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5G 第5世代移動通信システム 最新情報 東京オリンピック 世界に先駆けて実現へ 5G実証実験 5GNR

2018年05月05日 07時56分12秒 | 5G
5G・第5世代移動通信
“世界に先駆け”2020年東京オリンピックに向けて実現へ




2020年東京五輪にむけて5Gサービスの実現は可能か?

4K8K映像、高速走行移動体、トラック隊列走行、スタジアム・タブレット端末、遠隔地医療 
5G実証試験の成果を報告

 2018年3月27日と28日、総務省は「5G国際シンポジウム2018」を開催し、2017年度に実施した、「5G総合実証試験」の成果の報告し、5Gの技術開発情報やさまざまな分野での利活用の事例を海外の5G開発関係者に発信した。
 「5G総合実証試験」は、総務省とNTT、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの通信事業者や国際電気通信基礎技術研究所、情報通信研究機構が参加し、超高速・大容量通信、高速移動体(電車・自動車)の通信、低遅延通信、同時多数接続などをテーマに実施した。


5G国際シンポジウム2018


5G総合実証試験の成果の展示

 NTTドコモ は、「PCやタブレットやスマホなどのユーザー端末で5Gbps、1基地局あたり10Gbps超の超高速通信の実現」をターゲットにして、東京スカイツリータウンと和歌山県で、4.5GHz帯および28GHz帯を使用した5G実証実験に取り組んだ。
東京スカイツリータウンには、「5Gトライヤルサイト」が設置され、4K/360度VR映像や8K映像をライブで伝送し、5Gの技術評価をした。またこのトライヤルサイトでは、「人口密集地」の屋外環境において最大10.2Gbps通信速度を実現した。
 和歌山県では、都市部の総合病院と山間部の診療所を高速通信ネットワークで結び、4K高精細映像を活用した遠隔診療サービスの実証試験を実施した。医師が診断する際に患者の患部を映し出す4K接写カメラ映像や超音波映像診断装置(エコー)・MRIなどの医療機器の映像をリアルタイムに伝送することで、遠隔診療サービスの高度化に効果が上げられるとした。

 NTTは、「高速移動時における2Gbpsの高速通信の実現」をサービス・モデルに、28GHz帯を使用し、電車・高速バスなどを想定した時速90キロで移動する高速移動体に対し4K高精細映像を5G通信で伝送する実証実験を実施した。
 富士スピードウェイ(静岡県)では、時速90キロで走行する自動車に対する伝送試験ではで最大2.24Gbpsを達成、東武鉄道日光線(栃木県)では、時速90キロで走行する電車に対する伝送試験では最大2.90Gbpsを達成した。
2020年実現を目指している自動運転自動車には、超高速・低遅延の5G通信のバックボーンは不可欠とされている。

 KDDIと国際電気通信基礎技術研究所は、2018年3月、沖縄・那覇市内にある「沖縄セルラースタジアム那覇」で、28GHz帯を使用した5G通信を利用して、4K映像のリアルタイム映像を観客席に設置した50台のタブレット端末に対して配信する実験を実施した。
KDDIは、東京・台場のシンポジウム会場でも同様のシステムのデモンストレーションを行い、25台のタブレット端末にそれぞれ異なる4K映像を同時配信した。
 スポーツの試合や音楽コンサートなどのイベントで、観客のタブレットやスマートフォンに、多地点に設置されたカメラで撮影した選手やアーティストの高精細映像をリアルタイムで配信し、観客が自由に視点を選んでイベントを楽しむサービス・モデルを想定している。平昌冬季五輪でもフィギアスケートなどで、POV(Point of view)サービスとしてすでに実現され、東京オリンピックでも同様のサービスが行われるのは確実だろう。
実証実験で使用されたタブレット端末はサムスン電子製で、同社製の5Gモデムを内蔵しており、最大で約3Gbpsの高速通信が可能とされている。
 平昌冬季五輪は、サムスンは5G対応タブレット端末の試作機約1000台を提供したが、今回KDDIが公開した端末はそれと同等機種だという。5G対応のタブレット端末が日本で公開されるのはこれが初めてで、しかもサムスン電子製。
 5Gタブレットの開発では、日本は韓国に後れをとった。




KDDIの5Gタブレットの展示

『Sharing our Future』技術解説 NTTdocomo

 ソフトバンクは、「トラックの隊列走行 車両の遠隔監視・遠隔操作」をサービス・モデルにして、「1ms(無線区間)での低遅延通信の実現」の実証実験を行った。
 時速50kmから90kmで走行中のトラックと5G実験基地局間で、4.7GHz帯を使用し5G通信の実験を実施し、無線区間(片道)の遅延時間が1ms以下となる低遅延通信に成功した。
 トラックの隊列走行実験では、後続車両に搭載されたカメラで撮影した4K映像を、28GHz帯を使用した5G車両間通信により先頭車両にリアルタイムで伝送する実験も行った。
 車両間だけでなく。基地局を経由した4.7GHz帯を使用して、4K映像のリアルタイム伝送実験も行った。
先頭車両のモニターで、低遅延で鮮明な4K映像を見ることができたとし、トラックやバスなどの遠隔監視や遠隔制御などでの利活用が期待される。
 今後は5G移動通信の「超高速」、「大容量」、「低遅延」のメリットを活かし、トラックの隊列走行で、先頭車両だけに運転手を配置して後続車両を無人自動運転にするなどの利活用モデルの実用化に向けて検証や評価を行なっていきたいとしている。

 実証実験を統括して5GMFの三瓶技術委員長は、「実証実験の初年度としては成果を上げたと思う。2020年、5G商用化を実現するためには、2018年度が重要な年となる」と総括した。

