ブット元首相が暗殺された。犯人は銃撃後に自爆。軍を掌握するムシャラフ大統領と、国民に人気のあるブット元首相を組ませて、パキスタンの政情安定化をはかる。ブッシュ政権のシナリオは、完全に崩壊した。
ブット氏のパキスタン帰国は、ムシャラフ氏が、汚職の罪を免除すると発表したことが、きっかけである。この決定の裏に、アメリカがいたことは、想像に難くない。
しかし、ムシャラフ政権の支配が弱まって、国内のイスラム勢力が盛り返している時期に、ブット氏を帰国させるのは、果たして、正しい判断だっただろうか?イスラム過激派に、格好の敵を提供しただけではないだろうか?火に油を注ぐことになったのではないだろうか?
ブット元首相は、欧米とのパイプやリベラルな考え方から、イスラム寄りのひとびとから、支持されないのは、はっきりしていた。この点では、ムシャラフ大統領と、あまり変わらない。
また、国内の民主化勢力が、投獄されながらも、抵抗活動をしていた時期に、海外に亡命していたこと。そして、帰国直後の一時期ではあるが、独裁的傾向を強めるムシャラフ氏を、評価したこと。民主化を望む国民の中にも、ブット氏の姿勢に疑問を感じていたひとは、少なくないはずである。
加えて、汚職政治家というイメージが、完全には、払拭出来ていなかったのも、事実だ。
ブット氏が、再び首相になったとして、果たして、今のパキスタンをまとめていけただろうか?命の危険を冒してまで、彼女を帰国させる必要があっただろうか?
ムシャラフ政権は、軍事政権ながら、比較的リベラルで穏健な政権運営を行ってきた。パキスタンは、核保有国であると同時に、「対テロ戦争」の最前線でもある。欧米先進国から見て、この国を統治するに適切な人物としては、現在のところ、ムシャラフ氏以外には考えられない。
しかるに、ブット元首相の帰国、暗殺は、パキスタンの政情を一層不安定化させ、ムシャラフ政権の基盤を、さらに弱体化させた感がある。
ブッシュ政権は、再び、間違いを犯したのではないだろうか。
イスラエルのパレスチナに対する超強硬姿勢を容認したため、中東和平の試みは、完全に頓挫している。ガザ地区では、パレスチナ人が、悲惨な生活を送るなか、住民の不満を吸収して、ハマスが着々と勢力を伸ばしている。
アフガニスタンから軍事力でタリバーンを追い出して、オサマ・ビンラディンとアルカイダを壊滅する計画も失敗した。タリバーンは依然勢力を保っている。オサマは、ビデオレターを送りつけて、元気に演説している。
アフガニスタンは、軍閥が群雄割拠する最悪の状態で、米英軍は、いまだに戦争を続けている。カルザイ大統領は、首都カブールから、一歩も出られない。
さらに、イラク戦争。フセインを失脚させて、民主国家を建設する予定だったが、武装勢力、テロリスト、強盗団などが入り乱れる、無法地帯が、いくつも出現してしまった。テロリストのいない独裁国家を、テロリストが暗躍する分断国家に変えてしまった。
ブッシュ政権には、中近東問題に精通したブレーンが、いないのだろうか?それとも、ブッシュ大統領の耳は、ロバの耳なのだろうか?彼が、手を打つたびに、テロ組織にとって有利な状況が出来上がっていく。
血も涙もないテロリストの巣窟、そのすぐ側に、核兵器と核技術が転がっている。しかも、その国を治める政権は、弱体化の一途をたどっている。
ブット氏暗殺で、世界が、さらに危険な場所になったことは、間違いないだろう。
ブット氏のパキスタン帰国は、ムシャラフ氏が、汚職の罪を免除すると発表したことが、きっかけである。この決定の裏に、アメリカがいたことは、想像に難くない。
しかし、ムシャラフ政権の支配が弱まって、国内のイスラム勢力が盛り返している時期に、ブット氏を帰国させるのは、果たして、正しい判断だっただろうか?イスラム過激派に、格好の敵を提供しただけではないだろうか?火に油を注ぐことになったのではないだろうか?
ブット元首相は、欧米とのパイプやリベラルな考え方から、イスラム寄りのひとびとから、支持されないのは、はっきりしていた。この点では、ムシャラフ大統領と、あまり変わらない。
また、国内の民主化勢力が、投獄されながらも、抵抗活動をしていた時期に、海外に亡命していたこと。そして、帰国直後の一時期ではあるが、独裁的傾向を強めるムシャラフ氏を、評価したこと。民主化を望む国民の中にも、ブット氏の姿勢に疑問を感じていたひとは、少なくないはずである。
加えて、汚職政治家というイメージが、完全には、払拭出来ていなかったのも、事実だ。
ブット氏が、再び首相になったとして、果たして、今のパキスタンをまとめていけただろうか?命の危険を冒してまで、彼女を帰国させる必要があっただろうか?
ムシャラフ政権は、軍事政権ながら、比較的リベラルで穏健な政権運営を行ってきた。パキスタンは、核保有国であると同時に、「対テロ戦争」の最前線でもある。欧米先進国から見て、この国を統治するに適切な人物としては、現在のところ、ムシャラフ氏以外には考えられない。
しかるに、ブット元首相の帰国、暗殺は、パキスタンの政情を一層不安定化させ、ムシャラフ政権の基盤を、さらに弱体化させた感がある。
ブッシュ政権は、再び、間違いを犯したのではないだろうか。
イスラエルのパレスチナに対する超強硬姿勢を容認したため、中東和平の試みは、完全に頓挫している。ガザ地区では、パレスチナ人が、悲惨な生活を送るなか、住民の不満を吸収して、ハマスが着々と勢力を伸ばしている。
アフガニスタンから軍事力でタリバーンを追い出して、オサマ・ビンラディンとアルカイダを壊滅する計画も失敗した。タリバーンは依然勢力を保っている。オサマは、ビデオレターを送りつけて、元気に演説している。
アフガニスタンは、軍閥が群雄割拠する最悪の状態で、米英軍は、いまだに戦争を続けている。カルザイ大統領は、首都カブールから、一歩も出られない。
さらに、イラク戦争。フセインを失脚させて、民主国家を建設する予定だったが、武装勢力、テロリスト、強盗団などが入り乱れる、無法地帯が、いくつも出現してしまった。テロリストのいない独裁国家を、テロリストが暗躍する分断国家に変えてしまった。
ブッシュ政権には、中近東問題に精通したブレーンが、いないのだろうか?それとも、ブッシュ大統領の耳は、ロバの耳なのだろうか?彼が、手を打つたびに、テロ組織にとって有利な状況が出来上がっていく。
血も涙もないテロリストの巣窟、そのすぐ側に、核兵器と核技術が転がっている。しかも、その国を治める政権は、弱体化の一途をたどっている。
ブット氏暗殺で、世界が、さらに危険な場所になったことは、間違いないだろう。