政府与党は、国会会期の、一ヶ月再延長を決めた。福田首相は、どうしても、補給支援特措法案を、成立させたいらしい。
しかし、この法案をめぐる政治状況は、非常に厳しい。まず、参議院で多数を占める民主党が、反対の姿勢を鮮明にしつつある。さらに、世論調査を見ても、法案への賛否が拮抗している上に、国民の関心自体が薄い感を否めない。
頼みの綱は、衆議院での、三分の二以上による、再議決である。しかし、現在の与党の議席は、「郵政民営化」のみを争点とする選挙で得たものだ。自衛隊の海上給油活動への賛成を反映するものではない。
実際に、補給法案を争点に、今、解散総選挙を行って、再び、三分の二以上の議席を獲得できるだろうか?ほぼ不可能と言っても、言い過ぎではないだろう。
直近の国政選挙で多数を占めた政党の反対を押し切って、「郵政選挙」で得た議席で、再可決をはかる。国民の強い支持もない。民主国家として疑問の残るやり方だ。
従って、手続的には、今国会での補給法の成立は可能だが、政治的には、成立を急がずに、議論を続けていくのが適切な進め方だろう。というより、それしかあるまい。
今まで、政府与党は、衆参両院での優位を背景に、イラクへの派遣問題、海上給油問題など、自衛隊に関わる案件を、じつに粗雑に扱ってきた。小泉首相の空疎な発言。誤った給油量の報告に基づいて、イラク戦争への協力を否定した官房長官や防衛庁長官。
そこには国民に向かって、なぜ自衛隊の派遣が必要なのか、なぜ自衛隊員の命をかけて、多額の税金を使っても、イラク・アフガン問題にかかわる必要があるのか、正面から説明し、議論しようとする姿勢がなかった。
あたかも、出来るだけ早く法案を通して、この問題から、国民の関心を逸らせようとする雰囲気すら、感じさせた。そして、それは、十分に成功している。なぜなら、いま、国民は、さほどこの問題に関心を持っていない。多くのひとが、反対もしないが、賛成もしない。
政府与党が、国民に対して、何の議論も喚起しなければ、国民の関心が、アラビア海での給油活動ではなく、年金、ワーキングプア、福祉などに向かうのは、当然のことである。しかし、それは、不幸なことだ。
防衛問題は、国の中心的トピックスである。国民がそれに無関心であるというのは、日本という国自体に、無関心であることと、同じである。政府は、国際情勢などに関して、正しい情報を絶えず提供し、国民の間に、幅広い議論を呼び起こさなければならない。
政府与党、とりわけ自民党は、それを行ってきただろうか?
今回も、また、早急に法案を成立させて、議論を避けようとしているように見える。ただ、少し違うのは、
「年金問題放ったらかしで、いまそんなことやってる場合か?」
という、国民の冷ややかな目に、政府与党はさらされている。皮肉なことに、そういった、給油問題への無関心を作ったのは、自分たち自身である。
福田首相にとって、再延長の一ヶ月は、政治的憂鬱の一ヶ月になるだろう。
しかし、この法案をめぐる政治状況は、非常に厳しい。まず、参議院で多数を占める民主党が、反対の姿勢を鮮明にしつつある。さらに、世論調査を見ても、法案への賛否が拮抗している上に、国民の関心自体が薄い感を否めない。
頼みの綱は、衆議院での、三分の二以上による、再議決である。しかし、現在の与党の議席は、「郵政民営化」のみを争点とする選挙で得たものだ。自衛隊の海上給油活動への賛成を反映するものではない。
実際に、補給法案を争点に、今、解散総選挙を行って、再び、三分の二以上の議席を獲得できるだろうか?ほぼ不可能と言っても、言い過ぎではないだろう。
直近の国政選挙で多数を占めた政党の反対を押し切って、「郵政選挙」で得た議席で、再可決をはかる。国民の強い支持もない。民主国家として疑問の残るやり方だ。
従って、手続的には、今国会での補給法の成立は可能だが、政治的には、成立を急がずに、議論を続けていくのが適切な進め方だろう。というより、それしかあるまい。
今まで、政府与党は、衆参両院での優位を背景に、イラクへの派遣問題、海上給油問題など、自衛隊に関わる案件を、じつに粗雑に扱ってきた。小泉首相の空疎な発言。誤った給油量の報告に基づいて、イラク戦争への協力を否定した官房長官や防衛庁長官。
そこには国民に向かって、なぜ自衛隊の派遣が必要なのか、なぜ自衛隊員の命をかけて、多額の税金を使っても、イラク・アフガン問題にかかわる必要があるのか、正面から説明し、議論しようとする姿勢がなかった。
あたかも、出来るだけ早く法案を通して、この問題から、国民の関心を逸らせようとする雰囲気すら、感じさせた。そして、それは、十分に成功している。なぜなら、いま、国民は、さほどこの問題に関心を持っていない。多くのひとが、反対もしないが、賛成もしない。
政府与党が、国民に対して、何の議論も喚起しなければ、国民の関心が、アラビア海での給油活動ではなく、年金、ワーキングプア、福祉などに向かうのは、当然のことである。しかし、それは、不幸なことだ。
防衛問題は、国の中心的トピックスである。国民がそれに無関心であるというのは、日本という国自体に、無関心であることと、同じである。政府は、国際情勢などに関して、正しい情報を絶えず提供し、国民の間に、幅広い議論を呼び起こさなければならない。
政府与党、とりわけ自民党は、それを行ってきただろうか?
今回も、また、早急に法案を成立させて、議論を避けようとしているように見える。ただ、少し違うのは、
「年金問題放ったらかしで、いまそんなことやってる場合か?」
という、国民の冷ややかな目に、政府与党はさらされている。皮肉なことに、そういった、給油問題への無関心を作ったのは、自分たち自身である。
福田首相にとって、再延長の一ヶ月は、政治的憂鬱の一ヶ月になるだろう。