「光井愛佳」と聞いて、誰だか分かるひとは、どのくらい、いるだろう?
では、「辻希美、加護亜依、石川梨華、吉澤ひとみ」なら、どうだろう。そう、モーニング娘。である。しかし、彼女たちは、現在は、全員、モー娘。を卒業していて、現メンバーではない。
実は、光井愛佳は、十四歳の現役メンバーである。辻たち四人を四期メンバーと呼ぶが、光井は、八期にあたる。
元モー娘。は多くのひとが知っているが、現モー娘。を知るひとは少ない。このことが、モーニング娘。の置かれている現状を、如実に物語っている。
国民的人気グループと言われたモーニング娘。は、なぜ、人気低迷に喘いでいるのだろう?その原因を分析してみたい。かつての栄光を取り戻すために、何か役に立つかもしれないという、淡い期待を込めて。
(その一) 「殿様」プロモーション ~ テレビ的仕掛の欠乏
ソニンというタレントを知っているひとは多いと思う。彼女は、モー娘。が「LOVE マシーン」を大ヒットさせた少しあと、後藤真希の弟であるユウキと組んで、歌とダンスのユニット、EE JUMP としてテレビの世界に登場した。
しかし、ユウキの脱退など、不可抗力的な、数々の逆境を経験。歌も、スマッシュヒットに止まり、モー娘。や松浦亜弥に比べると、はるかに知名度が低かった。
そんなとき、ソニンを担当した、和田薫マネージャーは、テレビ的な仕掛けを、連発した。裸にエプロン姿で、ソロシングル「カレーライスの女」をリリース。プロモーションのため出演した歌番組の企画で、生まれ故郷の高知から、祖母の住む韓国まで、なぜか一人マラソン。
それが受けたため、今度は一週間、体育館に缶詰にされて、一人ドミノ。緊張と疲労が限度を越えて、「ギヒェー」と絶叫しながら、のたうち回って、せっかく立てたドミノをなぎ倒すシーンは、迫力があった。
「ソニン再生」がテーマだった記憶があるが、マラソンやドミノで、なぜ再生出来るのか、そもそも、当時19歳のソニンが、再生が必要なほど、本当に落ちぶれていたのか、突っ込みどころ満載である。でも、間違いなく、面白かった。そして、ソニンの知名度と好感度は、確実にアップした。
これらの仕掛けが功を奏して、「高校教師」で、女優デビュー。ホストにのめり込んで、転落していく女子高生を、体当たりで熱演。その後も、バラエティ、映画、ドラマ、トーク番組などで、幅広く活躍。現在は、大沢あかねとユニットを組んで歌を出す一方、NHK教育の「ハートをつなごう」で司会をつとめるなど、まさに売れっ子マルチタレントである。
一方、モーニング娘。は、2002年9月の後藤真希脱退以降、シングルのセールスが、徐々に落ち込み始めた。この長期低落傾向は、未だに続いており、上昇に転ずることが、なかなか出来ない。実際、今年2007年のシングル曲、「笑顔YESヌード」「悲しみトワイライト」「女に幸あれ」「みかん」を知ってるひとは、どのくらいいるだろう。
1999年から2002年くらいまでは、面白いように、歌がヒットして、CDが売れた。歌番組のみならず、ドラマに、バラエティに、出演依頼が殺到した。現在、そのときと同じやり方で、良いはずがない。
しかし、和田マネが、ソニンで行ったような、テレビ的仕掛けを、モー娘。は、一切してこなかった。コンサート、舞台ミュージカル、写真集、レギュラーのテレビ・ラジオ番組。今まで通りの活動を、淡々とこなしていただけである。
その結果、学校の休み時間、会社の昼休み、スポーツ新聞、ワイドショー。さまざまな媒体から、モー娘。の話題をするひとが、どんどんいなくなってしまった。
辻のできちゃった婚、加護の喫煙騒動、藤本美貴の熱愛発覚など、脇の甘い、コントロール不能な芸能ネタは、いくつも提供したが、モー娘。本体のプロモーションにつながる話題は、皆無といっていい。
そして、今、曲はおろか、メンバーが誰かさえ、世間から忘れられつつある。
今のモー娘。は、超人気グループではない。むしろ、新人アイドルグループと言った方がいいかもしれない。従って、知名度を上げる、ソニン・和田マネ的な仕掛けは、不可欠である。
もちろん、裸にエプロンで歌う必要はない(笑)。モー娘。は、あくまで、ローティーンを含むアイドルグループだし、そんな安直な二番煎じでは、誰もついてこない。
モー娘。に合った、仕掛けでいい。
では、どんな仕掛けがいいのか?アップフロントという会社は、それを考え出すために、存在している。昨年、一昨年、そのまた一年前と、同じ活動をセッティングするだけなら、事務所なんていらない。
幸いなことに、モー娘。は、テレビ東京に「ハロー!モーニング。」という、三十分番組を持っている。これは、他のアイドルグループでは考えられない、もの凄いアドバンテージである。番組内で、いくらでも思い切った仕掛けを打つことが可能だ。きっと、AKB48のプロデューサーである秋元康も、相当に羨ましいはずである(笑)。
しかし、現在のように、緩い企画を、ダラダラ垂れ流すだけならば、いずれこの番組も打ち切られてしまう。面白い企画を考えて、再ブレイクへの足場とするのか、それとも、このまま、最後のレギュラー番組で終わってしまうのか。アップフロントの力量が問われている。
文章が長くなってきたので、続きは、次回にします。予告として、
(その二) メンバーばら売りへの、理由なき抵抗
(その三) 「よい子」イメージの足枷 ~ 純粋培養の功罪
