共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

今日はカール・リヒターの誕生日〜ノイペルトチェンバロによるバッハ《半音階幻想曲とフーガ ニ短調》

2021年10月15日 19時25分56秒 | 音楽
今日も気持ちのいい秋晴れに恵まれました。ただ陽射しの強さは相変わらずで、運動会の練習で運動場に立っているだけで腕がジリジリと灼けていくのを感じました。

10月も半ばだというのに、こんなに暑くては嫌になってしまいます。競技の練習していた子どもたちもすっかりグッタリしてしまって、見ていて可哀想になるくらいでした。

ところで、今日10月15日は20世紀に活躍したバッハ音楽の権威のひとりであるカール・リヒターの誕生日です。



カール・リヒター(1926〜1981)はドイツの指揮者、オルガン・チェンバロ奏者です。

ヴァイマル共和政下のザクセン自由国(現ザクセン州)プラウエンに牧師の子として出生したリヒターは1937年、11歳のときドレスデン聖十字架教会付属聖歌隊のメンバーになりました。ここで最初の音楽教育を受け、ヨハン・セバスティアン・バッハやハインリヒ・シュッツといったバロック時代の名だたる作曲家の合唱曲に親しんだといいます。

1946年にはドレスデンから旧東ドイツ圏下だったライプツィヒに移り、1949年には教会音楽の国家試験に合格して、かつてバッハもカントルを務めていた聖トーマス教会のオルガニストに就任しました。1950年にはライプツィヒ・バッハ・コンクールのオルガン部門で、ピアニスト・オルガニストであるアマデウス・ウェーバージンケ(1920〜2005)と共に首席を獲得しました。

1951年にはミュンヘンの聖マルコ教会のオルガニストに就任し、これに伴いライプツィヒからミュンヘンに移住しました。またバッハ・コンクールの成績が契機となって、ミュンヘン国立音楽大学のオルガンとルター派教会音楽の講師としても迎えられました。

1951年から1953年の間、戦後設立されたハインリヒ・シュッツ合唱団の指揮を任され、主にバッハ作曲のカンタータを演奏する目的で訓練してミュンヘン・バッハ合唱団と改称しました。また、1953年には器楽ソリストを募集してミュンヘン・バッハ管弦楽団も設立しました。

1958年にはドイツ・グラモフォンの古楽専門レーベルであるアルヒーフでバッハの《マタイ受難曲》を録音し、これは今日まで最もよく知られるリヒターの代表的作品となりました。更に同レーベルでバッハのカンタータ録音を開始し、リヒターが自らライフワークとしていたカンタータ録音は20年以上をかけて、約70曲を残しています。

1964年にはミュンヘン市から演奏芸術奨励賞を受け、1969年にはミュンヘン・バッハ管弦楽団および同合唱団を率いて来日し、受難曲やカンタータ、また個人でもオルガンやチェンバロを演奏しました。この来日公演の一部はNHKによって収録、放送され、一部はアルヒーフの国内制作にてLP・CD化もされています。

宗教音楽の分野に多くの録音を遺しているリヒターですが、オルガンやチェンバロといった鍵盤楽器にも素晴らしい録音を遺しました。特にチェンバロ演奏では



ノイペルト社製のモダンチェンバロを愛奏し、重厚な音色でのバッハを聴かせてくれています。

その中から、今日は《半音階幻想曲とフーガ ニ短調》を選んでみました。

《半音階幻想曲とフーガ ニ短調》は自筆譜は現存していないため作曲時期は明確ではありませんが、恐らくバッハのヴァイマル時代、若しくはケーテン時代(1717年〜1723年頃)に書かれ、1730年前後に改訂が加えられたものと考えられている作品です。一節には1720年に他界した最初の妻マリア・バルバラ・バッハのために書かれたトンボー(墓碑)とも解釈されていますが、確かな根拠はありません。

音符が縦横無尽に駆け巡るような幻想曲にの後に「イエスと父なる神との対話のよう」と形容されるレチタティーヴォを経て、半音階が特徴的なフーガが続きます。死後メンデルスゾーンによって再発見されるまで長く忘れられていた存在だったバッハですが、そんな中でもこの曲は演奏され続けて評価されていた数少ない作品としても有名です。

そんなわけで、今日はリヒターによる《半音階幻想曲とフーガ ニ短調》の演奏動画を転載してみました。重戦車ともいわれたノイペルトモダンチェンバロによる、重厚なバッハをお楽しみください。



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