荻窪駅発行 20円区間ゆき2等片道乗車券

しばらく続いております中央本線荻窪駅の地図式乗車券の話題ですが、あと1回だけお付き合いください。
1969(昭和44)年3月に中央本線荻窪駅で発行された、20円区間ゆきの2等乗車券です。


   


桃色こくてつ地紋のB型地図式大人専用券で、東京印刷場で調製されたものです。
この様式は1966(昭和41)年3月に実施された運賃改定で初乗り区間が10円から20円に値上げされた際に登場したもので、今までの赤刷り券に変わり、印刷インクの色は黒色に戻されましたが、地紋は桃色となっています。

もうこの頃になりますと赤刷り券の時代から継承された地図のデザインとなっており、山手線の表記はありません。「荻窪駅、無駄に山手線書いちゃった件」問題はもう解決してしまったようです。
この券は前回エントリーの三鷹から50円区間ゆきの券と同世代の様式であり、地図の印刷が手書きされたものから活字を組んだ印版印刷に変更されており、東京印刷場で発行された硬券末期の地図式券の様式の原型と言える様式になっています。

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荻窪駅発行 30円区間ゆき2等片道乗車券

前回エントリーで御紹介致しました赤刷りの10円2等券と前々回エントリーで御紹介いたしました10円3等券との間には、もうひとつ別の様式が存在しておりました。


1960(昭和35)年7月、それまで3等級制度が採用されていた日本の鉄道車両は、東海道本線の電車特急の登場により1等展望車の定期列車での営業が終了したことから、1等および2等のみの2等級制度に改められ、旧2等車と、わずかに残った旧1等展望車と外国人客向け旧1等車を統合して新たな1等車とし、旧3等車については新たな2等車となっています。
これに伴い、今まで国鉄の最短区間ゆきの旧3等車用乗車券については「10円3等」と記載されていましたが、新たな制度下の2等車用最短区間ゆきの乗車券については「10円2等」と記載されることになります。

中央本線荻窪駅に於いても、当然ながら上の規則改定に伴って「10円2等」の乗車券が設備されることになったわけですが、あいにくその券が手元にございません。なので、管理人としては「サラッと」飛ばしてみてしまったわけですが、恐らくこれに気づかれた一部の方からクレームを戴きそうなので、一旦戻ってみました。


   


1965(昭和40年)10月に中央本線荻窪駅で発行された、30円区間ゆきの片道乗車券です。
青色こくてつ地紋のB型地図式大人専用券で、東京印刷場で調製されたものです。今まで3等車の乗車券は桃色地紋となっていましたが、2等車となってからの乗車券は青色地紋となり、桃色地紋の「赤きっぷ」は等級制が廃止されてモノクラス制になる1969(昭和44)年までの間、前回エントリーで御紹介いたしましたような特殊な事例を除き、原則発行されていません。ですから、当時の10円区間ゆきの乗車券も青色地紋となっておりました。

御紹介の30円区間ゆき乗車券は2等級制となってからの近距離区間の地図式乗車券になるわけですが、最短区間が10円であった当時の30円区間ゆきですので当然乗車できる区間が長く、この乗車券の場合は下り方面は東小金井駅、上り方面は代々木駅もしくは新大久保駅となりますので、「荻窪駅、無駄に山手線書いちゃった件」問題で御紹介して参りました内容に反し、山手線を記載しなければならない券であるわけです。


   


発行駅が異なりますが、1966(昭和41)年10月に同じ中央本線の三鷹駅で発行された50円2等の乗車券です。青色こくてつ地紋のB型地図式大人専用券で、東京印刷場で調製されたものです。この券は同年3月の運賃改定後に登場した券で世代としては一世代後の様式となり、斬新な手書き地図ではない印版印刷方式のものになります。
この券で乗車できる区間は下り方面は国立もしくは現在では廃止されております中央本線の支線である通称下河原線の東京競馬場前駅、上り方面は大久保駅となっており、山手線内までは乗車できないものとなっておりますが、「荻窪駅、無駄に山手線書いちゃった件」問題の券同様の事例となっています。


昭和35年7月から昭和30年代後半にかけて発行されていた「10円2等」の青色地紋の乗車券の実物を見たことはないのですが、三鷹駅の例から推測するに、もしかするとやはり「荻窪駅、無駄に山手線書いちゃった件」問題の乗車券であった可能性も否定できません。

