JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
平壌(ピョンヤン)市電の乗車券
近くて遠いくにである北朝鮮の核開発問題をめぐる6者協議が、中国の北京にある釣魚台国賓館で再開されました。
北朝鮮の正式名称は朝鮮民主主義人民共和国(Democratic People's Republic of Korea)といい、朝鮮半島の北部の社会主義国家です。
朝鮮半島は何度も国が分裂、統一する歴史を繰り返してきましたが、1910年の日韓併合により、朝鮮半島全域を支配していた大韓帝国は日本による支配を受け、日本の領土となりました。しかし、太平洋戦争が終戦を迎えた1945年、日本がポツダム宣言の条項を履行することを約束した降伏文書に署名したことにより、北緯38度線以南をアメリカが、以北をソ連が占領し、その後1948年には南部が大韓民国(韓国)、北部が北朝鮮となり、現在に至っています。
世界史の時間みたいになってしまいましたが、本日のお題は「平壌(ピョンヤン)市電の乗車券」です
北朝鮮の首都は平壌で、市内には市電(路面電車)とはじめとして、地下鉄やトロリーバスが公共交通機関として走っています。
もともと、日本統治時代の朝鮮には平壌の他、釜山と京城(現在のソウル)にも市電が走っていましたが、釜山と京城の市電は1968年にモータリゼーションにより廃止され、平壌の市電も1951年の朝鮮戦争で破壊されてしまい、そのまま廃止されてしまっているため、現在の平壌市電は、1991年に開業した、日本統治時代のものとは別物です。
これは日本統治時代の平壌市電の一区間用の乗車券です。紙質は藁半紙のような茶色っぽいものですが、券紙には中心に印刷されているものと同じ「マーク」の透かしが入っています。ご存知の方ならイメージが涌くと思いますが、近鉄の出補のような感じの透かしです。
日付がないのでいつごろのものであるのかは不明で「1910年~1945年の間のもの」としかわかりません。
「○上」と「○下」の文字があって上り電車と下り電車を区別していることから、恐らく車内で発券されたものと思われます。また、裏は全くの無地であり、券番もありません。
運賃は「金五錢」となっており、朝鮮半島の貨幣単位である「ウォン」とは違い、日本が統治していたことが伺えます。
また、北朝鮮は1948年の建国当初より漢字を廃止し、建国前の公用語である朝鮮語が現在も公用語となっており、そのことからも、この乗車券が日本統治時代のものということがわかります。
平壌市電の乗車券は、北朝鮮が日本国と国交が無いことに関係しているのか、また、車内で発売・回収が徹底されていたのかわかりませんが、満鉄(南満州鉄道)の乗車券ほど残っていないようであり、お目にかかる機会はあまり多くないようです。
« 小田急電鉄の... | 京王帝都電鉄... » |
私も「将軍様の鉄道」を購入しました。今までにない鉄道の世界のような感じで面白い本ですね。
一読の価値があると思います。
朝鮮についての記述は意外と少なく、このような情報をいただきますと興味深いです。