今日の朝日新聞朝刊の1面と30面によると、77年に旧ミドリ十字社が製造した血液製剤「人免疫グロブリン」2本から、C型肝炎ウイルスが検出された。
この製剤は、遅くとも75年には、発売されていたそうで、92年にC型肝炎ウイルスの高精度検査法が導入されるまで、肝炎汚染を引き起こした可能性が出てきた。
まず注意が必要なのは、「肝炎ウイルスが検出された」ことと、「そのウイルスが感染力を持っている」ことは、別物である点だ。
今回の検出は、恐らく、PCR法を使って、ウイルスの遺伝子を調べたものだと思う。その結果、確かに、C型肝炎ウイルスは存在した。しかし、製造過程で、エタノール処理を行っているので、ウイルスの外被タンパク質が変性して、感染力を失っている可能性もある。
そうであれば、幸いなことに、フィブリノゲン製剤、血液凝固第9因子製剤に続く、第三の薬害C型肝炎は、存在しないことになる。
ただ、エタノール処理したからといって、すべてのタンパク質が変性して、失活するわけではない。現に、製剤の主成分である、免疫グロブリンは、エタノール沈殿後も、活性を保っているからこそ、薬として使われている。C型肝炎ウイルスが、変性せず、感染力を維持している可能性もある。
つまり、感染力を維持しているかどうかは、実際に調べてみないと、何とも言えない。
問題なのは、「エタノール処理しているから、ウイルスが混入していても、安全である」と、調べもせずに、結論していたことである。
92年には、C型肝炎ウイルスの高精度検査法が導入されたという。ならば、その時点で、C型肝炎ウイルスを含んだ血液を使って、製造過程を実験室で再現して、各種の血液製剤に、どの程度ウイルスが混入するのか、確認できたはずである。
この手の実験なら、一ヶ月もあれば、結論が出せると思う。
従って、厚生省と、ミドリ十字は、「人免疫グロブリン」製剤について、少なくとも、92年には、75年からのその時点までに、患者が、C型肝炎に感染した危険性があることを、知らせなければならない。そして、過去の製剤の回収を、直ちに、開始しなければならない。
今回の薬害C型肝炎でも、感染の危険が、もっと早く分かっていれば、もっと早く治療を開始できた患者さんは、多いはずである。
確かに、混入したウイルスが、感染力を持つかどうかの試験は、難しいだろう。私は、この分野の専門家ではないので、はっきりしたことは言えないが、ヒト培養細胞を使った、感染実験ということになるのかもしれない。ある程度の時間が掛かるかもしれない。
しかし、「エタノール処理だから、大丈夫」と、決めつけることは、絶対にあってはならない。調べもせずに、「感染力はないから、ウイルスが混入していたとしても、通知する必要はない」と判断したのなら、それは犯罪的な行為である。
この記事の載っている、同じ30面に、薬害肝炎法案についての、江利川厚労省事務次官の発言が出ている。
「医薬品は効能と副作用をあわせ持つ。副作用が発生すれば直ちにメーカーや国に責任があるとなると、副作用のある医薬品はつくれなくなり、承認できなくなる」「実態を踏まえた責任論が展開されることを期待している」
これは、完全に問題のすり替えである。医薬品に副作用があることが問題なのではない。副作用を患者に知らせなかったことが問題なのだ。危険な副作用を察知できたはずなのに、根拠もなく、それを甘く見積もって、患者に教えなかった。その結果、大規模な薬害に発展してしまった。
だからこそ、厚生労働省に対して、発生責任が、厳しく問われている。
全く不必要な薬を使われて、C型肝炎になって、命を奪われたひとが何人もいる。命の危険にさらされているひとが何人もいる。いつ肝硬変・肝臓ガンを発症するか、脅えながら生きてるひとが何人もいる。
そのひとたちを前にして、原因を作った役所のトップが、平気で、開き直りとも取れる発言をする。
