一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

三十七たび大野教室に行く(前編)・不思議な逆転勝ち

2012-11-26 00:04:38 | 大野教室
プライベートの出来事で、読みの甘さから大失敗をすることがある。先日もそんなことがあった。この歳になると来年のことなど考えられないから、それはこの世の終わりのような大ショックに膨れ上がる。もう、あすを生きるのも辛いくらいだ。それを癒してくれるのは「時間」である。時が経てば薄皮が剥がれるように、ショックも和らぐ。たぶん、私にも来年がやってくるのだろう。同じ状況が訪れたとき、同じ失敗を繰り返さなければいいのだ。

18日(日)は前日に続いて「大野教室」に行った。きょうはきのうとうって変わって晴天。結局どんな天候でも、将棋が指したければ指しに行くのだ。
きのうと同じような時刻に入室。何人か生徒はいたが、不思議なことに誰も大野八一雄七段に将棋を教わっていなかった。これは珍しいことがあるものだ。
まずはきのう購入した「LPSA詰め将棋カレンダー2013」を、ポーチに仕舞う。きのううっかりして、持って帰るのを忘れてしまったのだ。
これで用が済んだから帰る…というのは悪い冗談で、もちろん将棋を指して行く。
きょうは大野七段から教えていただく。相居飛車の立ち上がりだったが、私がまたヘタをやって、矢倉城に入城できなくなってしまった。大野七段△3八歩。と金を作らせるわけにはいかないから私は泣く泣く▲4八玉だが、数手後▲3八玉としたところでは、玉が孤立している。これはまた負けたと思った。
△7四飛、△7五銀の形で、大野七段は金頭に△6六歩と叩く。これに▲6八金引では勝負どころがないので、私は▲9七の角で△7五の銀を取る。
大野七段は少考して△6七歩成。角を取らなかった。
私は▲3三銀△同桂▲同桂成△同玉▲3一角成。結果金損の攻めだが、下手陣は▲2六歩、3五歩、3六飛、3七桂、3八玉、4五歩、4六銀、4七銀で、意外に手厚い。大野七段は△5七とと捨ててきたが、▲2五桂以下私が華麗に寄せて、拾わせていただいた。
局後の検討では、△5七とで△3二金が提示された。しかしこれは私が読んでいて、▲2五桂△同金▲3四歩△同銀▲同飛△同玉▲3二馬で下手勝ち。ということで、私が▲3一角成としたところでは、すでに上手に勝ちがなかったらしい。
遡れば△6七歩成が疑問で、ふつうに△7五同飛と取るところだったらしい。これには敵歩を取りつつ▲6六金が幸便で、これがあるから大野七段も見送ったのだが、△8五飛とよろけておいて、次の△6九角(▲7八金取り)がすこぶる厳しい。こう指されたら下手が順当に負けていた。
大野七段には意外に逆転勝ちが多い。
きょうは人が少ないが、Sai氏が久しぶりに顔を見せた。ちょうどきのう、噂をしていたのだ。元気そうで何よりだった。
2局目はMa君と。(先手)Ma君の得意は石田流だから警戒したのだが、アッサリと中飛車できた。まあしかしこれはこれで一局の将棋だ。
私は中央を厚くするが、Ma君に千日手模様で様子を見られ、四枚美濃に組まれてみると、どうもこちらの具合が悪い。
ここで千日手は味が悪いので、打開する。しかし捌き合ってみると、こちらが悪くなっていた。
時刻はもう3時。休憩の時間だが、私たちは指し続ける。
私は△4七歩。これに▲4四歩と叩かれたらヤバかったが、▲4七同銀だったので△5七飛。▲4七銀、5五金、5九金の三方両取りだ。
以下▲4四歩△5二銀▲5八金△5五飛成▲4三角△2二玉▲5二角成△同金▲同竜△4二歩。ここでMa君が▲4三歩成としたが、この局面が下である(盤に並べる読者には、ご面倒をお掛けします)。

先手・Ma:1六歩、1九香、2六歩、2七銀、2八玉、3六歩、4三と、4七銀、5二竜、5八金、6七歩、8七歩、9六歩、9九香 持駒:角、金、銀、歩
後手・一公:1一香、1四歩、2一桂、2二玉、2三歩、3四歩、4二歩、5三銀、5四桂、5五竜、6四歩、8一桂、8五歩、9一香、9四歩 持駒:角、金2、桂、歩3

