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「甲越軍記」を現代仕様で書いてみた(98) 長尾家 11

2024年05月13日 18時45分28秒 | 甲越軍記
 此度の長尾勢の勝利は、柿崎弥二郎の活躍によるところなりと為景は賞して、一門の領地を弥二郎に与えて、柿崎和泉守景家と号した。

宇佐美駿河守定行は柏崎の砦に戻り、勇威を落さず長尾勢に備えていた
長尾為景は、弟の越前守と軍議を行い、今の勢いに乗じて大軍で柏崎に攻め寄せ、宇佐美を滅ぼさんと考えた。
先陣に柿崎和泉守、栃尾信濃守、長尾平六郎、飯野右馬之允、刈羽相模守を五段に構えて柏崎に打って出て急に砦に攻めかかった。
しかし宇佐美は少しも怖れず、打って出ては敵を追い、籠っては敵を追い払う
また夜討ち朝駆け、千変万化、大奇大正の術を持って日夜敵勢を悩ませた。

これには柿崎を始め、長尾勢は最初の勢いは失せて軍卒多く討たれ、砦を攻める元気もなく夜も昼も寝ることさえ叶わず、今ははかばかしい戦もできぬと、上田の城に援兵を求めた。

これを聞き、為景は宇佐美があるうちは、到底越後の平定はならぬと悟り、管領上杉兵部大輔憲房に願い出て、和睦することを頼んだ
管領は使者神余越前、藤林若狭を使者として柏崎に送り、宇佐美の説得をした
宇佐美も管領の言葉ともなれば無下にはできず、命に従い為景と神文血判をもって和議が整った、これにより越後に束の間の平穏が訪れた。






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