あなたには、人間のこころがあるのかと、尋ねたくなる。
怒りを通り越して、虚しいだけだ。
この製剤は、遅くとも75年には、発売されていたそうで、92年にC型肝炎ウイルスの高精度検査法が導入されるまで、肝炎汚染を引き起こした可能性が出てきた。
まず注意が必要なのは、「肝炎ウイルスが検出された」ことと、「そのウイルスが感染力を持っている」ことは、別物である点だ。
今回の検出は、恐らく、PCR法を使って、ウイルスの遺伝子を調べたものだと思う。その結果、確かに、C型肝炎ウイルスは存在した。しかし、製造過程で、エタノール処理を行っているので、ウイルスの外被タンパク質が変性して、感染力を失っている可能性もある。
そうであれば、幸いなことに、フィブリノゲン製剤、血液凝固第9因子製剤に続く、第三の薬害C型肝炎は、存在しないことになる。
ただ、エタノール処理したからといって、すべてのタンパク質が変性して、失活するわけではない。現に、製剤の主成分である、免疫グロブリンは、エタノール沈殿後も、活性を保っているからこそ、薬として使われている。C型肝炎ウイルスが、変性せず、感染力を維持している可能性もある。
つまり、感染力を維持しているかどうかは、実際に調べてみないと、何とも言えない。
問題なのは、「エタノール処理しているから、ウイルスが混入していても、安全である」と、調べもせずに、結論していたことである。
92年には、C型肝炎ウイルスの高精度検査法が導入されたという。ならば、その時点で、C型肝炎ウイルスを含んだ血液を使って、製造過程を実験室で再現して、各種の血液製剤に、どの程度ウイルスが混入するのか、確認できたはずである。
この手の実験なら、一ヶ月もあれば、結論が出せると思う。
従って、厚生省と、ミドリ十字は、「人免疫グロブリン」製剤について、少なくとも、92年には、75年からのその時点までに、患者が、C型肝炎に感染した危険性があることを、知らせなければならない。そして、過去の製剤の回収を、直ちに、開始しなければならない。
今回の薬害C型肝炎でも、感染の危険が、もっと早く分かっていれば、もっと早く治療を開始できた患者さんは、多いはずである。
確かに、混入したウイルスが、感染力を持つかどうかの試験は、難しいだろう。私は、この分野の専門家ではないので、はっきりしたことは言えないが、ヒト培養細胞を使った、感染実験ということになるのかもしれない。ある程度の時間が掛かるかもしれない。
しかし、「エタノール処理だから、大丈夫」と、決めつけることは、絶対にあってはならない。調べもせずに、「感染力はないから、ウイルスが混入していたとしても、通知する必要はない」と判断したのなら、それは犯罪的な行為である。
この記事の載っている、同じ30面に、薬害肝炎法案についての、江利川厚労省事務次官の発言が出ている。
「医薬品は効能と副作用をあわせ持つ。副作用が発生すれば直ちにメーカーや国に責任があるとなると、副作用のある医薬品はつくれなくなり、承認できなくなる」「実態を踏まえた責任論が展開されることを期待している」
これは、完全に問題のすり替えである。医薬品に副作用があることが問題なのではない。副作用を患者に知らせなかったことが問題なのだ。危険な副作用を察知できたはずなのに、根拠もなく、それを甘く見積もって、患者に教えなかった。その結果、大規模な薬害に発展してしまった。
だからこそ、厚生労働省に対して、発生責任が、厳しく問われている。
全く不必要な薬を使われて、C型肝炎になって、命を奪われたひとが何人もいる。命の危険にさらされているひとが何人もいる。いつ肝硬変・肝臓ガンを発症するか、脅えながら生きてるひとが何人もいる。
そのひとたちを前にして、原因を作った役所のトップが、平気で、開き直りとも取れる発言をする。
あなたには、人間のこころがあるのかと、尋ねたくなる。
怒りを通り越して、虚しいだけだ。