5Gの必要性の根拠を示せなかった実証実験
 今回の実証実験の各グループの発表を聞いて、筆者は、なぜ5Gが必要なのか、4GLTEで十分なのではないか、大きな疑問が沸いてきた。
 東京スカーイツリーの「5Gトライヤルサイト」では、4K8K映像の送信、スタジアムでのタブレットに向けての4K配信、トラック隊列走行でも4K映像のやりとり、遠隔地医療システム、5Gの実証実験というと必ず「4K8Kの高繊細映像」の伝送が登場する。
 5Gは移動通信サービスであり、5Gのユーザーは、タブレットやスマートフォンなどの移動体の端末で、大画面ではなく小さな画面で映像や画像を見るというサービス・モデルである。タブレットやスマートフォンの小画面で、HDと4Kの映像を見比べても、画面に顔を近づけてよく見ない限り優位差は感じられない。HDと4Kの画質の優位差が顕著に表れるのは50インチ以上の液晶テレビである。さらに8Kとなるとその威力はパブリック・ビューイングの大スクリーンにならないと発揮できない。
 なぜ、HD映像では不足なのか、なぜ4Kにしなければならないのか、理解に苦しむ。タブレットやスマートフォンのユーザーはHD以上の高画質を求めているのだろうか。
 スタジアムのイベントでのスマートフォンへの映像配信やトラックの隊列走行の管理映像、テレビ会議には4Kは果たして必要なのだろうか。
 HD映像でサービスを実施するなら4KLTEで十分で、膨大な新たな設備投資経費が必要な5Gは不要だ。
 遠隔地医療での利活用では4Kの高繊細映像のリアルタイム伝送が威力を発揮するということは理解できる。しかし、なぜ光ファーバーを利用しないのか。日本のほぼ100%の地域には光ファーバー網の設置が終わっている。伝送路の実証実験をするより、遠隔地医療サービスのシステム構築に力を注ぐ方が重要だろう。 
 「1ms以下」の低遅延についても、タブレットやスマートフォンのユーザー対してはほとんど意味がない。多少の遅延が生じても映像や画像を見るにはまったく支障はないだろう。
 その一方でIot時代の急速な進展で、ヒトを介さないモノ同士の通信量は、今後急速拡大すると予想されている。Iotを駆使した“スマートハウス”の実現なども想定される。またAIロボットやAI自動車は大容量のビックデータを処理しなければならなくなる。こうしたICT時代には5Gネットワークの基盤整備は必須となる。今回の実証実験で、5Gサービス実現で最重要となるIotデバイスの多数同時接続に向けた実証実験がないのは不満感が残る。
 5Gの実証実験は、4GLTEでは実現不可能で5Gを使用しなければならい利活用サービス・モデルを提示する必要がある。それができなければ、なぜ5Gが必要なのかについて国民の理解は得られないだろう。

“2020年5G商用化の実現”に暗雲
 5Gサービスの商用化を実現するためには、4GLTEでは不可能な新たな魅力的な利活用のサービス・モデルを提示できるかどうかにかかっている。
 今の日本で移動体通信の大半を使用しているは1億台を超えるとスマートフォンのユーザーである。
 しかし、こうしたユーザーの大半は4GLTEで十分満足していて、これ以上の高スペックで高価な5Gに関心は示さないと思われる。
 幅広い市民への5Gの普及拡大は、ほぼ絶望的だという懸念が生じる。
 日本の一般の家庭や企業に対しては、光ファーバー回線がほぼ100%整備されていて、いつでも高速通信サービスが利用可能だ。光ファーバー回線が十分に普及していない米国やアジア各国では、5Gネットワークは大きな意味があるかもしれないが、光ファーバー網が整備されている日本では5Gサービスはあまり意味がない。国民の支持も得られないだろう。 
 さらに5Gに割り当てられる周波数帯域も重要である。
 今回の「5G総合実証実験」では、4.5Mbps帯域と28Mbps帯域が割り当てられた。4.5Mbps帯域を利用すると、雨や霧、建物や構造物などの障害物があっても電波はある程度回り込んで伝わり、広範囲に行き渡りるが伝送速度は上がらない。また使用可能な帯域幅も狭く、大容量の通信を行うには条件は良くない。これに対して28Mbps帯域では、伝送速度は上がるが、電波の直進性が強く、障害物があると減衰し、電波は広範囲に及ばない。使用可能な帯域幅は幅広く確保することが可能なので大容量の通信にはむいている。それぞれ一長一短なのである。
 こうした周波数の特性をクリヤーするには、膨大な数のアクセスポイントをどう設置するか、新しいネットワークシステムや5G対応機器の開発をどうすすめていくかが肝要で、5Gサービスの実現には相当なハードルが待ち構えている。5G設備投資の負担と収益性のはざまで通信企業各社は解決しなければならない難問が課せられている。

 国を挙げて取り組んでいる2020年5Gサービスの商用化、5Gのユニバーサル・サービスの実現には暗雲が立ち込めている。
 残された時間は後2年、5Gまさに正念場を迎えている。


NTTドコモの5G無線装置 13.2Gbpsの通信速度を実現している


5G総合実証試験  出典 総務省報道資料 2017年5月16日

5G NR標準仕様の初版策定が完了 3GPP
 2017年12月21日、「3GPP TSG RAN Plenary」は、5G NR標準仕様の初版の策定が完了し、技術仕様を公表した。
 今回策定されたのは、5G NRをLTEと連携させて実現するNSA(Non-StandAlone)と呼ばれる機能を規定した。既存の4G(LTE)ネットワーク構成の中に5GNAネットワークのエリア(EPC Evolved Packet Core)を構築して、ユーザーデータは4G(LTE)と5GNAを連携させ処理し、通信制御は4G(LTE)側のコントロールチャンネルで処理する。NSA(Non-Standalone)と呼ぶ5GNRネットワーク構成を規定した。
 新たな無線方式の5GNRを、高度化した4G(LTE)と連携させて一体的に動作させることで5Gサービスを実現させた。
 これを受けて、同日、世界の主要5G移動通信キャリヤー各社は、早ければ2019年に開始を予定している5Gサービスの大規模トライアルや商用展開に向けて、5G NRの開発を本格的に開始すると共同発表を行った。
 3GPPは、これで5G標準化の「フェーズⅠ」の策定を終えて、引き続きSA(tandalone)方式の策定に入り、2018年6月には「フェーズⅡ」を策定し、「5G New Radio」の標準化を完了するとしている。
 日本では情報通信審議会新世代モバイル通信システム委員会技術検討作業班が、これまでNB-IoTやLTE-Mの技術条件の検討などを進めてきたが、12月22日に開かれた第4回会合から、「5G New Radio」を受けて、5Gの技術条件の検討を本格化させた。
 同作業班は今年5月に取りまとめる報告書をもとに、夏頃までに技術的条件を策定し、これに基づいて総務省は、焦点の5G向けの新周波数を2018年度末までに割り当てる方針である。
 2018年は、2020年の5G商用サービス実現に向けて重要な年となる。




