【 rare metal 】

此処 【 rare metal 】の物語や私的お喋りの全部がね、作者の勝手な妄想ですよ。誤解が御座いませんように。

薄墨の町の、と或るお方へ。

2008年05月26日 10時36分15秒 | 幻想世界(お伽噺) 
  



雨は、薄墨の雨は、夜を通して降る雨なんですけど、

雨音が、寝床のボクを慰めてくれてるようで聴き飽きないんです。

眠るまでのひと時、ジット静かに耳を澄まし聴いてゝも、飽きないんです。



静か雨の音、纏まれば、耳の奥に溜まります。

静か濁音で、ボクの俗な世間で、妖しくまみれた意識を澄ませます。

夜の道、小雨なら、薄墨に棲まいし物の怪どもと歩きたい。


水溜り、小さき波紋で模様する粒な雨なら、紺色鼻緒の下駄で歩きたい。

油紙貼りし番傘なんぞを、竹林のザワメキのなかで差し、寂しさ抱いて歩きたい。



薄墨で造られし酒を呑みたいなぁ。

酒蔵並ぶ町並みには、軒に新酒の杉玉吊られているのかなぁ。



緩き風にソボ降る雨が舞う通りから、ひとつ路地奥に在りし地元の者が常連な飲み屋。


薄墨訛りの喋り飛び交う、行燈灯せし薄暗きが心癒しな店の内。

ポツリと、独り手酌で呑んでたら、仲間に入れと呼びかけてくれるかなぁ。

そぉなればボクはキット、恥ずかしいけど嬉しくて、微笑みながら目に涙。


何故ッ泣く?


ット、誘いしお方に問われゝば、ボクは、チョット格好つけながら言いましょう。

此処が、幻かと気づかさない優しさが、ボクを泣かすのさ。 ッテ

外は、雨上がり、夜の雲の割れ目から シャクレタような月が覗きます。


水溜り鏡に、瓦斯燈が逆さで映って揺れてます。



ボクが、懐かし心で迷い込み、何方と想われ心で創る薄墨の町。



ぇッ 何処に在るかッテ?  問われてもぉ・・・・・・ぅ



ボクが夜中に迷い子になったとき、優しいナニかに導かれ、辿りついた処です。

薄墨の町を覗けば、真珠の如き言葉が溢れ、言葉に酔わされてしまいます。

ボクは真珠の霊(タマ)に付き添われて歩きながら、迷いこんだのを嬉しがります。


其処に住まいし方々は、親戚ならばいぃのになぁ。ッテ



古き階段板を踏めば、後ろの廊下の奥まで聞こえそうな軋み音。

静かに踏みしめ登れば、薄暗き上から、雨垂れ音みたいな豆撒く音がする。

観れば、真珠輝きの小さき玉が一粒、階段跳ねながら。


身を、階段壁に寄せました。

ボクの素足の甲を優しげに打ち、下にと。



目覚めることなく、いつまでも、いつまでも、居りたいなぁ。







わたしのような者にくださった ≪一遍≫ へのお礼です。

 ありがとうございます。


   



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