大津市園城寺町の門跡寺院「円満院」の重要文化財「宸殿(しんでん)」を含む建物や土地約1万4000平方メートルが競売落札された問題で、土地建物の所有権が8月21日までに、落札した滋賀県甲賀市水口町京町の宗教法人「大岡寺」に移転し、競売が成立した。円満院の土地建物の所有者が変わるのは初めて。文化庁によると、「重文の建造物が競売落札され、所有権が変わるのは異例」という。
大岡寺関係者によると、大岡寺は5月26日、売却基準価格の約7倍の約10億6000万円で土地建物を落札。円満院への債権総額が落札金額よりも大きかったため、双方を相殺する「差引納付」で代金を納付した。さらにこの競売に対し、ほかの債権者が配当を申し立てたため、大岡寺側は8月18日までに配当相当額を大津地裁に現金で納付したという。登記移転の手続きを経て、20日に成立した。
大岡寺の役員の一人は14日、京都新聞社の取材に対し、「現金は納付しない。競売は成立せず、土地建物の所有権も変わらない」と話していた。
【関連ニュース番号:0908/116、8月15日】
(8月22日付け京都新聞・電子版)
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