出典 新時代モバイル通信システム委員会技術検討作業班資料


5G NR標準仕様の初版策定が完了 3GPP



国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)




平昌冬季五輪は“5Gオリンピック” 韓国の戦略~2020東京五輪は平昌五輪に先を越されたか?~
>暗雲 4K8K放送 2020年までに“普及”は可能か?
平昌五輪のメディア拠点 国際放送センター(IBC)
平昌冬季五輪 4Kに乗り出したNBC






第五世代移動通信5Gとは何か



第5世代移動通信システム国際ワークショップ2015 2015年11月6日 幕張メッセ
ITU、日米欧中韓の推進組織の代表が集まった *米国はビデオ参加

 「G」という言葉の意味は、英語の「Generation(世代)」の頭文字。1Gは第1世代、2Gは第2世代、3Gは第3世代、4Gは第4世代、そして次世代の通信規格、5Gは、第5世代となる。
 1Gはアナログ方式の通信規格、2Gはデジタル方式になってメールやネットの利用に対応した規格。さらに高速化された3Gでは動画サービスが開始され、iPhoneやGoogle Nexusなどのスマートフォン、タブレットが本格的に登場し、“モバイル時代”の幕開け、そして、さらに高機能化したiPhone5やNexus 5などのモバイル端末の爆発的普及を支えた4G、そして、すでに、その次世代の5Gが“胎動”している。
 2020 年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、世界に先駆けて、現在の1000倍、10Gbps 以上の通信速度という第5世代移動通信システム (5G)の実現をめざし、 “オールジャパン”での取組みが強力に推進されている。



出典 2020年代に向けたワイヤレス関連の戦略 総務省


出典 docomo


急増するトラヒック(通信量)
 iPhoneやGoogle Nexusなどのスマートフォン、タブレッットの爆発的な普及で、移動通信へのトラヒック(通信量)は、急増している。2014年3月には671.7Gbps(月間平均 総務省調査)という膨大なトラフィックが記録されている。移動通信へのトラヒック(通信量)は、この5年で、10倍、これからの5年でさらに10倍、この5年で10倍、2020年までには1000倍になると言われている。
 2011年から2012年にかけて立て続けに起こった通信障害は記憶に新しい。急増したiPhoneやGoogle Nexusなどのスマートフォン、タブレッットの通信量を処理できず、“つながらない”をというトラブルが日本全国で多発した。膨大な数の移動端末が、ネットワークに“つなぎっぱなし”になることが原因だったという。
 また新しいサービスモデルの登場も、トラヒック(通信量)の急増を加速させる。
 最近、注目を浴びているウエアブル端末、2015年4月、Apple Watchが発売されて、ブームは一気に加速している。2020年には、1億台以上普及するという予想もあり、今後、爆発的に普及しそうである。ウエアブル端末とは、身につけて持ち歩くことができる情報端末、時計や眼鏡などの製品に利用される。
 もう一つは、「モノとモノつなぐ通信」である。
 “M2M”(Machine to Machine)と呼ばれる人間が介在しないで、機器同士がコミュニケーションをして動作するシステムである。また“IoT” (Internet of Things)は、「モノのインターネット」と呼ばれ、社会のあらゆる"モノ"が通信でつながるシステムだ。
 こうした「モノとモノつなぐ通信」が、交通、医療、企業、公共施設、学校、家庭など社会のあらゆる分野で急速に普及している。
 こうした通信量の増大に対応するためには、移動通信の超高速化と利用周波数帯の拡大を早急に実現しなければならない。2020年、東京オリンピック・パラリンピックがターゲットである。キーワードは“ICTオリンピック”だ。




出典 一般社団法人電波産業会[ARIB]


■ 1G
 第1世代移動通信システムは、初めて実用化されたアナログ方式の携帯電話に採用されている通信システム。これによって携帯電話が急速に普及した。
*周波数割当  800MHz帯(下り最大75Mbps)

■ 2G
 第2世代移動通信システムは、1993年に、第1世代移動通信システムの次に登場したデジタル方式の移動通信システム。デジタル化された。デジタル方式の携帯電話では、音声通話だけでなく、電子メール、インターネットが利用可能になった。
 NTTドコモでは、“mova”(ムーバ)と名付けてサービスを提供。
*周波数割当  1.5GHz帯(下り最大112.5Mbps)


■ 3G
 第3世代移動通信システムは、国際電気通信連合 (ITU) が定める「IMT-2000」 (International Mobile Telecommunication 2000) 規格に準拠した通信システム。
第2世代 (2G) では互換性のない方式の移動通信システムが各国、各地域別に展開されていたため、第3世代では世界的にローミングが可能となるように統一規格の策定を目指した。
IMT-2000規格として1999年に勧告された地上系無線方式にはIMT-DS、IMT-MC、IMT-TC、IMT-SC、IMT-FTの5種類の規格が規定され、通信速度として144kbps(高速移動時)、384kbps(低速移動時)、2Mbps(静止時)が定められた。
 動画の送受信が可能になり、各種のサービスが提供され、携帯端末でも“マルチメディア時代”の幕開けとなった。