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荻窪駅発行 10円区間ゆき2等片道乗車券

しばらくの間、通称(?)「荻窪駅、無駄に山手線書いちゃった件」問題について御紹介いたしておりますが、もう少しお付き合いください。


   


1965(昭和40)年11月に中央本線荻窪駅で発行された、10円区間ゆき2等の乗車券です。
桃色こくてつ地紋のB型大人専用地図式券で、東京印刷場で調製されたものです。
この様式は昭和30年代後半に登場したもので、不正乗車を防止するために最低区間のみ赤色文字で印刷されています。主に東京鉄道管理局および千葉鉄道管理局管内の券に採用されていたようです。


この券になると今までの券とは図版ががらっと変わり、今まで無駄に描かれていた山手線関連の路線の記載が無くなり、1本線のみになっています。もう「荻窪駅、無駄に山手線書いちゃった件」問題はここには見当たりません。


年配の御訪問者様には、前回エントリーと今回エントリーでは、一世代飛ばしてしまっているような感じがする方も居られるかと思います。それについては次回。

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荻窪駅発行 10円区間ゆき3等片道乗車券

前回エントリーで荻窪駅で発行された3等10円区間ゆき片道乗車券を御紹介いたしましたが、今回はその次に登場した様式を御紹介致しましょう。


   


1959(昭和34)年12月に荻窪駅で発行された、荻窪駅から10円区間3等片道乗車券です。
かなり色ヤケしていますが、桃色こくてつ地紋のB型大人専用地図式券で、東京印刷場で調製されたものです。

この様式は昭和33年10月に登場したもので、いままで「3等10円」と記載されていたものが「10円3等」に変更され、左上にあった「(裏面注意)」の表記が無くなっています。


   


参考までに前回御紹介いたしました一世代前の券を再掲いたしますが、その他はほぼ同じ様式であると言えます。
同じ10円区間でも上り方面は東中野駅まで、下り方面は中野駅までと、10円で乗車できる距離が若干短くなっていますが、駅名以外、地図の図版は旧来のものを流用したように見えます。
そのためでしょうか、この券も「荻窪駅、無駄に山手線書いちゃった件」問題が引き継がれてしまっています。

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荻窪駅発行 3等10円区間ゆき片道乗車券(B型券)

前回エントリーで荻窪駅で発行されたA型の3等10円区間ゆき片道乗車券を御紹介いたしましたので、B型となった次の様式を御紹介致しましょう。


   


1955(昭和30)年1月にやはり中央本線荻窪駅で発行された、3等10円区間ゆきの片道乗車券です。
桃色こくてつ地紋のB型大人専用地図式券で、東京印刷場で調製されたものです。

この様式は1953(昭和28)年1月の運賃改定以後に登場した様式ですが、当時の運賃改定では10円区間については変更が無かったようで、前回エントリーのA型券と運賃および乗車可能な区間に変更はありません。そのためでしょうか、新様式が登場した運賃改定以後も、残券がそのまま使用されており、恐らく残券を払い出した後に新様式で設備されたものと思われます。


記載されている地図はA型券のものとは違う版が使用されていますが、ここでもなぜか不要である山手線内も地図に含まれています。
管理人はこれを勝手に「荻窪駅、無駄に山手線書いちゃった件」問題と呼んでいます(笑)

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荻窪駅発行 3等10円区間ゆき片道乗車券(A型券)

1953(昭和28)年11月に中央本線荻窪駅で発行された、荻窪駅から3等10円区間ゆきの片道乗車券です。


   


桃色こくてつ地紋のA型大人専用地図式券で、東京印刷場で調製されたものです。着駅は上り方向が(中)大久保駅で下り方向は武蔵境駅となっており、双方共営業キロが7キロとなっています。
東京近郊の地図式券の末期はB型券となっておりましたが、1952(昭和27)年2月にこの様式が制定されてから次の様式が制定された1953(昭和28)年1月の運賃改定までの期間に設備されたもので、この券は運賃改定前の残券を使用したものと思われます。


地図を見てみますと、10円区間は山手線と接続する新宿駅より1駅手前の大久保駅までですが、全く不要であるはずの山手線および中央本線代々木~神田間および総武本線御茶ノ水~秋葉原間の路線までが描かれています。

敢えて山手線内を載せたのか、もしくは他の区間の券の地図を流用したのか不明ですが、この部分を省略した方がさっぱりしていて分かりやすいような気がします。

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