以下の指し手。△5八竜▲同銀△3七金▲同玉△4五桂▲4七玉△4六金▲4八玉△3七桂成▲5九玉 まで、Ma君の勝ち。

私は△5八竜と切って詰ましに行ったが、詰まなかった。正確にいえば、詰まし損ねた。
△4五桂では△4六角と打ち、簡単な詰みだった。たまたま後方で見ていた大野七段が呆れて、どうしてもっと考えないの? と苦言を呈す。
たしかにその通りで、この時点では30秒の秒読みだったが、△5八竜は文字通りノータイム。△3七金は2秒。△4五桂も数秒しか考えていなかった。なぜもっと落ち着いて考えられないのか。突然勝ちになって、喜びすぎてしまった(注:読者からの指摘で、△4五桂▲4七玉にも、△3七金▲5六玉△6五金!▲4五玉△5六角!で詰みがあることが分かった。本当の敗着は△4六金だった)。
初めに戻るが、局面図の▲4三歩成が負ければ敗着で、ここは受けに回っていればMa君の明快な勝ちだった。
3時前にHon氏が来たが、Fuj氏はまだだ。Fuj氏はきょうも仕事だが、昼前には片付く予定で、午後には来ると言っていたのだが…。Fuj氏、2日連続で将棋が指せず、いまごろ悶絶しているに違いない。
3局目は植山悦行七段と。渋る七段に角を落としていただく。
△6二銀▲7六歩△5四歩▲5六歩△5三銀。これは対居飛車決め打ちの銀の動きだ。よほど飛車を振ろうかと思ったが、きょうは矢倉に組みたかったので、▲2六歩。数手後の△6四歩には、躊躇なく▲6六歩と受けた。
「もう△6五の位は取らせません」
「それならそれの指し方があるんですヨ」
と植山七段は△6二飛。数手後、少考して△7三桂。

上手(角落ち)・植山七段:1一香、1五歩、2三銀、2四歩、3二玉、3三桂、3四歩、4二金、4三金、4四歩、5四歩、6一飛、6四銀、7三桂、7四歩、8五歩、9一香、9四歩 持駒:歩
下手・一公:1七歩、1九香、2八飛、3六歩、3七桂、4六歩、4七銀、4八角、5六歩、6六歩、6七金、7六歩、7七銀、7八金、8七歩、8八玉、8九桂、9六歩、9九香 持駒:歩

ここで私はどう指したか。
(つづく)
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2 コメント

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検討できる喜び (Fuj)
2012-11-26 21:23:25
ご指摘の通り、当日は将棋を指せなくて悶々としておりました。さて、ようやく棋譜を並べる時間ができたので、いくつか。
その1:Ma君との勝負ですが、4五桂でも良かったかと。どれだけ時間を使ったのかわかりませんが、敗着は4七玉に4六金と打った手で、ここは3七金と打てば、以下5六玉に6五金4五玉5六角で詰みですね。

その2:植山先生との局面はやや作戦負けですかね。
なにげに1筋を伸ばされるのが苦しいですし。2一飛から飛車を旋回されて押しつぶされそうな感じです。
仕方ないので、4五歩と暴れますか。以下同桂同桂同歩に2六角でどうでしょうか。4五歩に同歩なら同桂同桂4六歩ですかね。でも何か苦しそうです。あるいは5七角でしょうかね。

一部には図面を入れるべきという声もありますが、私個人としてはこのスタイルも嫌いではありません。いずれにせよこのように将棋の検討をするのは楽しいものです。
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すごい! (一公)
2012-11-27 00:00:28
>Fujさん
私ごときの将棋を検討いただき、ありがとうございます。
対Ma戦、▲4七玉に△3七金がありましたか! のちの△5六角がまったく見えてませんでした。いや、恐れ入りました。
植山先生との将棋は、▲4五歩ですか。王道の仕掛けという感じですが、ちょっと無理攻めのケがありますね。
図面掲載は、気持ちに余裕ができたら、いろいろやります。でもその日が来る前に、このブログが休止になるかもしれません。
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