宵の方 天空にクギ打たれた
銀のヴェガを見つめていた
あらゆる雲と風と虚無を乗り越えて
今私たちは一本の光でつながっていた
沈黙の中で眼差しをかわす
見つめ合うだけですべてがわかるひとが
ほら あそこにいる
いつか
すべてのことを語り終えて
青い風の結び目がほどけたら
私はあのなつかしいひとの元へと
帰ることだろう
野の香り山の光を染め上げて
空に語る人々の愛の歌を織り込んだ
広い翼をひるがえし
差し伸べられたあなたの
ただ一本の指をたぐり
風を越え空を越え
魂の岸辺を抜け
いつか帰ることだろう
なつかしいあの故郷へと
(花詩集・29、2005年10月)