これは童話の挿絵のようですね。グリム童話に、おどる12人のお姫様というお話があります。
ある王様に12人のお姫様がいるのですが、毎日、朝になるとお姫様たちの靴がぼろぼろになっているので、そのなぞを解き明かしてほしいと、ある若い兵士にたのむ。兵士は魔女に助けられながら、お姫様の靴が朝になるとなぜぼろぼろになっているのかのなぞをつきとめるのです。
ネタバレはいけませんが、知らない人はあまりいないと思うので、言うと、お姫様たちは夜になると着飾って地下にいきそこで王子様と一晩中踊っているのです。その謎を突き止めた兵士はそれを王様に報告して、ご褒美にお姫様たちの一人と結婚するのですが。
なんとなく教訓的でもありますね。毎日夜遊びばかりしているお姫様たちを、ひとりの貧しい兵士が戒めたという風に解釈できないことはありません。
ご存じでしょうが、この時代、とても滑稽なことが起こりました。多くの馬鹿な女性たちが、美人になりたいばかりに、ひとりの際立った美女の顔を真似してしまい、なんとみんながまったく同じ顔になってしまったという事件です。
あまり説明しなくてもいいでしょう。このことは、あまりに愚かなことなので、わたしも苦笑するしかないのですが。
昔から、楽して美人になろうと、ずるいことばかりしている女の子というのはたくさんいました。きれいな顔をして生まれてくるのですけど、その顔は他人から盗んだもの。そのきれいな顔で、男の人に好きになってもらって、いい男と結婚して幸せになりたいと、そういうことばかりやってきた女の子というのはたくさんいたのです。
毎夜毎夜、靴がぼろぼろになるまで踊っていたお姫様のように、うまれかわるたびに人の顔を盗んで、きれいな女性になって、かっこいい男の子と踊るようなことばかりしてきたのです。
それがとうとう、たったひとりの美女、いいえ、美しい男性によってひっくり返されたのです。兵士のように貧しいが、きりりとしたそれは美しい天使のような美女がいたのですが、じつはその正体は女性のように美しい男性の天使だったのです。それがあまりにきれいだったので、目を見張った馬鹿な女性たちはこぞって真似をしてしまった。
その結果が、誰を恨むこともできない、あまりにも愚かな結果を生んでしまったのです。たぐいまれな美人が、恐ろしくたくさんいる。まるで粗悪な印刷のような、天使の顔をした美女が、掃いて捨てるほどいる。
それを見た男性たちは、一斉に逃げてしまったのです。
馬鹿なことばかりしていると、こういうことになりますよというお話ですね。
グリム童話というのは時に怖い解釈もされているようですが、こんな解釈はいかがでしょう。