではイスラエル産の柿(渋抜きした「Triumph」種)が「シャロンフルーツ(Sharon Fruit)」という名称で流通するようになったため、柿は「Persimmon」よりも「Sharon Fruit」という名で知られている。


◇生活する花たち「落花生の花・ササゲの花・稲の花」(横浜市緑区北八朔町)
コメント (1)
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