 Appleは3G対応モデルの“iPhone 3G”を発売
 ソフトバンクが“iPhone 3G”を日本で発売し、“iPhone”ブームの起爆剤になる。
 “iPhone 4S”からは、auも日本国内で発売。
 3G対応モデルのGoogle NexusSが発売開始。
 Amazonは3G対モデル、“Kindle Touch”を発売開始。
 Androidを搭載した携帯端末やタブレット用が次々と登場
 NTTドコモでは、“Foma”(フォーマ)と名付けてサービスを提供。
* 周波数割当  1.7GHz帯(下り最大150Mbps)
            2GHz帯 (下り最大112.5Mbps)


■ LTE(Long Term Evolution)
 第3世代(3G)の移動通信システムをさらに高速化した規格。第4世代(4G)への橋渡しという意味で「3.9G」(第3.9世代)と呼ばれている。一般的には、LTEも「4G」という表現を使っている場合が多い。
LTEでは、通信速度が下りで最高100Mbps以上、上りで最高50Mbps以上となり、家庭向けのブロードバンド回線にほぼ匹敵する高速なデータ通信が可能となった。
従来と異なりすべての通信をパケット通信として処理するため、音声通話もデジタルデータに変換されてパケット通信に統合される。
 LTEで利用する周波数帯域や使用する帯域幅は3Gと共通にして、従来の通信サービスからのスムースな移行を目指した。
 AppleはLTE対応モデルの“iPhone 5”を発売、“iPhone”人気はさらに過熱した。
 “iPhone 5S”からはNTTも日本国内で発売開始。
 LTE対応のGoogle “Nexus5”が発売開始。“Nexus 7”は2万円を切る価格で発売され、モバイル端末の普及は さらに加速。
* 周波数割当  2.5G帯  (下り最大100Mbps~150Mbps)


■ 4G(IMT-Advanced)
  第4世代移動通信システムは、IMT-Advancedは、国際電気通信連合 (ITU) が定める「IMT-Advanced」 (International Mobile Telecommunication 2000) 規格に準拠した通信システム。「LTE-Advanced」と「WiMAX 2」の2方式を採用した。
 100Mbp、200Mbps、1Gといった光ファイバーに対抗する通信速度を目指して技術開発が行われた。
 LTE-AdvancedはLTE(Long Term Evolution)をさらに発展させものである。
 WiMAX2(IEEE 802.16m)は、WiMAXをさらに発展させたもので、最高通信速度が100Mbpsから1Gbps程度に達する。
 通信スピードが超高速化されるが、第3世代移動通信システムで使用している 2GHz帯 より高い周波数帯を用いる予定であるため、サービスエリアが狭くなることや屋内への電波が届きにくくなることから、サービス時には第3世代移動通信システムと併用して利用するモデルが現実的である。4K映像や映画、ゲームなどの高繊細映像の携帯端末への配信が可能になった。
“iPhone”の登場と爆発的な普及を支えている移動通信システムである。
* 周波数割当  3~5G帯  ((下り最大100Mbps~1Gbps)


出典 NTTドコモのホームページ


出典 2020電波政策懇談会

■ 5G
  総務省では、2020 年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、世界に先駆けて、10Gbps 以上の通信速度という第5世代移動通信システム (5G)の実現をめざし、ロードマップの大枠を示し、産学官が連携して“オールジャパン”での取組みを強力に推進している。
 5Gは通信速度で現行の100倍に当たる10Gbpsの通信速度の実現を目指しており、スマートフォンなどの移動端末に、高精細な映像や大容量の情報を超高速で伝送できるようになる。 更に重要なポイントは、ICT社会の進展であらゆるモノがインターネットにつながるInternet of Things(IoT)が急速に普及し、通信量が爆発的に増加することである。自動車や鉄道、ロボット、工場の生産設備、社会の隅々に設置されるセンサーなどの通信を瞬時に遅延なく処理しなければならない。
 5Gの開発とサービスの実現は、スマートフォンの延長線上にある移動端末だけの通信基盤はなく、Internet of Things(IoT)などICT社会の進展を支える情報通信基盤として必須になってきた。
 総務省では、2017年度から5Gの各種の技術を統合した実証実験を開始し、 5Gのネットワークシステムやサービスモデルのイメージを作り上げていきながら、国際標準化を推進するとしている。そして、5Gサービスを実現するために重要な周波数帯の確保を行っていく計画だ。商用化開始のターゲットは勿論2020年東京オリンピック・パラリンピックである。
 2014年9月30日には、5G開発の推進組織、「第5世代モバイル推進フォーラム」(5GMF)が発足した。発会式には、総務省幹部を始め、NTTドコモやKDDI、シャープ、ソニーなどの民間企業各社や研究所、大学関係者などが参列し、このプロジェクトへの意気込みを国内外に示した。


出典 電波政策ビジョン懇談会 総務省

焦点 5Gの国際標準化の主導権争い ハードルの高い要求水準

■ 5G開発で先行したMETIS
 5Gについては、現在のところ世界標準規格は決まっておらず、各国の組織や企業などが標準化に向けた熾烈な主導権争いを繰り広げている。
3G(第3世代移動通信)の実用化で主導権を握ったのは欧州、4Gでは米国が牽引者となったとされている。5Gでは欧州は主導権を取り戻そうと、意欲的に取り組んでいる。米国、日本、韓国も積極的で、最近は中国も力を入れ始めている。
 2012年11月、その中でいち早くタートしたのが、欧州を中心に設立された国際コンソーシーシアム、METIS(Mobile and wireless communications Enablers for the Twenty-twenty (2020) Information Society)である。
 2020年の情報社会のためのモバイル/ワイヤレス・コミュニケーション実現に向けての事業者コンソーシアムである。
 5Gの概念や技術的な要求水準、サービス・コンセプトなどをまとめて公表し、5Gの開発競争で主導権を握っている。
 欧州では、LTE網の展開や対応端末の普及が遅れていて、北米やアジアの韓国や日本にかなり差をつけられてとされている。
 こうした状況の中で、欧州は第五世代移動通信システム(5G)の開発で、欧州が主導権を握り、情報通信の分野での立ち遅れを巻き返すことを狙って、欧州委員会(EC European Commisssion)は“Horizon2020”プロジェクトを立ち上げた。この分野の研究に5000万ユーロ(6900万ドル)の助成金を提供し、このうちおよそ3分の1をMETISに拠出した。 さらにECは2020年までに7億ユーロを拠出する計画を公表している。 欧州の5G開発への意気込みが伺える。 (出典 WiressWiew News 2013年10月28日) 

