◇使い道みんなで議論を--外部評価の大切さ訴え
税金の無駄遣いを官僚らに問い詰める姿が反響を呼んだ政府行政刷新会議の「事業仕分け」。県内からは前高島市長の海東英和さん(49)ら2人が仕分け人として参加した。事業仕分けについて「国の予算配分の一端が明らかになったのは初めて。税金がもっと現場に届くような使い方を考える機会に」と話す海東さんに9日間を振り返ってもらった。【安部拓輝】
海東さんは厚生労働省、経済産業省、外務省の各事業についての「第2ワーキンググループ」に所属した。
最も驚いたのは、省庁所管の法人に流れる人件費の高さだ。例えば厚労省認可の「子ども未来財団」。09年度の支出は、311億円に上る基金の運用益約3億円と補助金7億7600万円を合わせた約10億円。そのうち半分の5億円は人件費や家賃、公用車維持費に充てられていた。理事には厚労省OBの名がズラリ。「障害者や子どものための財団が天下りの指定席になり、税金が中抜きされている。もっと予算を現場に届けて」と主張し、基金返納を求める結論となった。
経産省の「市街地活性化事業」では過去に実施した600件の効果と実績を尋ねたが、明確な返答はなく、地方のシャッター商店街の舗装など、根本対策とは言えない事業の実態が数多く明らかになったという。
海東さんは仕分け対象事業について、事前に現場担当者らに話を聞いた。健康増進のため国が配布している手帳は、保健師から「なくてもいい。現場に任せて」と言われ、見直しを求めた。仕分けの議論後、省庁の担当者から「よく追及してくれた」と耳打ちされたこともあったという。
県や市町でも、不況による税収減で財源不足が深刻化している。海東さんは「しがらみのない者の意見がないと見直しの判断はできない。それは国も地方も同じではないか」と、外部評価の大切さを訴えた。
◇23日に報告会
海東さんらは23日午前10時から高島市安曇川町青柳のエルブライド寿光苑で報告会を開く。対話でつなごう滋賀の会高島支部が主催し、税金の使い道について意見交換する。参加費500円。
【関連ニュース番号:0912/72、12月8日;0912/28、12月3日など】
(12月8日付け毎日新聞・電子版)
http://mainichi.jp/area/shiga/news/20091208ddlk25010535000c.html