(画像はイメージ)
【狂へる者】
ボクは 桜の季節には モノ想うことができません
丘ぉ覆はんバカリに乱れ咲く 淡い白きな
小さな薄桃色の花弁に遣られるから
「いつもナニかぉ 隠してるでしょぅ。」
「其れが理由なんだ?」
「他にもぉぅ 。」
桜咲く小高い丘の上からでした
街で一番の賑やかな繁華街ぉ ふたりで眺めながらでした
その時 ふたりの物語の終はりのしかたぉ
話し合っていました。
「ナンかぁ。もぉぅ 如何でもいぃの。」
あの時ボクは 黙るしかなかった
踏切の カンカンカン と鳴る警鐘音が丘の上まで流れてきてた
ふたり別々の階段から丘ぉおりるとき
キミの背中の見納めかと
キミは 一度も振り返りもしなかった
ボクは 心が死にかけていた
あやふやな感覚で踏む石の段々
現実逃避で堕ちる筈もない 黒い穴の中ぉ通るようでした
心が 隠された意識の奥の 底のほうにまで逃げたのは
誰かの喋る ウソなことがらなんか ナニも聴きたくはなかったから
ボクの胸の中が錯乱しそこね 逃げることも叶わぬと
其の儘ならぬ想いゴトなんだろぉ 物事は
日毎の出来事も 想いでも 実態のない物語だったと
心が 狂います
今なら ナニぉ訊けばいゝのか解るから
眠れぬ夜には 若かった拙いボクぉ呪うことがあります
春の季節が終はっても あの時の丘の上に咲き乱れていたサクラは
ボクの脳の意識のなかでは ケッシテ散りません
一ひらの花びらも アレから幾ら月日が過ぎ去っても
枯れることもなく堕ちません
優しい声で訊く 嘘で固め隠した言い訳は
人は見抜くものなんだと 物事の始めから判っていました
最初からの お間違いな物語ゴッコぉ演じていたと
ボクは 悲しみじゃぁない 狂える感覚でした
視たくもないと 逃げていたから
気づくことが遅すぎたからと
終はりは マッタクのお約束ゴト
(映像はイメージ 無関係)