 METISは、次世代の情報通信戦略の世界各国の“先駆者”となっているとされている。
METISの加盟組織は、エリクソン(Ericsson)、アルカテル・ルーセント(Alcatel-Lucent)、ノキア(Nokia)、ファーウェイ(Huawei)、NTTドコモなどの通信関連企業や、自動車メーカー(BMW)、大学など23の組織が参加した。
 参加組織の中で、主導的な役割を果たしているのはエリクソン(Ericsson)である。
2014年から標準化の予備研究に取り組み、2017年からは標準化の作成作業を行い、ITUのWRC(世界無線通信会議)2018/2019で5G国際標準を定めて、2020に商用化を目指すというロードマップも公表している。
 2015年、METISはその役割を終え、欧州員会が設立した“5GPPP” (5G Public-Private Partnership Association)に合流して活動をしているが、依然として5Gの技術開発や標準化で世界の中で主導的な役割を果たしている。


出典 MEITIS

■ 5GMFを立ち上げた日本
 日本では、2014年9月30日、総務省は「第5世代モバイル推進フォーラム」(5GMF The Fifth Generation Mobile Communications Promotion Forum)を設立し、産官学のオールジャパン体制で5Gの技術開発や標準化に取り組んでいる。通信関連の企業74社や専門家14人で構成されている。
 これまでにまとめられている5Gのコンセプトは、MEITISの要求水準とほぼ同様の内容である。

* 通話エリアあたりで現状の1000倍のトラフィックを処理する大容量化
 (システム容量=ユーザー数×通信速度)
* 現状の10倍程度、ピーク時で10Gbps程度の高速通信
 (ピーク速度を10倍)
* 感触通信やAR(拡張現実)、M2Mといった、タイムラグが大きな影響を与える技術に対応する1ms以下の低遅延
 (遅延10分の1)
* リニアや新幹線など交通機関で高速で移動中の通信を可能にする
 (移動性 500km/h)
* 大規模イベントや災害発生直後といった大量の通信トラフィックが集中する事態に対応しうる多数の端末との同時接続
 (接続機器数100倍)
* 電池切れを気にせずインフラ管理などに設置・利用可能は省電力化
 (消費電力2~3分の1)
* 情報通信基盤として幅広く普及しやすい価格水準
 (低価格化)

 こうした要求水準をどのように実現するかは、標準化作業が終わっていないので定まっていない部分が多いが、当面の間、6GHz以下の低SHF帯(マイクロ波)を使ってLTE/LTE-Advancedと互換性を持ちながらサービスを開始していきながら、6GHz超の帯域を使って5Gサービスの本格化する方向を検討している。
 あわせてMEITISと同様に2020年に商業化を開始するというロードマップも公表し、技術的な開発や制度の整備を行うとしている。
 ターゲットは、2020年東京オリンピック・パラリンピックである。




出典 総務省

世界各国の5Gの技術開発・標準化の推進体制は?

■ ITU-R
 国際電気通信連合の無線通信部門、ITU-R(ITU Radiocommunication Sector)のWorking Party 5D(WP 5D)では、5Gを暫定的に『IMT-2020』と名づけて、国際標準の策定を始め、2019年までに決めるとしている。
 世界各国でまとめられている5G標準化案は、最終的にITU-Rで国際標準として定められる。




出典 ITU-R

■ 3GPP(3rd Generation Partnership Project)
 3GPPとは、第3世代(3G)移動体通信システムの標準化プロジェクト。また、同プロジェクトによる移動通信システムの標準規格。
1998年12月、アメリカのT1(現ATIS)、ヨーロッパのETSI、日本の電波産業会(ARIB)や情報通信技術委員会(TTC)、韓国のTTAといった通信標準化団体が基になって結成され、後に中国のCWTS(現CCSA)も加わっている。
 3GPPは、NTTドコモやEricssonが推進していた日欧方式のW-CDMAを標準規格としていたが、1999年のQUALCOMM社とEricsson社の合意を受けて、QUALCOMM社のcdma2000方式も取り込んだ標準規格を最終的に採用した。
 ITU(国際通信連合)は、3GPPの標準規格を参照して、第三世代移動通信(3G)の国際標準「IMT-2000」を策定した。
 3GPPでは、2016年3月をめどに「リリース13」を確定し、LTEの高度化に向けて、無線LANとLTEを1つのネットワークとすることでアクセス機能を強化したり、遅延時間の低減、消費電力のさらなる削減、水平方向に加えて垂直方向までカバー領域を広げるマルチアンテナ技術などの技術規格を定めるとしている。「リリース13」では5Gにつなげる重要な基本コンセプトが定められる。
 引き続き「リリース14」の策定を開始し、5Gの技術要件のアウトラインを固め、2018年末までには詳細な技術要件を定めた「リリース/15」をまとめ5Gの標準化をする予定である。「リリース/15」では、6GHz未満の周波数帯域を利用した標準規格、「フェーズ1」と6GHz以上の高い周波数向けの「フェーズ2」(2019年に決定)に分けられる予定だ。


