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荻窪駅発行 30円区間ゆき2等片道乗車券

前回エントリーで御紹介致しました赤刷りの10円2等券と前々回エントリーで御紹介いたしました10円3等券との間には、もうひとつ別の様式が存在しておりました。


1960(昭和35)年7月、それまで3等級制度が採用されていた日本の鉄道車両は、東海道本線の電車特急の登場により1等展望車の定期列車での営業が終了したことから、1等および2等のみの2等級制度に改められ、旧2等車と、わずかに残った旧1等展望車と外国人客向け旧1等車を統合して新たな1等車とし、旧3等車については新たな2等車となっています。
これに伴い、今まで国鉄の最短区間ゆきの旧3等車用乗車券については「10円3等」と記載されていましたが、新たな制度下の2等車用最短区間ゆきの乗車券については「10円2等」と記載されることになります。

中央本線荻窪駅に於いても、当然ながら上の規則改定に伴って「10円2等」の乗車券が設備されることになったわけですが、あいにくその券が手元にございません。なので、管理人としては「サラッと」飛ばしてみてしまったわけですが、恐らくこれに気づかれた一部の方からクレームを戴きそうなので、一旦戻ってみました。


   


1965(昭和40年)10月に中央本線荻窪駅で発行された、30円区間ゆきの片道乗車券です。
青色こくてつ地紋のB型地図式大人専用券で、東京印刷場で調製されたものです。今まで3等車の乗車券は桃色地紋となっていましたが、2等車となってからの乗車券は青色地紋となり、桃色地紋の「赤きっぷ」は等級制が廃止されてモノクラス制になる1969(昭和44)年までの間、前回エントリーで御紹介いたしましたような特殊な事例を除き、原則発行されていません。ですから、当時の10円区間ゆきの乗車券も青色地紋となっておりました。

御紹介の30円区間ゆき乗車券は2等級制となってからの近距離区間の地図式乗車券になるわけですが、最短区間が10円であった当時の30円区間ゆきですので当然乗車できる区間が長く、この乗車券の場合は下り方面は東小金井駅、上り方面は代々木駅もしくは新大久保駅となりますので、「荻窪駅、無駄に山手線書いちゃった件」問題で御紹介して参りました内容に反し、山手線を記載しなければならない券であるわけです。


   


発行駅が異なりますが、1966(昭和41)年10月に同じ中央本線の三鷹駅で発行された50円2等の乗車券です。青色こくてつ地紋のB型地図式大人専用券で、東京印刷場で調製されたものです。この券は同年3月の運賃改定後に登場した券で世代としては一世代後の様式となり、斬新な手書き地図ではない印版印刷方式のものになります。
この券で乗車できる区間は下り方面は国立もしくは現在では廃止されております中央本線の支線である通称下河原線の東京競馬場前駅、上り方面は大久保駅となっており、山手線内までは乗車できないものとなっておりますが、「荻窪駅、無駄に山手線書いちゃった件」問題の券同様の事例となっています。


昭和35年7月から昭和30年代後半にかけて発行されていた「10円2等」の青色地紋の乗車券の実物を見たことはないのですが、三鷹駅の例から推測するに、もしかするとやはり「荻窪駅、無駄に山手線書いちゃった件」問題の乗車券であった可能性も否定できません。

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