ドガ展を振り返る

2010-11-17 23:49:31 | 絵画鑑賞、創作
  晴れ。天気はいいが、我が心には暗雲が立ち込めている。

 ドガ展図録を眺めて、数日前の現実の余韻に浸っている。真面目な線と、造形に対する意欲といったところか。そういう難しいことを抜きにして、単純に好きでなければ目が見えなくなっても描こうなどとは思わなかったでしょう。実際、目が見えなくなってから(視力が相当無くなってからという意味。最近の連中は、言い回しが通じないので、このように記載しなければならない。全く面倒な世の中)の絵の方が断然いい。途切れ途切れの線に無限の深さを感じる。
 造形を追い求めることが、自然に(不遜な言い方ではあるが)個性というものになっていくんだと思う。それはあくまでも自然に、即ち本人も気がつかない内に、でなければならない。最初から個性を求めているなんてナンセンス。もっとも、その程度ならまだいいが、”自己主張”に変わったらもはやそれは芸術ではない。独りよがりの品を並べ立てられたって、見たくもない。
 近年の美術界の凋落はそこにあるのではないだろうか。

 単純に、ドガ、やっぱりいいなぁ。(図録を眺めながら)