出典 2020電波政策懇談会


出典 総務省

■ 5GPPP
 5GPPP( The 5G Infrastructure Public Private Partnership)は、2013年に欧州委員会(EC:European Commission)が、第5世代(5G)携帯電話ネットワークの実現に向けて発足させたコンソーシーアムである。 2015年、METISはその役割を終えて解散し、欧州員会が設立した“5GPPP” (5G Public-Private Partnership Association)に合流した。
通信関連企業やSMEsや研究機関が加盟し、次世代の通信基盤となる5Gのコンセプトや技術開発、標準化を推進する。
 欧州が情報通信の分野でリーダーシップを担うという戦略が込められている。

*5GPPPの掲げる要求水準
・2010 年時と比較して1000 倍の通信容量
・2010 年時と比較してエネルギー消費量を10分の1に
・サービス製作平均時間を90 時間から90 分に
・データ送受信停止時間(“zero perceived”)が感じられないような安全で信頼できるインターネット・サービスを提供
・70億人以上が利用する7 兆デバイス以上が接続する無線通信リンクの濃密な展開促進
・誰でもどこでもアクセス可能なユニバーサルで低価格なサービス
・Internet of Things(IoT)のプラットフォーム





出典 5GPPP

ロードマップでは、2014 年と2015 年に共同研究開発、2015 年の世界無線通信会議(W RC)で周波数割当の準備、2016 年頃から標準化活動開始、2019 年のW RC で周波数割当などの標準化決定、そして、2020 年の商用開始としている。


出典 5GPPP

■ 4G Americas
 “4G Americas”は、米国の通信関連企業のコンソーシーアムで、LTEの研究開発や標準化を推進している。LTE の次世代の5Gへの取組も開始して、5Gの開発投資や標準化でも国内で主導的立場を担っている。
 参加企業は、ATT&T、Telefonica、Sprint、T-Mobile、America Mobil、CISCO、Qualcomm、Cable&Wireless、Ericsson、Nokia、Intel、Hewlet Packard、Commscope、entel、Mitelの15社である。


出典 4G Americas

■ IMT-2020(5G) Promotion Group
 5Gの研究開発や標準化を推進する中国のプラットフォームである。Huawei、ZTEなどの情報通信関連企業やChina TelecomやChina Mobileなどの通信企業、大学や研究機関など56の組織で構成されている。中国の5G推進の司令塔で、欧州の5GPPPや韓国の5G Forum、日本の5Gと協力関係を築いている。
 5Gのコンセプトや要求水準、通信やネットワークのアーキテクチャーなどの提言をまとめている。
 5Gサービスの技術的なシナリオを、2つのジャンルに分けて整理している。
 一つ目は、モバイル・インターネットのジャンルで、広範囲のエリアで安定的な100Mbpsの通信環境を整備すると共に、高性能の通信環境を備えたホットスポットでは、1Gpbs、最高10Gbpsの高速通信環境を提供する。
 二つ目のジャンルは、Internet of Things(IoT)の通信環境の提供で、遅延1m/sを実現し、都会などの集積エリアで、1平方キロメートル当たり100万デバイスの通信が可能な環境を整備する。また省エネルギーや低コストも実現するとしている。


出典 IMT-2020(5G) Promotion Group

 2016年からコンセプト実証実験を3.3~3.4GHzや4.4~4.5GHzなどの6GHz以下の帯域を使用して始め、、2018年からはシステム&サービス・トライヤルを行い、2020年には商用サービスを開始する。また6GHz~100GHzの高い周波数の帯域では2019年ないしそれ以降に開始するというロードマップをまとめている。


出典 IMT-2020(5G) Promotion Group

■ 韓国 “Creative 5G Mobile Strategy”
2014年1月22日、韓国政府の来創造科学部、MSIP(Ministry of Science, ICT and Future Planning)は5Gの開発戦略、“Creative 5G Mobile Strategy”を公表した。
 5G市場の構築、標準化の推進、技術開発のリーダーシップ、エコシステムの開発を担い、5G開発の基本戦略を定めた。
この基本戦略を推進するために、2014年から2020年の7年間で、政府と民間で合わせて1兆6千億ウオン(約15億ドル)の資金を拠出するとしている。
 この戦略に基づき、2015年12月からは5G技術のデモンストレーションを開始し、2018年2月の平昌冬季五輪では世界で初めて5Gサービスの実用化を成功さた。2020年には商用化サービスを開始するという計画である。


出典 5G Forum

5Gの最大の難関は周波数帯と帯域確保

■ 3G・LTEサービスの周波数帯
 従来の、3GやLTEのネットワークでは700~2GHzの周波数帯が主に使われていた。
これらの周波数帯のうち、低周波の700~900MHz帯、電波が遠くに届き、建物などの構造物を回りこみやすい上に、コンクリートなどを通りに抜ける特性があり、携帯電話などの移動通信には最適とされ、「プラチナバンド」と呼ばれ、移動通信事業者間で争奪戦が繰り広げられてきた。
 テレビ地上波のアナログ放送終了に伴い、「プラチナバンド」の700MHz帯と900MHz帯が再編成され携帯電話各社に割り当てられた。 700MHz帯は、DocomoとKDDI、それにイー・アクセスに割り当てられ、900MHz帯はソフトバンクに割り当てられた。ソフトバンクは、これまでは、1.5GHz帯や一部2GHz帯の高い周波数を使用してため、ライバルのDocomoやKDDIに比較してつながりにくいという利用者からの批判があった。周波数が高くなると電波の性質が光に似てくるのでコンクリートなどは通りにくくなるので建物の中や、基地局と見通しがきかない建物の影などは電波状態が悪くなるからである。ソフトバンクはこの調整で「プラチナバンド」を初めて手中にして、他社との競争で優位に立ったとされている。
 携帯電話の割り当て周波数帯としては、「プラチナバンド」の700~900MHz帯の他に、1.5GHzや1.7GHzの帯域も使用されている。
 いずれにしても300MHz~3Gの極超短波(SHF)帯は満杯、LTE-Advancedサービスの拡充や5Gサービスを開始する余地はない。

