監督の第三番目の作品。戦時中に公開されました。
舞台は敗色濃厚の戦時下の東京下町。東京を離れて疎開先に向かう四軒の家族の三日間をヒューマンなタッチで描いた作品です。
大陸にでかけていった父が帰ってくるかもしれないと、疎開にふみきれない吉川家。息子・慎吾(上原謙)は試験飛行士。隣の家の娘・たか子(水戸光子)と恋愛関係にありますが、危険な仕事をする男に娘はやれない、と母は結婚に難色を示します。
地域には、他に小さな印刷工場と銭湯。工場を経営する家族には新しい命が生まれようとしていました。また、銭湯の老夫婦は、娘夫婦から疎開で自分のところ(釜石)に来いと誘われますが、頑なに断わっています。
慎吾の父(東野英治郎)が10年ぶりに姿を現しました。きよ(信千代)は夫と連れだって歩きますが、話がかみあいません。そんな折、慎吾が飛行中に殉職。父親は結局、息子に会うことはありませんでした。
印刷工場を閉鎖した家族、銭湯を経営していた頑固親父、次々に疎開で町を去っていき・・・。