で、書くつもりです。
では、「辻希美、加護亜依、石川梨華、吉澤ひとみ」なら、どうだろう。そう、モーニング娘。である。しかし、彼女たちは、現在は、全員、モー娘。を卒業していて、現メンバーではない。
実は、光井愛佳は、十四歳の現役メンバーである。辻たち四人を四期メンバーと呼ぶが、光井は、八期にあたる。
元モー娘。は多くのひとが知っているが、現モー娘。を知るひとは少ない。このことが、モーニング娘。の置かれている現状を、如実に物語っている。
国民的人気グループと言われたモーニング娘。は、なぜ、人気低迷に喘いでいるのだろう?その原因を分析してみたい。かつての栄光を取り戻すために、何か役に立つかもしれないという、淡い期待を込めて。
(その一) 「殿様」プロモーション ~ テレビ的仕掛の欠乏
ソニンというタレントを知っているひとは多いと思う。彼女は、モー娘。が「LOVE マシーン」を大ヒットさせた少しあと、後藤真希の弟であるユウキと組んで、歌とダンスのユニット、EE JUMP としてテレビの世界に登場した。
しかし、ユウキの脱退など、不可抗力的な、数々の逆境を経験。歌も、スマッシュヒットに止まり、モー娘。や松浦亜弥に比べると、はるかに知名度が低かった。
そんなとき、ソニンを担当した、和田薫マネージャーは、テレビ的な仕掛けを、連発した。裸にエプロン姿で、ソロシングル「カレーライスの女」をリリース。プロモーションのため出演した歌番組の企画で、生まれ故郷の高知から、祖母の住む韓国まで、なぜか一人マラソン。
それが受けたため、今度は一週間、体育館に缶詰にされて、一人ドミノ。緊張と疲労が限度を越えて、「ギヒェー」と絶叫しながら、のたうち回って、せっかく立てたドミノをなぎ倒すシーンは、迫力があった。
「ソニン再生」がテーマだった記憶があるが、マラソンやドミノで、なぜ再生出来るのか、そもそも、当時19歳のソニンが、再生が必要なほど、本当に落ちぶれていたのか、突っ込みどころ満載である。でも、間違いなく、面白かった。そして、ソニンの知名度と好感度は、確実にアップした。
これらの仕掛けが功を奏して、「高校教師」で、女優デビュー。ホストにのめり込んで、転落していく女子高生を、体当たりで熱演。その後も、バラエティ、映画、ドラマ、トーク番組などで、幅広く活躍。現在は、大沢あかねとユニットを組んで歌を出す一方、NHK教育の「ハートをつなごう」で司会をつとめるなど、まさに売れっ子マルチタレントである。
一方、モーニング娘。は、2002年9月の後藤真希脱退以降、シングルのセールスが、徐々に落ち込み始めた。この長期低落傾向は、未だに続いており、上昇に転ずることが、なかなか出来ない。実際、今年2007年のシングル曲、「笑顔YESヌード」「悲しみトワイライト」「女に幸あれ」「みかん」を知ってるひとは、どのくらいいるだろう。
1999年から2002年くらいまでは、面白いように、歌がヒットして、CDが売れた。歌番組のみならず、ドラマに、バラエティに、出演依頼が殺到した。現在、そのときと同じやり方で、良いはずがない。
しかし、和田マネが、ソニンで行ったような、テレビ的仕掛けを、モー娘。は、一切してこなかった。コンサート、舞台ミュージカル、写真集、レギュラーのテレビ・ラジオ番組。今まで通りの活動を、淡々とこなしていただけである。
その結果、学校の休み時間、会社の昼休み、スポーツ新聞、ワイドショー。さまざまな媒体から、モー娘。の話題をするひとが、どんどんいなくなってしまった。
辻のできちゃった婚、加護の喫煙騒動、藤本美貴の熱愛発覚など、脇の甘い、コントロール不能な芸能ネタは、いくつも提供したが、モー娘。本体のプロモーションにつながる話題は、皆無といっていい。
そして、今、曲はおろか、メンバーが誰かさえ、世間から忘れられつつある。
今のモー娘。は、超人気グループではない。むしろ、新人アイドルグループと言った方がいいかもしれない。従って、知名度を上げる、ソニン・和田マネ的な仕掛けは、不可欠である。
もちろん、裸にエプロンで歌う必要はない(笑)。モー娘。は、あくまで、ローティーンを含むアイドルグループだし、そんな安直な二番煎じでは、誰もついてこない。
モー娘。に合った、仕掛けでいい。
では、どんな仕掛けがいいのか?アップフロントという会社は、それを考え出すために、存在している。昨年、一昨年、そのまた一年前と、同じ活動をセッティングするだけなら、事務所なんていらない。
幸いなことに、モー娘。は、テレビ東京に「ハロー!モーニング。」という、三十分番組を持っている。これは、他のアイドルグループでは考えられない、もの凄いアドバンテージである。番組内で、いくらでも思い切った仕掛けを打つことが可能だ。きっと、AKB48のプロデューサーである秋元康も、相当に羨ましいはずである(笑)。
しかし、現在のように、緩い企画を、ダラダラ垂れ流すだけならば、いずれこの番組も打ち切られてしまう。面白い企画を考えて、再ブレイクへの足場とするのか、それとも、このまま、最後のレギュラー番組で終わってしまうのか。アップフロントの力量が問われている。
文章が長くなってきたので、続きは、次回にします。予告として、
(その二) メンバーばら売りへの、理由なき抵抗
(その三) 「よい子」イメージの足枷 ~ 純粋培養の功罪
で、書くつもりです。