■ LTE-Advanced サービスの周波数帯
 2014年12月19日、 総務省は19日、第4世代(4G)の次世代移動通信サービス向けの周波数をNTTドコモとKDDI、ソフトバンクモバイルの大手3社に割り当てると発表した。4Gサービスでは、現行の約10倍の高速通信ができ、3社は相次いでサービスを開始している。
 今回、新たに割当られた周波数帯は、3.5GHz帯、3480〜3600MHzの120MHz帯域幅を3社に当てられ、LTE-Advancedの本格的な4Gサービスで使用されて、最大1Gbpsの移動通信サービスを実現する。
LTEサービスは、4Gと呼ぶこともあるが、正確には3.9Gとされている。LTE-Advancedになって、初めて第4世代移動通信4Gの時代になるのである。
 3.5GHz帯はこれまで使用されていた周波数より高い周波数帯になるため、ひとつの基地局で広範囲なサービスエリアを作りにくいとう欠点がある。電波の直進性が強く、ビル影や山間部などでの電波状況は「プラチナバンド」に比較すると劣る。一方、周波数が高い帯域には、より高速の通信が可能にあることやアンテナを小さくできるので、携帯端末での利用でも都合が良いというメリットもある。また、周波数が高い帯域の電波は、まだ利用が進んでいなく、広い帯域を確保しやすい。
 LTE-Advancedでは大容量のデータを高速で送受信可能にするために、複数の異なる周波数帯の電波を束ねて、1つの通信回線として送受信を行うキャリアアグリゲーションや多数のユーザーの通信を束ねて処理をするOFDM、複数のアンテナを搭載するMIMOなど新たな通信技術を取り入れている。 携帯各社ではLTE-Advancedサービスをユーザーが集中する都市部を中心にエリアを拡張していくとしている。
 さらに情報通信審議会の答申では、LTE-Advanced用として、3.4GHzから4.2GHzまでの帯域を、将来割り当てる可能性を示唆している。現在の国際標準では、3.6-3.8GHzを移動体通信の帯域として規定しており、4.2GHzまでの規定はまだないが、今後、国際標準の動向をみて拡張すると見られている。
 2015年3月から、NTTドコモは、下り最大225Mbpsの通信速度を実現した「LTE-Advanced」のサービスを開始した。複数の周波数帯を束ねる「キャリアアグリゲーション」方式を採用している。



■ 5Gの登場でさらに不足する移動体通信帯域
 iPoneや携帯電話、タブレットなどの移動体端末や、Internet of Things(IoT)が急速に普及し、爆発的に増加している通信量に答えるために移動体通信に割り当てる周波数帯域の確保が急務になっている。とりわけ高速な伝送を要求される4Gや5Gは、大量の帯域が必要となる。
 現在確保されている移動体通信の周波数帯は、第3世代(3G)で490MHz幅、BWAで90MHz幅、PHSで30MHz幅、無線LANで350MHz幅、あわせて約910MHz幅である。
 この帯域を2020年には、3Gで10MHz幅増、3.9Gで200MHz幅増、4Gで600MHz幅増、そして5Gの登場で500MHz幅増、さらに携帯電話と無線LAN等で350MHz幅を追加して、約1740MHz幅を増やし、約2700MHz幅を確保するとしている。
 また、5G用として6GHz以上に約23GHz幅の帯域を確保する方向で研究開発を進めることを明らかにした。
第五世代移動通信システム(5G)の帯域をどのように確保するのか、5G用の周波数に関する国際標準がどう決まるのかを見分けながら難しい舵取りが必要とされるだろう。




出典 総務省

5G開発に凌ぎを削る移動体通信各社
 米欧、中国、韓国、世界各国の5G開発競争は熾烈である。
 2016年9月、米国の最大の携帯電話会社、Verizonは、5Gの商用サービスを世界に先駆けて2017年9月までに開始すると発表した。すでにVerison Technology Forumを立ち上げ、Ericsson、Nokia、Cisco、Qualcomm、Samsungなどのパートナー企業と共に開発を進めているとしている。(CNET 2016年9月8日)
 一方、2016年1月22日、Ericsson(スエーデン)は5Gの商用サービスを2018年から開始すると発表した。
 同社によると、このサービスは、スウェーデンやエストニアをはじめユーラシア大陸各地に拠点を置くTeliaSoneraの協力を得て、スウェーデンのストックホルムとエストニアのタリンで開始する。
 その際には、通信サービスのみならず、IoT(モノのインターネット)向けのサービスも提供予定とのこと。同社は、その適用分野として、医療や車載分野を示唆している。
 EricssonとTeliaSoneraは、2009年に「世界初」として4G/LTEネットワークの商業運用をスウェーデンで開始している。今回も、このサービスを世界最先端と位置づけ、まずはストックホルムとタリンでの使用状況を見て、今後のビジネスに生かしたいとしている。Ericssonの最新レポートでは、2021年末までに5G関連の契約件数は1億5000万件に至ると試算している。(日経テクノロジー 2016年1月27日)

