世界はキラキラおもちゃ箱・第3館

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大きな赤い竜と太陽をまとう女

2017-10-11 04:18:06 | 黄昏美術館


ウィリアム・ブレイク


これは聖書の黙示録にこの節によるものである。


また、大いなるしるしが天に現れた。ひとりの女が太陽を着て、足の下に月を踏み、その頭に十二の星の冠をかぶっていた。この女は子を宿しており、産みの苦しみと悩みとのために、泣き叫んでいた。また、もう一つのしるしが天に現れた。見よ、大きな、赤い龍がいた。それに七つの頭と十の角とがあり、その頭に七つの冠をかぶっていた。


太陽と月は自己存在の唯一性を現すものと考えられる。それに対して七つの頭をもつ赤い竜というのは、大勢の霊魂でひとりの人間をやっている傀儡のような魔的存在だと言うことができる。

本当の自分を生きようとしない人間は、他の人間に頼り、大勢の霊魂に自己活動をやってもらい、自分は何もしないで馬鹿にいいことになろうとするのだ。嘘だけで作った自分の中に住み、何もかもを思い通りにしようとするのである。

それが大きな赤い竜の隠喩するものであろう。
黙示録は続く。


その尾は天の星の三分の一を掃き寄せ、それらを地に投げ落した。龍は子を産もうとしている女の前に立ち、生れたなら、その子を食い尽そうとかまえていた。女は男の子を産んだが、彼は鉄のつえをもってすべての国民を治めるべき者である。


多頭の竜は本当の自己存在である太陽と月の女が子供を生むところを邪魔しようとするのである。それは、嘘が真実を愚弄し、抹殺しようとしていることを意味する。女は難産の末、国を治める大いなるものを生む。それは何か。自己存在の真実を教える美しい歌であろう。それは永遠に世界を治めていくのだ。

黙示録の解釈であるが、予言ともとれる。確かに、このとおりのことはあったからだ。

太陽と月のように、たったひとりで子供を生もうとしていた女に、多くの頭をもつ巨大な竜のようなものが、いどみかかったのである。





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