一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

三十七たび大野教室に行く(中編)・悔しい負け

2012-11-27 00:03:37 | 大野教室
25日、出先から帰宅すると、将棋ペンクラブの湯川博士幹事から封書が届いていた。24日に着いていたものらしい。
湯川幹事から通信が来ると、あの鬼瓦を思い出して狼狽してしまう。恐る恐る中を開けると、年末に行われる「将棋寄席」の案内が入っていた。
昨年は出席を見合わせたのだが、「今年は忘れなさんなよ」という湯川幹事のメッセージらしい。
今年は12月24日の開催。なんで聖夜に落語を聞かなくちゃなんないんだと思うが、当日はとくに用事があるわけでもない。今年は出席の意向である。

(きのうのつづき)
(再掲)
上手(角落ち)・植山悦行七段:1一香、1五歩、2三銀、2四歩、3二玉、3三桂、3四歩、4二金、4三金、4四歩、5四歩、6一飛、6四銀、7三桂、7四歩、8五歩、9一香、9四歩 持駒:歩
下手・一公:1七歩、1九香、2八飛、3六歩、3七桂、4六歩、4七銀、4八角、5六歩、6六歩、6七金、7六歩、7七銀、7八金、8七歩、8八玉、8九桂、9六歩、9九香 持駒:歩
(△7三桂まで)

以下の指し手。▲9五歩△同歩▲9三歩△同香▲6五歩△同桂▲9三角成△7七桂成▲同金上△7五歩▲同歩△6五銀▲6六歩△2五桂▲同桂△7六歩▲6五歩△7七歩成▲同玉△3七金▲9八飛△4七金▲9五飛△8六歩▲同歩△8八歩▲同玉△4六金▲8三馬△8一飛▲9二飛成△8三飛▲同竜△5八角▲7七玉△5六金▲同金△7六銀 まで、植山七段の勝ち。

私は▲9五歩と突っかけた。△同歩に▲9三歩。この素朴な垂らしが意外に利いた。次に▲9五香があるので△9三同香だが、▲6五歩以下二枚換えとなった。正確には銀・歩3と桂・香の交換だが、私は馬を作って十分と見ていた。
植山七段は△7五歩以下手順を尽くし、私は手に乗って▲9五飛と捌く。しかし△4七金とボロッと銀を取られたのも大きく、気がつけば金・銀と桂2・香の交換である。これは下手がおもしろくない。
もう少しうまくなる順があったはずだが…と頭の中で局面を戻してみると、△7六歩に▲7八金引きがあった。とてつもない利かされの上に△6六銀と進出されるのでまったく読まなかったが、以下▲6六同金△同飛は▲6八香で上手の飛車が捕獲できて下手大優勢。
対局中にこの手が見えたのはマズかった。私は後悔を引きずったまま指し手を続けるが、こういうときはえてしてよくない。△8六歩に▲同歩、△8八歩にも▲同玉とさんざん利かされ、▲8三馬の飛車取りには△8一飛と切り返され、ちょっとクサッタ。▲7二馬は△8六飛なので勢い▲9二飛成だが、△8三飛▲同竜に△5八角と金取りに打たれては、大勢決した。
以下4手で投了。感想戦で私は開口一番「▲7八金」を主張する。植山七段は怪訝そうだったが、私の見解は正しかったようだ。
しかし植山七段、私との駒落ちをいやがる割には、きのうもきょうも快勝だった。どうもよく分からぬ。
4局目はHa氏と。Ha氏は四間飛車を得意としている。私とは2局対戦し、私の2敗。もう負けられないところだ。
将棋は後手番Ha氏の藤井システム。私が▲3六歩と急戦を示したのに、Ha氏は居玉のままだ。それならと私は仕掛けたが、意外にうまくいかなかった。どこがマズかったのだろう。
しかし数十手進んで見ると、後手の銀は2二に凹み、美濃囲いの△6一金は5二に上がっている。これは先手が優勢だと思いきや、△8四角とノゾかれ、これで存外手になっている。
しかしその後、Ha氏にお手伝いの手が出て、結果は私の快勝。とりあえず初勝利を挙げることができ、ホッとした。
Fuj氏はまだ姿を見せない。この2日間は将棋づけを想定していただろうから、これは大きな誤算だったろう。しかし彼は私と違って毎日が充実しているので、同情はしない。
5局目。
「Honさん、将棋指す?」
「指しましょうか」
「好きだなあHonさん」
という訳の分からない会話を経て、Hon氏と対局。
私の先手で▲7六歩△3四歩▲6六歩。Hon氏は変態三間飛車穴熊を得意としているが、きょうは私がそれを指してやろうと思った。ところがHon氏は△4四角! 見たことのない手で、Hon氏の指し手は私の理解を越えている。その変態度は筋金入りだと思った。
私はそれでも三間飛車に振り、相振り飛車になった。しかし△4四角が睨んでいるのに、美濃に囲ったのはマズかった。Hon氏は左桂を跳ね、着々と端攻めの態勢を整える。傍らでは植山七段がこの対局を眺めていた。
△1五歩。ついにHon氏の端攻めが来た。▲同歩△2五桂に▲2六歩△同角▲2七銀と受けるが、これは危険だったようだ。以下Hon氏に巧妙に攻められ、私の玉は露出した。しかしそれ以上の攻めはなかったようで、後手の指し切りになってしまった。
局後の検討にはそのまま植山七段が付き合ってくださったが、△2五桂には▲1六香!があったという。こんな手筋があったのか! これは勉強になった。
本譜△1七桂成▲同桂に、Hon氏は当然のように△同歩成としたが、植山解説によるとこれが疑問手だったというから将棋はむずかしい。ここは黙って△1五香と走るのが正着で、これならむずかしい戦いが続いていた。
きょうは5局指して3勝2敗。5勝0敗の可能性もあっただけに残念だが、詰みを逃して負けるのも実力である。
このあとは食事会だが、Fuj氏が食事に来るという。Fuj氏、自宅最寄駅を通り越してここまで来るとは、将棋バカなのか、ただ人恋しいだけなのか。
しかし彼が到着するまで時間がある。私は大野八一雄七段に二枚落ちの指導対局を申し込んだ。
実はこれには伏線があって、大野七段や植山七段が、研修会員相手に何度も二枚落ちで勝ったという話を聞いていたのだ。
研修会員は最低でもアマ三段の実力がある。その彼らに二枚落ちで勝つなんて、プロはどんだけ強いんだ、その秘技を見たいと、私やFuj氏はかねてから、その手合いでの対局を所望していたのだ。
研修会は持ち時間が30分なのでそれにならいたいが、大野七段がガンとして首をタテに振らない。「初手から1手10秒」を主張するが、それは下手にあんまりだ。私は「30秒」を主張する。
間を取って、「初手から1手20秒」という条件に落ち着いた。
駒を並べて、対局開始。これが悪夢の始まりだった。
(つづく)
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3 コメント

