【 rare metal 】

此処 【 rare metal 】の物語や私的お喋りの全部がね、作者の勝手な妄想ですよ。誤解が御座いませんように。

気分は【六本木心中】

2010年01月25日 01時16分13秒 | 無くした世界 

  

  (写真はイメージ)




【青春哀話】




「アンタなんかッ!死んじまえばいゝのよ!」


この言葉が 如何して言へるのか

聴かなければならないのか判らずに 不思議でした


四畳半一間の小さな世界が 何の音も無く消へてくのが解かりました

二年弱の同棲 気持ちが離れていくのが解かっていました



でも「死ねばいい。」 


今日までの 二人の歴史の否定



何故にとの答へが見つけられず 心が動揺で揺れます

意識の表面に 限りなくと細波が湧いては消へ

消へては生まれます



心の隅っこに 疑いが生まれます



互いが新たに 深くと傷を抉りあい始めます

悲しみが生まれ それが怒りと憎しみに変化します

心の何処かで抑えようの無い 何かの衝動が蠢き始めます



呻く様に怒り言葉が 「解からなかったの!」 と啼いて言います

 

迫る言葉が連なります


「鈍感! 自分勝手な男よおぉ。アンタはぁ!」

「今まで何も気づかないってぇ。おめでたいはね。アンタはぁあ!」



少しずつ 少しずつ 気持ちが萎へてきます

少しずつ 少しずつ 始まります 意識の現実逃避が

止め処となく聞きたくもない責める言葉は 何処か遠くでと



自分の殻の中で 世界が出来上がります

そこで意識が 逃げながら浮遊し始めます

そこは何も無い世界です だから意識が遠のきます



何処かで言葉の音が鳴っています

「本当にぃ出て行くわよ。それでいぃの? 本気よ。良いの?」



意味が解かりませんでした

心ぉ突き刺す言葉の音が 心を射るだけの音でしたから

自我の混濁した意識が 何もかもと拒絶します




黙って部屋の外に出ました

ドアが閉まるまで 背中で音が響いていました



アパートの階段 降りながら聴いてました街の喧騒

バスの警笛 走るトラックの騒音

幼稚園の送迎バスから賑やかに降りる子供らの声

明るく迎へる女親たちの声


俯いて歩いてたら 自分の周りには木枯らしが舞っていました




夜更けに酔っぱらって帰った 


電気が消へた暗い部屋 昼の雰囲気が無かった

孤独が居座って 寂寥とした哀しみが住み着いていました

台所のステンレス流しの中で ふたつの夫婦湯飲みが割れていました



破片を拾い上げるとき親指を切りました

滴る血ぉ舐めると鉄の味がしました

唾を吐くと 赤い血が混ざっていました



流しの下の扉をあけ 一升瓶の首を握り喇叭呑みしました

ひと呑みごとに 酩酊が迫るのが解かりました



寒さで気が付くと 玄関の框で俯いて寝込んでた

顔の下に水が溜まっていました

舐めるとしょっぱかった


泪の辛さが誘い水で 涙が溢れ出てきました
  


青春が終わろうとしてた



十九の冬の 事でした




(映像はイメージ 無関係)



バイバイ




    



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