世界はキラキラおもちゃ箱・第3館

スピカが主な管理人です。時々留守にしているときは、ほかのものが管理します。コメントは月の裏側をご利用ください。

入院中の歌①

2018-08-02 04:16:26 | 歌集・こてふらん

さみしさをしじまの箱の隅につき生ひくる夢としばし語らむ

苦しきは心をかへし裏を見る夢だに知らぬ凡庸の群れ

しほさゐの音をとほく聞き思ひ出の夢にとけゆく夜のしづけさ

ゆふ花の黄金の粉を風にまき涙にくるるいつはりの春

住江のまつの岸辺にかひひろひしじまの海の声をこそ聞け

裏庭に立てども立たぬ水を立ていしずゑを組むいつはりの橋

印籠を見せて敵を支配するあほうのわざの苦しかりけれ

群れさわぐ酒神の祭り森をゆき夜更けに建てしさかさまの塔

野に散りてはかなきてふの体温を追ひてはからむ崩壊の朝

さかさまの高殿はたち飛ぶ鳥も苦き尻見る人間の丘

海に浮く細き小枝に塔を建てものいふ猿のやすやすとすむ

苦き実の枯れ木に生りて蜜をぬりよきものとして人に食はしぬ

ちはやぶる神のみや知る苦き雨落ちて知るべきさかさまの罪

暗き夜に心と虚無が摩擦するうすきあかりにあほうが群れる

閃光は空をつらぬく神の玉くづるる人のいつはりの夜

深みゆく不二の青さを夢に見てくすしきわれのゆく道をとふ

何恥ぢてかうべたるるか裏山の風にももだすくまざさの群れ

さらしなやをばすて山に月は照り下葉の露をのむ人を見る

あまびこのおとづれもなきいはやどの夢にこそ見れ貝の鳴く声

あかねさす昼にも暗き山かげに巣篭る蜘蛛の苦しきなげき





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