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【0805/58:ダム問題】淀川委、大戸川ダム建設認めず:53戸移転済み波紋

2008-05-13 23:37:10 | Weblog

【読売新聞特集記事:インサイド滋賀】

大戸川ダムの建設を認めないとした意見書を取りまとめた淀川水系流域委員会。ダム建設は流動的になっている(4月22日、京都市で) 国土交通省近畿地方整備局長の諮問機関「淀川水系流域委員会」が整備局長に提出した意見書で、大戸川ダム(大津市)の建設を認めなかったことに、地元では波紋が広がっている。建設予定地の住民の集団移転はすでに完了し、道路などの周辺整備事業も工事が始まっているからだ。(井戸田崇志)

同ダムは、1968年に国が立地調査を開始。91年に基本計画が告示され、94~98年に予定地の大津市大鳥居町(当時)など53戸が約6キロ離れた地区に住居を移した。

移転した1人の建設コンサルタント谷伊八さん(77)は「水没する話が持ち上がり、受け入れの可否をめぐって住民が分裂状態になった。最終的には故郷を捨てる苦渋の決断をしたが、そこに至るまで、住民はつらい思いを強いられた」と振り返る。

大戸川では、53年に集中豪雨で死傷者174人を出し、82年には台風で橋が流されるなど災害が相次いだ。集団移転した住民でつくる大鳥居地域開発協議会など5団体は4月21日、同局にダムの早期着工を要望。対応した谷本光司・整備局河川部長は、要望に応えたいとの意向を示した。

県は、地元住民や大津市とともに長年にわたって国に建設を要請してきたが、そのトップの嘉田知事は、建設凍結をマニフェスト(公約)に掲げて当選。建設費を負担する大阪、京都両府も財政難などから今後の対応は不透明だ。

一方、ダム建設が中止された場合、県道・大津信楽線の改築事業(総事業費約37億円)や旧信楽町(甲賀市)の下水道整備事業(同約101億円)といった、県にとって重要な周辺整備事業も滞る可能性がある。

周辺整備の総事業費は約202億円。負担の内訳は国が約87億円、県約24億円、大津、甲賀両市で計約83億円などで大阪、京都両府が県、両市の負担分のうち計約31億円を肩代わりする。2006年度末現在で国が約36億円、県約10億円、両市は約37億円をすでに支出しており、大阪、京都両府はそれぞれ約11億円と約5億円を支出済みだ。

県関係者は「ダムが中止になったら、国や大阪、京都両府は周辺整備事業の負担金を払わないだろう。財政難の県が穴埋めの追加負担に耐えられるだろうか」と懸念。大津市の目片信市長は「流域住民の生命、財産が保証されるなら、ダムにはこだわらない。しかし、ダム以外に方法がないなら建設する必要がある」とする。

その一方で、整備局側の姿勢にも首をかしげざるを得ない。ダムの淀川での水位引き下げ効果が19センチというデータをなかなか提示しなかったことなど、淀川委ではダムの有効性に関する説明不足を批判する意見が相次いだからだ。大型公共事業に対する世論が厳しさを増しており、整備局の説明責任も問われている。

【関連ニュース番号:0805/18、5月4日;0805/01、5月1日など】

(5月13日付け読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shiga/news/20080512-OYT8T00792.htm

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