徒然なるままに…建築家のボヤキ。。。

I・N設計スタジオ ブログ

工夫した本棚のある書斎スペース-1

2016-03-10 08:59:43 | こだわりの趣味の部屋を作る
 数年前にやらせて頂いた住宅に、本棚を工夫した住宅が数件ある。旦那さんの書斎だったり、子供の為の勉強スペースにそれらは設えた。今回からはその工夫の様子を書いて行きます、お付き合い下さい。

 3年前に完成した住宅はコンパクトな間取りで計画を開始した。子供が3人いたが子供部屋は2室のプログラム。当時長女は中学生、長男は小学生、次男は確か小学校に上がったばかりと記憶している。

 長女は後数年すれば実家を離れるだろうし、次男はまだ父母と一緒に寝ている。3人に対し2つの部屋をその時代のローテーションで使用することで計画は進んだ。

 しかし勉強する机やスペースは3人分欲しい。そこで2階の子供部屋の前のホールにスタディスペースと称して折畳机を設置した。机と言っても長さ2m70cmもあるので裕に2~3人は作業ができる。その隣には家具什器としての机1台を置けるスペースを確保した。

 

 そのスタディスペースにも本棚や書棚が勿論必要になる。しかも、一番下の次男はフィギアが大のお気に入りで、数十体持っているのだそうだ。そのフィギアを飾る棚も必要な訳だ。

 コンパクトな間取りとなっている為、大きな本棚を設置するスペースが中々ない。そこでひらめいたのが手摺の利用であった。スタディスペースは2階の吹抜に接していて手摺をぐるりと設置しなければならない。

 その手摺を有効活用できるはずだ。手摺の構造を本棚の構造にし、一石二鳥を図った。その写真がこれ。ちょっと全体像が分りづらいかもしれませんが、写真下部に写ってるのが手摺兼書棚。

 

 

 手摺の高さ1.1m、総延長長さ6.3m。結構な収納量となった。クライアントにも好評で、今現在、次男のフィギアが所狭しと並んでいる。
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自宅に茶室を作る方法-6

2016-03-08 09:09:37 | 茶室の作る為の間取り・広さ・約束事
 住宅における台所の役割を果たすのが水屋。お茶の準備と後片付けに使われる部屋で、道具などを置いておく場所です。水屋には「水屋流し」「水屋棚」などが必要になります。

 

 水屋流しは白竹をすのこ状にし、その下に銅板で深さ10cmほどの流しを造ります。蛇口は銅メッキを施したものがよく使われます。以前やらせていただいた茶室の水屋にも銅メッキの蛇口を設置しましたが、蛇口の栓(ひねるところ)の押さえ金物に英語で文字が書いてあり、その文字を消して取り付けたことも有りました。

 水屋棚は三段構成になっています。一番上から「上通り棚」「中通り棚」「下通り棚」と呼びます。四段目の半分の長さしかない棚は「茶碗棚」と言います。

 

 上通り棚は箱炭斗を置くので、高さ42cm以上、奥行き33cmくらい必要となります。中通り棚と下通り棚は上の棚から27cm下に設置し、奥行きはどちらも27cmくらいで赤杉を用いて作られます。

 茶碗棚も上の棚から27cm下に設置し、右端には香挟間透かしの入った「持ち送り板」を入れ込みます。

 水屋での器の配置は、水回りのものは下に、火のものは上、大きくて頻度が低いものは上、小さくて使用頻度が高いものは下というルール。

 設計上のポイントは、水屋が席から丸見えにならないことはもちろん、水作業時の音が聞こえないように水屋流しは茶室に接しないようにします。茶室の照明や空調のスイッチは全て水屋に設置することも大事。まさか茶室にあのスイッチプレートを取り付ける何でできませんよね。

 そういえば茶室のコンセントも工夫しました。畳寄せと言われる畳と壁の間のわずかなスペースに納まるようにコンセントを改良しました。一つ一つに決め細やかな対応が必要なんですね。

 

 茶室の設計をやらせて頂き、一番最初にしたこと…それは茶道の用語を覚え理解することでした。用語を覚えないとクライアントとの打合せも上手くできませんから…。

 これまで紹介してきたことはほんの一部です。自宅に茶室を作るために少しでも参考になればと思います。


 ~おわり~
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自宅に茶室を作る方法-5

2016-03-03 08:55:03 | 茶室の作る為の間取り・広さ・約束事
 床の間の周りには様々な釘を用います。軸や花入れを飾る為のもの、釣釜を掛ける為のものがあります。

 

 軸を掛ける為の釘に「軸釘(竹釘)」、「折釘」、「二重折釘」などが有ります。

 花入を掛ける為に床柱に打つのが「花釘」。床壁の中心に打つ釘を「無双釘(中釘)」、床の間の天井に打ち釣花入を掛ける為のものが「花蛭釘」、釜を吊り下げる為のものを「釜蛭釘」といいます。

 

 紹介した釘は種類によって形がほぼ決まっており、私が設計した茶室の場合は、クライアントに釘自体を支給して頂きました。

 釘を打つ場所(寸法)も決まっていて、一つ例を上げれば、花釘を設置する目安は、落掛から床框までの寸法の落掛より三分の一の高さが良いとされています。

 畳のサイズは京間畳を使用しますが、現在の住宅やマンションのサイズには必ずしもあってきませんので注意が必要です。以前の設計では、点前座の2枚だけ京間畳のサイズとしました。これだけでも大丈夫だそうです。

 畳縁の色は濃紺。畳の目は縁から半端な目を作らないこと。道具等の置く位置が、畳の目の数によって決まっているからだそうです。

 

 畳の敷き方は炉を基準にするのが通例で、「床差し」という敷き方で通常は嫌われる敷き方ですが茶室では正とされています。茶室の畳の敷き方は、炉と亭主、客の動線が何よりも優先されるのです。


 ~つづく~
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自宅に茶室を作る方法-4

2016-03-01 08:35:45 | 茶室の作る為の間取り・広さ・約束事
 「茶室の約束事」というタイトルで話してきましたが、ちょっと堅いタイトルだったので、「自宅に茶室を作る方法」に変更しました。

 

 茶室において床の間も重要な役割を持っています。軸、花、香合えお取り合わせ、飾り付けることでもてなしの空間を演出するのが床の間。

 床柱、落掛(おとしがけ)、床框(とこがまち)があり、床の間の床が畳敷きであること。これが正式とされる「本床(ほんどこ)」です。

 

 本床を設えられない場合は、壁を床に見立てる「壁床(かべどこ)」、壁の前に台を置いた「置床(おきどこ)」、壁床に落掛だけをつけた「釣床(つりどこ)」、壁床の天井際に幕板うを付ける「織部床(おりべどこ)」等が有ります。

 正式な床の位置は、点前座から見て正面右で、光が床の右側から差し込むようにします。この床を「上座床(じょうざとこ)」と呼びます。

 

 床の位置が点前座から見て背後にあるものを「下座床(げざどこ)」、点前座の亭主の背後にあるものを「亭主床(ていしゅどこ)」と言います。亭主床は、亭主と床が一体に見え客の目を楽しませる床です。

 床の大きさも色々有りますが、間口がおおよそ一間分の間口の床を「一間床(いっけんど)」といい「本床」とも言います。その他に大きさによる分類から、「桝床(ますどこ)」、「台目床(だいめどこ)」等が有ります。

 自宅に床の間がない場合でも、上述したように色んな方法が有りますが「本床」に勝るものは有りません。


 ~つづく~

 

 
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