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なるほど (Fuj)
2012-11-27 21:14:25
そうですか。9五歩ですか。うまい手があったものですね。自陣玉の端に手をつけるので全く考えておりませんでした。さすがです。ところで、投了4手前の局面ですが。
5八角は詰めろではないので、ここで3三香はダメですかね。同金寄は同桂成同金3一飛で詰みなので、同金上がるですが、ここで同桂成同玉に4二銀で以下同玉なら4一飛なので2二玉ですが3三金で寄っているような気がするのですが、いかがでしょうか?いずれにせよ惜しかったと思います。

将棋連盟のHPで研修会の成績を確認したところ、植山先生は先週の日曜日にF1~D1の相手に四枚落ち~飛車香落ちで4局指して2勝2敗だったようです。やはり、私とも手合いとしては二枚落ちくらいが本当は適正なのでしょうね。
私も今度二枚落ち勝負に挑みたいと思っております。
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持ち時間 (さわやか風太郎)
2012-11-27 21:30:00
10秒は殆んど考えていられない。
20秒は程よい時間かも。
プロ相手に6時間とかやったらまず勝ち目はないでしょう。
返信する
お詫び (一公)
2012-11-27 23:57:19
>Fujさん
△5八角に▲3三香ですね。その手はあります。ただ、ここでお詫びしなければなりません。
本譜では、▲2五の桂が植山先生の駒台に乗っていたのです、たぶん。
△5八角と打つ前は、先生の駒台に攻め駒が4枚乗っていたし、△5八角に▲6八金は△7六桂がある、と考えていましたから。そしてその桂が入手できるのは、▲2五の桂しかないのです。
しかしその桂がどこで入ったか分からない。強いていえば「△2五歩▲同飛△2四歩▲2八飛」の4手をどこかで入れることになりますが、本局はお互いの指し手がギリギリのところを行っていたので、それが入る余裕はなかったはずなのです。
そうはいっても指し手を掲げなければならないので見切り発車的にアップしましたが、読者に不親切でした。ここにお詫びする次第です。
それにしても▲7七玉では▲8一竜と入って、一枚使わせるべきでした。

駒落ちの上手、さすがにプロは強いですね。Fujさんはいままで通り角落ちでいいでしょうが、私は今後も二枚落ちでお願いしたいです。

>さわやか風太郎さん
20秒はほどよい時間でした。
しかし10秒はいけませんね。全然考えられない。そこをギリギリまで考えるのが、勝つコツでしょうか。
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