 日本での5G開発の主導権を握っているには、ドコモだ。
2015年3月、ドコモがEricssonと共同で4.5Gbps以上の「5G」通信実験を行い、成功した発表した。
 実験は、ドコモR&Dセンタ(神奈川県横須賀市)で行われ、15GHzの高周波数帯域(400MHz帯域幅)と4×4 MIMOの通信多重化技術を使用して使われた。実験では端末に見立てた移動局を時速約10キロメートルで走行させて下り最大4.58Gbpsを計測した。
 6GHz以上の高周波数帯は電波が遠くまで届きにくく、移動体通信での利用は難しいとされる。さらに高い周波帯であるミリ波を使用した実験をNokia Networksと共同で実施、70GHz帯を使用して六本木ヒルズの建物中で2Gbps以上のデータ通信に成功している。
 サムスン電子との共同実験では、韓国・水原市にあるサムスンデジタルシティ周辺の道路で、自動車を時速60kmで走行させてデータ伝送の実験を行った。 使用周波数は、28GHz帯(800MHz幅)で、96素子のアンテナを用いたビームフォーミング機能とビーム追従機能を駆使し、移動する自動車の中でも受信で2.5Gbpsを超えるデータ伝送に成功している。
 富士通との共同実験では、小型基地局(分散アンテナユニット)の協調伝送技術により、単位面積あたりのシステム容量を増大させる検証が行われた。使用した周波数は、4.65GHz帯、超高密度分散アンテナと協調技術で4端末合計が11Gbpsの伝送速度を実現した。
 ドコモは、この他に、Alcatel Lucent、日本電気(NEC)とも5Gに関する実験協力を進めることで合意している。また30GHz~300GHzのミリ波帯の通信性能改善や6GHz未満の周波数帯の活用についての検証するため、三菱電機やファーウェイとの協力についても合意している。
 2020年7月の東京オリンピック開催までに、商用サービス開始を目指すとしている。


出典 5Gの開発協力企業 Docomo

2020年サービス開始は間に合うのか?
 総務省では、2020年東京オリンピック・パラリンピックに商用化を開始したいとしているが、いまだに標準規格が決まらない状態が続いている。
 超高速、大容量、低遅延、多数の端末接続、省エネ、低コスト、要求水準は極めて高い。
 5Gの開発を推進する各社の見解が共通するのは5Gを既存のLTEと一体化させるという戦略である。LTEやLTE-Advancedの延長線上で活用できる技術を使い5Gサービスを実現していくコンセプトだ。
 しかし肝心の使用周波数帯は、帯域幅はどの程度確保するのかが未だに決まっていない。6GHz以下では、3.7GHz帯や4.5GHz帯が候補に挙がっているが、この帯域は満杯で帯域幅が十分に確保できず、5Gの要求水運の通信速度が達成できない。6GHz以上の帯域では、28GHz帯が候補に上がっているが、これまで移動通信では利用実績がなく遮蔽物に対して電波の回り込みがほとんどないため、新たな無線通信技術、RAT(Radio Access Technology)を開発するする必要が迫られている。
 基地局を中心に、マクロセルとスモールセルとを重ね合わせてネットワークを構成し、ユーザーデータと制御情報を分けるU/C分離システムや、超高速、低遅延、同時多数接続など多様な要件を持つトラフックを切り分け処理するネットワークスライシング技術、256素子のアンテナ素子を備えるMassive MIMO、電波を特定の方向に集中して端末の動きに追従させるビームフォーミングの開発など、5Gサービスを実現するためには難題は山積している。

5Gへの設備投資が重荷に
 情報機器メーカーが5Gに積極的なのは、新たな情報端末への需要の期待感からである。“5G対応”をキャッチフレーズに、新機種を発売してビジネスチャンスを狙うだろう。
 一方、通信事業者(キャリア)は、すでに3GからLTE、そしてLTE Advancedサービスを実現するために膨大な設備投資を行っている。その設備投資はまだ続いていて、投資額の回収までにはいたっていないと思われる。それに5Gへの投資が加わると通信事業者(キャリア)の重荷は更に増すだろう。果たしてこの重荷に耐えられるのだろうか。

消費者(ユーザー)は5Gに飛びつくのか?
 消費者(ユーザー)にとって、5Gは魅力的なサービスになるのだろうか?
 3Gの登場で動画サービスが可能になり、スマートフォンの爆発的な普及を支えた。電話とメール機能中心の2Gから機能が飛躍的に進化したと言えるだろう。
 4Gになって、さらに大容量のデータの高速通信が可能になり、HDなどの高画質の動画やゲームなどが楽しめるようになった。
 5Gになると更に高画質の4K 映像などもライブで快適に視聴可能としているが、携帯端末の小さなスクリーンではそこまで高画質にしても優位差はあまり感じられず、消費者(ユーザー)は。魅力的な新しいサービスとして飛びつくのだろうか。Youtubeやインターネット、SNSを利用するにはLTEでも十分である。
 通信料の負担だけが増えて、それに見合った納得するサービスを受けられないとすれば、消費者(ユーザー)は見向きもしないだろう。
 10Gbps、遅延1msというハイスペックな5Gの性能を活かした新たなサービスとして何が考えられるのだろうか。5Gはオーバースペックで、消費者(ユーザー)にとっては4Gで充分なのではないだろうか。
 5Gの商用サービスが開始されても普及が進まなければ、通信事業者はビジネスモデルが築けなくなるという深刻な問題が生まれる。

▼ 低価格のサービスが条件 Internet of Things(IoT)の通信基盤
 ICT社会の進展であらゆるモノがインターネットにつながるInternet of Things(IoT)が急速に普及し、通信量が爆発的に増加することである。自動車や鉄道、ロボット、工場の生産設備、社会の隅々に設置されるセンサーなどの通信を瞬時に遅延なく処理しなければならない。遅延1msというリアルタイムでの5Gの通信環境はInternet of Things(IoT)には重要である。
 しかし、Internet of Things(IoT)で利用する場合、設置されるデバイスが膨大な個数になるため通信料の負担がどの程度の水準になるかがポイントである。さらにInternet of Things(IoT)にとって5Gまでのスペックが本当に必要なのか、それとも大半は4Gの拡張で対応可能なのか、冷静に検証する必要もあるだろう。

 2020年東京オリンピック・パラリンピックまであと2年余り、5Gのユニバーサル・サービスは実現できるのだろうか?



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国際メディアサービスシステム研究所 International Media Service System Research Institute(IMSSR)



2016年1月27日  2018年4月15日改訂
Copyright (C) 2018 IMSSR




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廣谷  徹
Toru Hiroya
国際メディアサービスシステム研究所
代表
International Media Service System Research Institute
(IMSSR)
President
E-mail thiroya@r03.itscom.net / imssr@a09.itscom.net
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ジャンル:
オリンピック
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